月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

冬の京都で、あわぜんざいを食べる

2012-12-14 19:23:55 | あぁ美味礼讃



冬は空が白い。空気も白い。

冷たくキリッとして透明だけど、
そこに息をするものがたつだけで
白い残像となって、
冬の匂いが包む。

だから、太陽の陽差しをなおのこと、ありがたく感じる。

冬の太陽はほんとうに、すばらしい。

東南をむいているわが家のリビングは、
夏は短い陽差ししかないのに
12月になると、光の束が斜めに角度をつけながら部屋の奥までいっぱいに、届くのである。

12月の太陽は夏よりもまぶしい
希望の色をしている、と思う!

この太陽のなかにいると、どんなことも「そんなの、たいしたことないよ」
「自然の力に比べたら、人間の営みなんて小さいね」

照りつける明るさのなかで、そう教えてくれるような気がするのだ。

さて、

先日、京都へ行った帰りに
甘味恋しくなって、
河原町の「梅園」(本店)へ立ち寄った。



最初は、みたらしか、ぜんざいか、と考えていたのだが、
メニューをみると、一目で惹かれたのが、「あわぜんざい」(単品850円・ドリンクセット1,250円)である。

ひえと粟を蒸してついたものに、アツアツの漉し餡をかけるという。

東北に行く列車の車両のような店内は、静かで、昭和っぽい空気。
せわしなさを感じないのがいい。


真っ白な粟とひえの粒は、もちもち、ほっこほこ。



餡もなめらかで、上品だ。

普通なら、これほどアツアツならば、白砂糖の甘さがたってくるのだが、
ここのは、素朴で、ほどよく甘い。
粟の控えめな味を引き立てる「脇役」に徹していて、
最後まで飽きの来ない、いい甘さである。

全く汁気のない、「あわぜんざい」は、冬の京の風物詩として覚えておこう。

北野天満宮の前の「澤屋」の粟餅もいいけど

より粟好きなら、「あわぜんざい」もオススメである。







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