私生まれて初めてコミックを買いました。
漫画なんだけど、手塚治虫、赤塚不二夫の時代と一線を画するのがコミックだと思います。
90年代と言えば、綺麗な幻の様なバブルの世、一世を風靡したTVドラマが柴門ふみ原作の『東京ラブストーリー』(1991年)でございます。
その頃勤めてた部署に居たのは、カワユイ若手ばかり、時代の影響もあってピカピカの青春を謳歌してました。
私もつられて興味しんしんで、『東京ラブストーリー』観ました。
鈴木保奈美演じるリカはとってもキュートだったけど、なんか違和感があった🤭
生まれた時代の差を感じちゃった。
売れっ子の作者、柴門ふみは1957年生まれです。たいして年が違ってないのに感覚違うと思っていたのです。
ところが、コロナ時代の今見ると、『東京ラブストーリー』ももう「昔」の話です。
そして、柴門ふみさんは、眩しい肉食の時代の「恋愛の教祖」だった人になってしまいました。
今日は、柴門コミック名作集から、1980年代の青春を描いたものを紹介します。
80年代、自他共に認める女の子の一番の幸せは好きな人との結婚でした💒
この短編の主人公、リカコは19歳の夢多き女子大生です。
アルバイトしてる画廊で30歳の寡、今井と出会います。
そして、亡くなった美貌の妻の思い出から抜けられない男の一途さに惹かれていくのでした。
表題の『恋のトライアングル』とは、彼とリカコと幽霊の妻との三角関係を意味してます。
リカコが彼の家を訪れると、今井が喜んで迎えてくれます。しかし家の中は妻の思い出に満ちているのです。
ずっと会いたかった人には、太刀打ち出来ないライバルがいた、リカコは思い悩むのです。
一生にただ一度ただ一人の男性だけを愛そうと心に決めて、その男性に会えたのに、男は過去に生きているのでした。
そんな初心な彼女を狙うプレーボーイの麻泉。ライバルがいると男は燃えるものらしい。
盛んにリカコにアタックします。
そしてとうとうリカコを一泊旅行に誘います。
そしてとうとうリカコを一泊旅行に誘います。
ここで面白いのがリカコの行動です。
淑やかに麻泉の誘いに応じながら、その晩今井の家を訪ねて、「抱いて下さい」と頼むのでした。
そして一夜が過ぎ、、、。
翌朝、今井はPTA宜しく気をつかって、彼女を他の男との旅に送り出すのです。
自己嫌悪に駆られながら豪華なホテルでカッコイイ麻泉と一泊するリカコ。
そこで麻泉は「自分は勝った」と宣言するのです。
つまり今井は心密かにリカコを思っている、けれど口に出せない、それを充分承知していたのでした。
ただ麻泉も昨夜のリカコの突拍子もない行動に気づいていなかったのです。
クルクル変わる女心、純情さを失った自分に、リカコはつくづく自己嫌悪を感じるのです。
こんな経緯がありながら、奇妙な恋は続きました。
月日が過ぎたある晩、リカコは今井の義妹から、「彼は本気でリカコが好きなのだ。しかし亡くなった妻がそうだった様にいつか自分を裏切るのではないかと怖くて、本心が打ち明けられないのだ」と告げられました。
「好きな人が自分を好きだ、それ以上に何を望むの」
時代を超えた恋の真理でありましょう。
私はしばし、タイムトラベラーとなって柴門ふみの世界に浸ったのです。