国立科学博物館の清水慶一さんを迎えて 近代化遺産としての北勢線 シンポジウム開催

2009-03-06 17:50:33 | 北勢線 軽便鉄道博物館
●お知らせ 企画講演会
『北勢の産業遺産』~近代化遺産としての北勢線~

講師に、国立科学博物館産業技術史資料情報センター主幹
「清水慶一」氏をお迎えしての公演があります。
世界遺産登録にも関わられている近代化遺産の専門家の目から見た北勢線のお話、どうぞご参加下さい。

日時・3月21日(土)午後2時~
場所・桑名メディアライブ多目的ホール(桑名図書館内)
入場無料です。

サミットと北勢線活性化基本計画

2008-07-08 01:26:25 | 北勢線 軽便鉄道博物館
今から5年ほど前、北勢線活性化基本計画の策定に関わりました。
住民の気持ちをまとめると
「ちっょと遅くて古臭いけれど、小さく軽量な軽便鉄道は、逆転の発想でフレンドリーでエコなこれからの交通になり得る」
というシナリオになりました。

しかし、しがらみの多い旧態然とした地方政治の中では、基本計画はまちつくりマスタープランと同様、創っただけで履行されるものではなかったようです。
履行されていれば、北勢線は今回のサミットでも取材されたのではないかと思われます。

日本には何かをやり遂げようという意思が感じられないという意見がありますが、
北勢線活性化基本計画の遂行にあたり、これも例外ではなかったのだと僕は感じました。

国敗れて山河なし・・・
 何事も、こうならないようにしていきたい・・・
 そう思う今日このごろです。

エコでLOHASな小さな電車で「軽便鉄道と昭和のまちに出逢う道」へ

2008-06-30 17:16:12 | 北勢線 軽便鉄道博物館

「美しい日本の歩きたくなる道500選」選定から三年がたち
「軽便鉄道と昭和のまちに出逢う道」にウォーキングで訪れる方が増えてきました。
だんだん人数が減るのが常の所、増えてるのは作者として嬉しいかぎり。
「か細い線路と自然の織り成す景色を歩いて、古い電車の修理の進み具合見て、温泉入って野菜買って帰るのがけっこう楽しい」
そんなお声を時折耳にする度、
近代化遺産と適度な自然が組み合わさった北勢線の魅力を再認識するのでした。

ニッポン近代化遺産 の視点から 北勢線を見た!!

2008-03-12 02:13:18 | 北勢線 軽便鉄道博物館
先日、僕が著書や番組で惚れ込んだとある方が北勢線を訪れてくださいました。
北勢線を見るなり、よく軽便サイズが残りましたねと驚かれ、乗車して車体の小ささに驚かれ、クネクネ がたがたと阿下喜までおいでくださいました。
軽便鉄道博物館では、Oさんの案内で現役車時代の活久とした話を聴きながら226号をご覧になり、木造屋根やリベット組み立て台車、車内造作等ご覧になり、修復がいかに大変で価値ある事かお話くださり、私たちも勇気をもらう事ができました。

旧阿下喜小学校の校舎も、国で学校建築が標準化される前のスタイルで、屋根上の塔などオリジナリティーのあるものだとの事。

めがね橋・ねじれ橋は、「私もいままで相当この手のものは見てきましたが、これは見たことが無い。」
我々が思った以上に貴重なものだったらしく、僕もあらためて驚きました。
北勢線の橋梁は基本的にか細い鉄橋なのに、なぜココだけアーチ橋なのか?。
当時のアーチ橋はレンガ造だが、なぜわざわざ前例もなくコストも高かったコンクリートを使用してブロックを作成し積み上げたのか。
川と線路が直交していない事だけが、橋がねじれた理由か。等など。
専門的な視点から次々湧いて出る疑問にこちらもワクワクしました。

これは、僕の推測ですが、この橋は、請け負われた郡さんの設計者あるいは職人としての技術プレゼンテーションだったのではないか。
起工した大正4年にはコンドル設計の諸戸邸も話題であったでしょうし、この地区は相当新進気鋭な気風が盛り上がっていたはず。そんな中でめがね橋は生まれ、ねじれ橋はねじれていったように、僕は感じるのです。

226型の座席の状態と外板の腐食を確認しました

2008-01-08 19:49:35 | 北勢線 軽便鉄道博物館
雨漏りの痕跡をたどり、内装側からの点検です。
Oさんの手にかかるとあっという間に座面が外れ、背もたれは外すのにちょっとコツが要りますが、スポンと外れました。脚台も全部木製・・・。とにかく見事に全部木です。
「コイルバネとエスバネは腐っとらん、大丈夫や。」どうやらウレタン層とモケット(シート表皮)の張替えだけで座席は直せそうです。
座面の下には1L牛乳パック程度の大きさのヒーターがところどころに設置してあります。あの微妙な決して暖かいとは言えない温かさは、こやつが精一杯造り出していたのか・・・。小さいのにがんばったのぅ・・・て印象。
その周りにはおそらく座面と背もたれの隙間から落ちたのでしょう、今は無き缶ジュースのプルタブその他いろんなものが出てきます・・・。
外からはぼろぼろに見えていた外板も内側は意外ときれい、しっかりとしたつくりでした。

226型の屋根修理の為の分析をしました

2008-01-08 19:45:55 | 北勢線 軽便鉄道博物館
まさに建築と同じなんですね。塩ビシート防水です。
どうやらこの防水層に溶剤系の塗料を塗った事でビニール層が収縮し、端末の縁が切れて鋼製の側板と木製の屋根組みの間から車内に雨漏りを引き起こしている様でした。
防水層を剥いてみると、厚さ18mmの縁甲板がさねはぎで継がれており、材種はアピトンではないかと思われます。
運転室上おでこの部分は910mmまで(これも半間という日本建築の単位です)、厚さ6mmの薄板が三枚重ね張りされていました。材は米松の様で、曲げに対応すべく柾目板が使われ、先端は敷き桁に木螺子にて固定されていました。この螺子はマイナス型で、当時の建築と同じ、今となっては貴重なものです。
薄板は突き付けにて接がれていて、継ぎ目は三層で同じ位置とならぬ様ずらしてありました。
これら屋根下地材の下には曲線を描いた垂木があり、木造船を逆さまにしたようなつくりです。
垂木の下面には内装天井化粧板が張られ、垂木間には電気配線が収めてありました。
シート防水の縁が切れて浸水した部分は交換が必要でしょうが、それ以外の部分はしっかりしたもので、きちんとした良い仕事がしてありました。