浅尾弥子のノンジャンル道

 
 富山県小矢部市のシンボルキャラクター・メルギューくんの
 お姿をお借りして、日々更新。

へいちくの旅(松本清張記念館・編)

2014-03-14 13:48:57 | 2014年 へいちくの旅
松本清張記念館では、
「昭和三大巨星」の1人、松本清張(ミツコ調べ)の
功績と人柄に触れることができます。

約10年前に、初めて訪問した際には、
その、あまりある偉業に圧倒され、恐ろしささえ感じました。
ここには、観光気分で気楽に来られぬ近寄りがたさと、
「お前は、どう生きているんだ」と、突きつけられる
厳しさが宿っています。

展示されている表紙を眺めているだけで、
大きなうねりが、我が身に押し寄せてきました。

清張さんが、身を削り、切り裂いて作り上げた作品の数々。
「張込み」「黒地の絵」「地方紙を買う女」「球形の荒野」「わるいやつら」「空白の意匠」・・・。
作品タイトルは、一編の詩のようです。

タイトルは抽象的で、強い印象を与えますが、
書かれている文章は明確で簡潔です。

余計な装飾がないので、想像する余地が多いのです。
そして、話の展開が速く、その物語自体が、おもしろい。
いまもなお、映像化される理由は、そこにあるのではないのでしょうか。

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作品の根底に流れるのは、えもいわれぬ悲哀。
運命に翻弄された、
または、去勢された人々のやるせなさが、
淡々とした筆致で綴られています。

40歳過ぎてから文壇デビューし、82歳で亡くなるまでの短い期間に、
数多くのヒット作を発表したことも、
巨星が巨星たるゆえんです。

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今回も清張パワーに打ちのめされましたが
(この打ちのめされる感じは、自分が成長するための刺激であり、心地いいものです)、
5月6日まで開催中の企画展
「北九州市制50周年・松本清張記念館会館15周年記念特別企画展 北九州と松本清張」は、
若干、肩の力を抜いて見ることができました。

企画展の趣旨をまとめた、藤井康栄館長のお言葉が秀逸です。
清張以上に、清張を理解してるのではないかしら。

また、清張に限らず、
人間が誰しも抱いているであろう故郷観を、
見事に表現されています。

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話が前後しますが、
常設展では、
清張と深く関わった、
出版各社の編集者による証言VTRを、見ることができます。

今回も、
編集者のかたには申し訳ないのですが、
大いに楽しませていただきました。

巨星の意を正確にくみ取り、手足となって資料を集める作業は、
そりゃあ、並大抵の労力ではないわよね。

そして、苦労話をしつつも、
言葉の端々に、清張への愛着や親和の念が滲み出て、
とてもあたたかいものでした。

たまたま居合わせた清張フリークの観覧者と、
VTRを見ながらクスクス笑ったり、
清張談義に花を咲かせたり。

そんなことも、旅の思い出となりました。

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松本清張記念館の職員のみなさま、ありがとうございました。

幸あれ!

以上、訪問地ルポは、これにて終了。

明日もがんばるぞ!
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