大朝日岳(1,870m)
まだ見たことのない、写真でしか知らない山です。果たして日帰りで歩けるのかどうか?地図上のコースタイムを単純に足し算するとおよそ9時間半になりましたが、確実にこれ以上かかると思います。期待と不安が入り混じって、歩く前から気持ちが高ぶってきます。陽の長いこの季節が一番のチャンスです。スタートの古寺鉱泉は、身震いするほど寒く、気温はおそらく10度を切っていたと思います。古寺川がすごい音をたてて流れていますが、登山道はすぐ川の流れから離れて、尾根へ取り付くように登っていきます。
樹林帯の登りがたんたんと続きます。ブナが多かったです。もしここが奥多摩や丹沢なら、名前が付いて名物になりそうなくらいに立派なブナが、当たり前のように聳えています。これだから東北の山は素晴らしいと思います。陽が差してくるとあっという間に暑さを覚えます。
水場の「一服清水」に出ました。水はほんの弱くしか出ていませんでしたが、少し手で掬って口にふくんでみると美味しいです。リュウキンカの花がたくさん咲いていました。
最初の残雪が現れました。微妙な傾斜がついて、折れた木の枝もあります。踏跡がなければ、もっと苦労したと思います。軽アイゼンは出しませんでしたが、使った方がよかったかもしれません。この日は残雪歩きが何回もありましたが、一番神経をつかったのは、標高の一番低いこの場所でした。
(登頂:2015年6月初旬) (つづく)