学院の気功サークルでは、井穴にテイ鍼をして肩こりをとるという『霊枢・根結篇』の根結療法を皆でやっています。ふだん現代科学とかけ離れたことをしているからこそ、こういう研究は、楽しく思えます。わたしが西洋の現代医学に求めているのは、自分が絶対に出来ない発想です。Gerhard Litscherさんは、その代表です。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21981870
リンク先はPUBMED。
オーストリア・グラーツ医科大学Gerhard Litscherさんの
レーザー鍼に関する論文
「顔面での血液環流について、合谷への金属の鍼とレーザー鍼の比較
(Comparison of acupuncturing Hegu (LI4) by metal or laser needle on facial blood perfusion using laser speckle technique.)」
金属の鍼では、鼻と左右の前頭部のバイザーの域に即座の血流の増加があったが、口の領域では顕著ではなかった。
レーザー鍼では、鼻と左右のバイザーの域での増加があったが、違いは顕著ではなかった。
結論として、手の鍼は経絡につながっている遠隔の場所の顔面の血流に影響できる(Hand acupuncture can influence FBP in remote places connected by meridians)としています。
このGerhard Litscherさんのレーザー鍼と手技鍼はともに経絡現象を起こすという論文はGerhard Litscherさんの特徴が出ていると思います。
Gerhard Litscherさんは、ハイテクノロジーを用いての鍼の研究をしています。サーモグラフィーで、経絡そっくりの温度変化を測ったり、特殊なヘルメットを開発して、脳血流を測っている。超音波とレーザー鍼、fMRIやNIRSを使った測定などハイテク志向が強いです。
http://www.litscher.info/English%20version/index_e.html
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このホームページは左のAcu-Labというボタンをぜひclickして欲しいです。Gerhard Litscherさんのハイテク志向が凄く理解できます。
現在のGerhard Litscherさんの関心は、オーストリアでデータを測りながら、中国の人に鍼をするというテレアキュパンクチャー(遠隔鍼)です。西洋医学の遠隔手術やロボット手術を鍼でもしようとするものです。
おそらく、日本伝統鍼灸をやっている先生は、嫌悪感を感じるかもしれません。自分も最初、そうでした。自分の手で触診しないで、何やっているんだ!と思いました。
しかし、テレアキュパンクチャーは自分の中からは、発想が逆立ちしても出てこないです。そして、いまGerhard Litscherさんについて、Pubmedで見つけた全ての論文のABSTRACTを読んでみたところ、Gerhard Litscherさんの鍼はかなり深いものを見ていることに気づきました。
マルティン・ハイデガーは「技術」について語りました。世界は生成変化します。うまく訳せないのですが、ヴィトゲンシュタインは「論理哲学論考」で「世界が時間の経過とともに、降り注ぐ」ようなイメージ(Die Welt ist alles, was der Fall ist .英語ならThe world is all,it fallsになるのでしょうか?)を提示しています。結局、原子力発電も核兵器もまた、世界の生成変化の結果なのだと思います。
わたし自身は、原子力発電や核兵器、あるいはレーザー・アキュパンクチャーやハイテク・アキュパンクチャー、テレアキュパンクチャーなどハイテクと関わることは無いでしょう。わたしは人間の五感や潜在能力を追求したい。
しかし、一方で、テクノロジーは21世紀を生きる以上、目をそらせないものなのだと思います。