早池峰山(1,917m) (つづき)
雨が降ると分かっていて、山に登るのは久しぶりでした。普段は、少しでも雨が降りそうだと出かけません。
樹林帯を出ると、途端に強風が出てきました。雨のおかげで足場は滑りやすくなっています。のんびりと折りたたみ傘など差して歩いていたのが、一気に役に立たなくなりました。
最近、レインウェアは寒い時の合羽代わりでしたが、本当の性能を確かめるいい機会になりました。メガネに水滴が付くのは気になっても、身体はまったく濡れた感じがしないのだから大したものです。
今日はずっと雨雲の中を登るのかと思っていたら、途端に視界が広がり、さっと眼下に雲海が広がったのです。
天気の悪い日でも、こんな景色が見られるのかと思いました。
この場所では、1分前までは何も見えなかったのに、凄い変化です。そして7分ほど経つと、元に戻ってしまいました。
写真だけ見ていても、とても信じられないようなことが、山の上では本当に起こります。
頂上は、ゴロゴロと岩が集まった場所でした。観音様が祀られ、奉納された剣が、何本も刺さっています。早池峰山を形作るのは蛇紋岩で、滑りやすく登りにくい岩です。しかし、この岩がハヤチネウスキユソウを代表する、高山植物の宝庫を生み出しているのです。
今度は青空を眺めることができました。ぽっかりと、なだらかな山の姿のように青空が広がりました。
早池峰山の上空は、今日は少しの時間もじっとしていられなかったようです。
眼下の山並みが雲と一体になっていくようでした。
百名山76座目、思い出すとそのうち雨が本降りだったのが4座あります。
仙丈ヶ岳は、雨と激しい風の中登るのが大変でした。しかし翌日は一転快晴で、素晴らしい御来光を目の当たりにしました。
鹿島槍ヶ岳は、登りの日も下りの日も両方雨でした。遠くの山が見えたのは、時間にして30分もなかったと思いますが、それだけで心の底から感動しました。
早池峰山では、雨の日にしか見られない景色、不思議な眺望がたくさん見られました。
水晶岳は雨で残念でした。残念というか、山で悔しい雨だと思ったのはこの時だけです。今度こそ晴天の中登ってみたい!それ以外に山の印象はありません。覚えているのは山小屋のシチューがおいしかったことです。
雨が降っても、引き返さずに頂上まで登ってよかったと思った一日でした。
(登頂:2016年7月初旬)