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あらためての記-血管肉腫と心タンポナーデ(10)

俺たち兄弟

犬の心タンポナーデには、急激に体液や血液が貯まって、半ばショック状態になる犬、あるいは、ゆるやかに少しづつ貯量する犬と様々で、その予測は非常に難しいのだそうです。例えば、エコー検査で貯量が認められないと診断しても、その数十分後に心タンポナーデが起きる犬もいるのだとか。

また、心タンポナーデを起こす体液・血液の量も犬によって違い、250mlで起こす犬もいれば、わずか100mlで起こす犬、またアルファのように300mlくらいまでは耐えられる犬もいて、これも治療する上ではやっかいなことのようでした。そして、アルファのかかりつけの病院の院長先生の話によると、少しの量が貯まっているだけでは針は刺せない、ある程度の量が貯まってからでないと危険があって心膜穿刺はできない、その目安が、「容体がおかしくなったら」ということなのだと私は理解したのでした。

犯行現場の証拠写真

主犯格:幼 児 A 2歳

実行犯:アルファ6歳

アルファは、日曜日の昼を過ぎ、夕方になって、夜が来て更に真夜中、そして月曜の朝、病院に行くまでの時間、なんと21時間も息ができない状態の中で頑張り通しました。心臓から全身に送り出す血液量が少なくなった為に、血圧の低下も招き一気に体温が下がりました。勿論呼吸が苦しくなって、身体を横にすることさえ出来ません。お座りのまま、四肢を突っ張らせていましたが、やがてそれも疲れて身体を支えられなくなり倒れます。ふせの状態になっても苦しいので身体の向きを何度も変えて、それでもしんどくなって、また、お座りの姿勢に。

その様子はどんなに過酷だったか。そばにいても何もしてやれず、ただただアルファの身体を支え、さすってやることしかできませんでした。土曜日は仕事も休みで、アルファと終日一緒に居られて幸せだと思いましたが、それが一変してほんとに辛い時間になりました。

『辛い』という字がある。もう少しで、『幸せ』になれそうな字である…ずいぶん昔、何かの本で読んだ言の葉ですが、その逆のことが今起きているのだと痛感させられたのでした。

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