この本、昭和50年代に書かれた赤川次郎の短編集です。
デビューしたての頃の昨品です。
赤川次郎は一時日本の作家長者番付で連続一位になっていて、超売れっ子作家でした。
しかし、へそ曲がりの私は、彼の作品を読みもせずに「なんだかなあ。文学的香りが全然無い。大衆的なのね」と毛嫌いしてたのです。
ところがどっこい、今も雑誌に彼の作品が載ってます。
優しく面白く読み易い、年代が同じという事もあって違和感を全く感じません。
難しければ高等だとか、深刻な悲劇じゃないと文学では無い、と思えたのは若さゆえなのでしょうね。
短編集は、利己主義で部下に残酷な上司の殺害を企てるサラリーマンとか、懸命に働いてマイホームを得たサラリーマンを待つ黒い罠とか、こわ〜い中身です。
ただし、全編ユーモアで味付けされて救いが用意されてます。
これは邪道ですが、彼の生い立ちを知ってから作品を読むと別の感慨があります。
彼の生い立ちは非常にシビアなものがあります。
彼の父親は別に家庭を持っていました。母親と二人、かなり経済的精神的に苦しい思いをしました。
大学進学も果たせませんでした。
人は見かけで判断出来ません。
就職して、下っ端のサラリーマンとして苦労したようです。本著はその経験を活かした作品なのでしょうね。
おやつのくず桜です。
つるりと口に入る涼しい味、今の時期にピッタリの和菓子です。