Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

茶碗の美

2008年02月29日 00時28分14秒 | 美術館・博物館etc.
『茶碗の美-国宝 曜変天目と名物茶碗-』
静嘉堂文庫美術館
※3/23まで
 http://www.seikado.or.jp/sub0201.htm

前回、稲葉天目が公開されたのは3年4ヶ月前である。
その時、初めて観たが、展示室前にあり、ガラス越しとはいえ、自然光で観た。
西日が邪魔して、青い光が見えなくて難儀したなぁ。
(ケースに貼り付いて、あっちこっちの角度から観て「ん?光ってる?」となんとなーく納得したり~)

今回は室内展示で、光の当て方もよく、バッチリ拝見できた。
二度めなので、わざわざ列品解説の日に行く。
平日の昼間とは思えない盛況ぶり。
前回は「曜変天目を観た!」ということしか記憶に残っていない。
が、今回は他の展示物も余裕を持って、味わいながら観ることができた。

解説が始まるまで30分間あったので、まずはじっくり観賞。
青磁茶碗から珠光茶碗まで、
天目茶碗も特徴別に。
井戸茶碗もいろいろ。
井戸以外の朝鮮茶碗も一通り。
楽家の茶碗も初代長次郎から十三代の惺入まで揃っていた。
(なぜ、惺入までかと言うと、静嘉堂文庫は戦後は新しい道具を一つも購入していないから~)
長次郎作の紙屋黒は、実際に太閤秀吉が口をつけた茶碗だそうだ。
(リアリティあるなぁ)
他にも、若くして亡くなった八代の得入さんの茶碗まであったので、感心した。
一昨年に観た三井記念美術館の楽茶碗で出ていた茶碗群(あれは三井と楽美術館のコレクションを中心にしていた)と、同じ作家による同じ楽茶碗だったけれど、切り口が違う。
同じ○入でも、「へぇ~。こういう茶碗も焼いていたのかぁ」と作品の幅を感じた。

楽以外の茶碗も点数は少ないが、内容が充実していた。
仁清の呉器写とか、意外な茶碗もあった。

さて、列品解説。
解説して下さったのは、長谷川学芸員。
何度か解説を伺ったことがあるけど、本当に親身にわかりやすくお話し下さる。

青磁茶碗も失敗すると、色があーなっちゃうのかぁ。
でも、それを珠光が「侘び」とかなんとか珍重しちゃうわけねぇ。
天目茶碗の釉薬の不思議にもランク付があるのねぇ。
難しい順?
曜変は窯変とも耀変とも表現されるけれど、なるほどね。
油滴、禾目、灰被、玳皮(たいひ)かぁ。
天目台もリッパだなぁ。
瀬戸天目だと思われた茶碗が実は唐物(灰被)で、
唐物(灰被)だと思われた茶碗が、瀬戸で焼かれたもので。
後から判明した事実もあったらしい。

茶碗が黒いのは、抹茶を泡立てた時、よく映える色だからだって。
(昔はお茶の色は白かったらしい)

井戸茶碗の見所も教えていただいた。

曜変のナゾもあと10年くらいの内に解明される可能性大?
炎の温度が生み出す神秘だけど、その謎解きと復元もまた楽しみ。

面白かったのは全てのお茶碗の重量がボードに記載されていたこと。

以前、楽茶碗の作陶体験した時、「削って、300gにしなさい」と云われた。
最初は500g以上あったものを削って削って、でもコワくて450g。

後日、先生から茶名襲名のお祝いにいただいた黒楽を測ったら、本当に300gだった。
一時期、茶碗を持ったら重量を推測するのに凝ったこともある。

展示解説の後は、地下の講堂に場所を移し、スライドによる解説。
さらに見所を知る。
結局、解説は1時間半!
終わった後、さらにもう1回、観賞した。
(滞在時間2時間半?)

静嘉堂文庫美術館は所蔵品のみの展示のみ。
だけど、これだけコレクションが充実していると、とても見ごたえがある。
もちろん、コレクターの好みがあるだろうし、親子2代限りのみの収集なので、全てを網羅しているわけではないけれど、これだけあれば充分。
(今回の展覧会も非常によかったので、展示目録を購入した)

残念なのは、この展覧会が終われば、しばらく茶道具の展覧会はないこと。
(去年は春に漆工芸、夏に青磁の展覧会があったんだけどなぁ)

静嘉堂とも、しばしのお別れ~。
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2 コメント

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天目茶碗 (m-tamago)
2008-03-01 18:01:35
akatsukiさん、こんにちは。
私も先日行ってきました。学芸員さんの説明がある日に行くと色々お話がきけていいですよね。
私も重さが書いてあることに興味を持ちました。あまり気にしたことがなかったけれど、なるほどなーと。
返信する
Unknown (Akatsukian)
2008-03-02 22:59:32
m-tamagoさん
最近は解説テープが多くなってきましたが、やはり展示を企画した学芸員さんの解説の方がいいですね。
特に、静嘉堂は切り口が面白いです。
返信する

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