バロックヴァイオリン 佐藤 泉  Izumi SATO

「コンサート情報」や「日々の気づき」などをメモしています。

日向の匂い (沈黙の原題)

2017年02月09日 | 日記
雪空です。キリリと寒いのもいいものですね。


先日の「沈黙」ですが、原稿に書かれた題名は「日向の匂い」だったそうです。
編集者が「これでは迫力がない」 と”沈黙”を推薦されたそうですが、

のちに”神は沈黙しているのではなく語っている”という「沈黙の声」という意味を込めての題名が
「神の沈黙を描いた作品」と誤解を受ける原因となったのだそうです。

遠藤さんはそれを悔やみ、「日向の匂い」という抑制の効いた題名の中で、小説のテーマを読み取ってもらいたかった・・・「屈辱的な日々を送っている男が、あるとき自分の家のひなたの中で腕組みをしながら、過ぎ去った自分の人生を考える。そういうときの(日向の匂い)があるはず・・・言い換えれば(孤独の匂い)。。。
と仰っていたそうです。

世の中表面的な受け取りが蔓延して、誤解を受けることの方が多いけれど、
これは特に、誤解を解いておきたいと思っておられるだろう・・・とお察しします。


遅まきながらプログラムを見てみると、あまりにも違和感のない、自然な演技だったので(演技かどうかも考えないほどの)役者が上手いとか 達者だ・・・など全く気付かせなかった俳優の面々が、どれほど凄い名優だちだったのか、今頃気が付きました。。。

名演奏家と同じで、誰が演奏しているかを忘れさせる、音楽だけが立ち上る演奏、
統治していることを感じさせない最高の君主、などに似ています。

何より監督がどれほど原作に忠実に、深く尊敬して注意深く寄り添い、細かい配慮を重ねに重ねて撮影されたかも知りました。

これはもう一度、映画としての醍醐味を観に行きたいと思ったら、今週いっぱいで上演終了のところもあると分かり、慌ててもう一回行ってきます!




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続・沈黙

2017年02月06日 | 日記
良く晴れているのに暴風で、春の嵐にしては早すぎる?ような気がする朝です。
いかがお過ごしでしょうか?

映画「沈黙」<原作 遠藤 周作+ マーティン・スコセッシ監督>
観ました!

10人未満の観客でしたが、この映画を観るのには相応しい状況かもしれません。
まだご覧になっていない方もおられるので、内容には触れないようにします。
最後の一部を除いては原作に忠実に作られているようでした。

しかし本で読むのと映像では、心の揺さぶられる場所が全く違うことに驚きました。
やはり原作を読んで映像を見るとより細かく強く遠藤さんの悩みが浮かび上がります。
また作者と監督の描き方の違いなどが興味深いです。

しかしどちらにしても、この作品と原作から湧き上がる深い問いは変わらないと思いました。

あらゆる宗教の人、あらゆる文化に根をはる人々、
権力の側にある人、自分が強いと思っている人、弱い立場だが強い人、弱いことに気づいている人、無知な人
自己中心の人、単純に物事を決めつける人、すぐに諦める人、理想を追い求める人 etc
今与えられている状況がどうあれ、皆が弱い、儚い存在の人間に投げかけられた問の深さ。
そして遠藤周作がたどり着いた答えが最後に湧き上がって来ます。

全編を見て考えると、一番弱い立場の人が、実は一番悩み、後悔し苦しむうちに、いつしか実は強い何かで導かれていることにも驚きます。

歴史的な英雄については多くの本が語り継いでいくけれど、歴史から人間の都合で消された存在を400年以上経って掘り起こし、光を当ててくれた遠藤文学に感謝と敬意を表します。
こうした人たちのお蔭もあって今があるのですから。

急激に時代が逆行する今の時代だからこその問い。
簡単には答えは出ないけれども、祈り求めるうちに 答えでなく、応えは与えられるのだと感じます。



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「沈黙」 

2017年01月22日 | 日記
昨日から全国で封切られた 映画「沈黙」 <原作 遠藤 周作+ マーティン・スコセッシ監督>は

昔からのファンにとっては、嬉しい一報でした。

映画を観る前に 原作を読みなおすとともに、
狐狸庵先生として書かれたユーモアたっぷりのエッセーを懐かしく思い出しました。

若い時教訓になったことの一つで、一番よく思い出すのは

「人間は自分が正しいと思った時に間違いを犯す。それは歴史が証明していること」と仰っていたことでした。

どんな非情な犯罪も、大きな対立も、小さないざこざも、自分が正しいと思うからこそ傷口が拡大する。

非寛容な時代にまた逆戻りしつつある今だからこそ、この小説と映画が登場したのだろうか。。。

更に厳しい時代が来ることを予感させる今回の映画公開か?と複雑な気持ちになります。

しかも大統領が変わる前日に封切りとは。

周作先生なら、それと周作先生も一目置いておられた河合 隼雄先生なら新大統領に対して何と仰っるだろうか。



原作を読みなおしてみると、若い頃とは見え方が随分違うことにも驚くけれど

東西の文化・文明の衝突から生まれる 脳がシャッフルされるような根源的な問いがいくつも現れます。


それにしても気が遠くなるほどの執筆の準備、それを成し遂げた体力気力(大きな手術をされて病身だったにもかかわらず)、

そしてそれを可能にした やむに已まれない主題。

それはどこから来たのだろうか。

本人の生い立ちや仏留学でのカルチャーショックなどで説明がつくとは思えない。(それは必要な経験だったのは間違いないが)

本人も「書いている最中誰かが筆を動かしているように感じた・・・」と語っていますが、特に「沈黙」は

遠藤 周作の代表作であることを超えて、世界に送り出された作品であるように思われました。

バッハに共通する生き方。。。

50年前に作品が発表された当時 批判は強かったと聞いています。

教会のミサにも行けない時期があったそうです。

当時の神父様の中には「これは遠藤さんが捉えられる範囲で考えられたキリストであって、本来のキリストは人間の想像をはるかに超える」(ごもっとも) とか、

「この小説は信仰のつまずきの元になる」と仰るシスターもいらっしゃいました。


へえ~~、と呑気にそれぞれの考えを聞いていられる私ですが

まさに一人づつ全く違う印象・考えを持つことが、神や自然の多様性を 写した鏡なのかもしれません。

もう一度 暖かくユーモアに溢れた <誰も排除しない>狸狐庵先生のエッセーを読み直したいと思うこの頃です。

良い日曜日を!


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歯磨き粉

2017年01月12日 | 病は気から?
こんにちは。

ウインドウズ10を更新した日から、ネットに中々繋がらずご無沙汰致しております。

唐突ですが、歯磨き粉のお話しです。

洗剤やクリームと同じように乳化するための界面活性剤が、肌のバリアーを破って中に薬剤を入れると

本で読んだので、せっけん歯磨きを使って随分長くなります。

先日出先で歯ブラシセットを買い、久しぶりに所謂一般の練り歯磨きを使ったのですが、

直後から「今日は肩がエラクこったのか、歯が浮いているし、歯茎もオカシイ。。。」と思っていました。

後に同じような体験をした方に会い、これが歯磨き粉のせいだと知って、本当に怖くなりました。

舌の組織も壊されるので、味が分かりにくくなるそうです。
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ヘンデル渾身の賛美

2017年01月08日 | コンサート情報
バッハファンからは、つい ヘンデルね。。。。という声も聞こえますが、

作曲家の真価が一番現れるのは宗教曲。

ヘンデルのメサイヤ。


若い頃から仕事で弾きすぎて食傷気味だと思っていたのは、大変な思い違いと傲慢でした。

古楽の研究が進み始めて30年、一般の歌手の方もその影響を受け、モダン演奏でもその進歩は驚くほどです。

丁寧に選ばれた歌詞、対位法も駆使し、また数々のレトリックを使って差の細部まで表現しているこの曲を全曲通して演奏し、最後のアーメンコーラスまで来ると、

この3時間が ヘンデルによる 渾身の神への賛美となっていることを体験します。

バッハは本当に他の追随を許さない、でもヘンデルもバッハが会いたいと思ったほどの作曲家であることを実感したリハーサルでした。

広陵中学 と市川中学の合唱が数曲入るのですが、天使の歌声の少年少女が 大人には出来ないキリストが天国へ昇る様子を表してくれます。

コンサートは明日 2:00から 姫路のパルナソスホールです。

まだお席はあると聞いています。

食わず嫌いの方は是非一度お試し下さい!
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