Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

彦根更紗と景徳鎮

2008年09月23日 00時20分00秒 | 美術館・博物館etc.
特集陳列「茶人好みのデザイン~彦根更紗と景徳鎮
東京国立博物館平成館
※10月19日(日)まで

 企画したのは中国陶磁が専門の若い学芸員さん。
 「普段、東洋館で目立たず陳列されている中国陶磁に光を当てたくて」との弁。
 魅力的な展示を考えるうちに、陶磁器を包む箱や裂地にも注目し始め、
 東博に所蔵されている彦根更紗と併せて展示することにしたらしい。

 「彦根更紗」とは彦根藩が収集した更紗のコレクション。
 一枚一枚、和紙に貼って整えれらている。
 その数450枚。
 今回展示されているのは20枚。
 いずれも17世紀から18世紀にかけてのインド更紗。

 柄がバリエーションに富んでいて面白い。
 南の国特有の大柄で華やかな花、人物、動物もあれば、
 ヨーロッパにも輸出された唐草と小さな花を縦に散らした柄、
 あと、小さい型の柄。
 扇らしき模様もあって、「ん?」
 日本からそのような柄を注文したものらしい。

 今、朝鮮陶磁の本を読んでいるが、御本など日本からの注文品が出てくる。
 
 昔、鎖国当時は貿易も限られた国のみと学校では習った。
 なので、非常に閉鎖的なイメージをもっていた。
 しかし、それは理解不足だったのかもしれない。
 貿易相手国を介在した広範囲の“交易”があったり、
 海外に日本好みのデザインを注文したり、逆輸入したりと
 意外と“開放的”な面もあったのかなぁと、認識を新たにした。

 また、これら“輸入品”は“逆輸入品”の多くは茶道具に取り入れられている。
 とくに、お茶を嗜む大名は茶道具を通して、豊かな国際感覚をもっていたかもしれない。
 とも思った。

 一緒に並んでいる景徳鎮も、安土桃山から江戸時代にかけて輸入され、日本で愛用されているもの。
 五彩の花唐草の大きな鉢は平水指として、用いられた由。
 また全然シブくないけれど、茶入になったと思われる仕服を伴った五彩の小壺。
 もちろん“見立て”なんだけど、茶人としては大事な感覚。

 さて、見事な更紗の数々ではあるが、素材は木綿100%。
 それゆえに、仕服や古帛紗など道具に直接触れるものではなく箱を包む裂地になった。
 でも、道具を包んで大切にする文化は日本独自のもの。
 そして、人目には触れることのない箱や裂地にも美学を求めたのも日本の美意識。

 今回は日本人が大事にしてきた感覚や美意識を再認識し、自分も養っていくことの大切さを学ばせてもらったような気がする。

 なお、秋の五島美術館の更紗展は東博の彦根更紗450点中の300点がお出ましになるとか。
 それも楽しみ。  
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