Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

大茶の湯釜展

2016年07月18日 06時31分29秒 | 美術館・博物館etc.
★MIHOミュージアム サイト
 『極 KIWAMI 大茶の湯釜展 ―茶席の主―』 ※7月31日(日)まで

茶釜をテーマにした展覧会を大西清右衛門美術館関係以外で鑑賞するのは
2007年冬~2008年正月に五島美術館細見美術館で見た『芦屋釜の名品』以来だ。

今回は茶の湯釜の成り立ちから網羅的にわかるという点と
重要文化財指定の9点も一挙に拝見できるという点で
茶釜を勉強にするには贅沢すぎるほどの唯一無二の展覧会。

よくこれだけ集められたなぁ、と感心、いや感動した。
(ちなみに、現時点では国宝指定の茶釜はまだありません)

茶の湯釜の起源がどこにあるのか、今まで考えたこともなかった。

奈良時代に寺社で使用された緑釉の羽釜だったとは!
(初めて知った)

展覧会の最初に目にしたのは興福寺一条院から出土した緑釉羽釜(重文指定)。
破片を継いで形に復元した姿は、確かに茶釜そのもの。

次にやはり奈良時代から平安時代のものらしい緑釉釜と火舎が2組。
こちらも出土品で、言われてみれば風炉釜のセットのようだ。

釜は平釜の形状で火舎には火窓があき、ここから火を入れて湯を沸かしたのだろうなぁ、と推察できる。

その次は鉄の三足釜。これも平安時代だか、このあたりになると何となく見覚えがある形状。
そして、大きな鉄釜。鎌倉時代。これはもうわかる。
大量に湯を沸かす際に用いたという理解というか、ほかで同様のものを見かけた覚えもある。

(実物は拝見できなかったけど、同時代の絵巻物にも描かれている)

ほー。なるほどーと思わせておいて、一挙に茶釜の魅力へと引き込まれていった。

いきなり、芦屋の真形釜。形といい、尾垂という素晴らしく、お手本のような、、、相国寺蔵の重文指定品。
時代も一挙に下って室町時代。

浜松図真形釜もステキ。重文指定。文化庁保管だから、トーハクで見たことがあるかも。

蓋の撮みが鳥居になっている霰地楓鹿図の真形釜。
細見美術館蔵だから8年半前の展覧会で出ていたと思うが、見た記憶は残っていない。

霰の合間に描かれている鹿さんがなんとも言えずカワイイ。
(解説にはないけど、安芸の宮島のイメージが浮かぶ)

楓流水図鶏図真形釜は環付が立派な獅子? いやアマツラという。
尾垂の下の格ばった下釜がアマツラにあったどっしり感を演出している。
九博所蔵。

極楽津寺尾垂釜も。。。。立派だったが、記憶が。。。

ここまで重文品が一挙に並んで「これでもかっ!」というくらいに続いたので
頭の中がもはやMAX状態になってしまった。

ちょっと、落ち着かせてから鑑賞を再開。

今回は東西の茶道具コレクション美術・博物館からの借り出しも多いけれど、
個人蔵の茶釜も出ていて、これがすごい。

責紐釜。
口の立ち上がりにひっつくようについた環付。
(私にとっては)浄清の作品でお馴染みの茶釜の形。

もともとは油壺だったようで、環付は環ではなく紐を通して油がこぼれないように蓋をきっちり締めるためだったという。
形も半球状で優雅。肌合いは荒々しい。

阿弥陀堂釜も典型的な正しい形。もちろん、与次郎作。

阿弥陀堂から依頼されて、利休さんがデザインして与次郎に作らせた。
出来上がりが気に入って納品しなかった~?
利休さんらしいエピソードが残る釜。

五島美術館で見たことがあるような気がするけれど、今回は個人蔵。
ちゃんと現役で活躍しているような感じがして、それが個人蔵ならではのすごさ。


と、この調子で書いていくともうキリがない。

湯木美術館、細見美術館、根津美術館、トーハク、藤田美術館など
私が足しげく通う所からの借り出し多く、おそらく初見ではない茶釜も多かった。

だけど、こういう展覧会で鑑賞すると、また違った印象があって面白い。

大西清右衛門美術館で何度も見た大西家歴代の作品ですら新鮮に見えた。

天明釜と芦屋釜の比較とか、切り口も工夫されている。

オーディオガイドも丁寧でいい。
対話形式になっているかと思えば、熊倉功夫先生の解説も多くて。
「ほー」と思っていたら、MIHO MUSEUMの現館長さんだった~。
(肩書がよく変わるなぁってか、引っ張りだこ?)

図録は淡交社刊。(訪れる前日、新聞下段の広告で見かけて「あれ?」と思った~)
なので、滋賀まで行けない方には図録購入をおすすめしたい。

『極 茶の湯釜: 茶席の『』
 企画・編集 MIHO MUSEUM
 淡交社 2016年刊

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