岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

リフト索道上に落石 / 「生物多様性」を考える前に「生物多様文化性」を…

2010-10-07 04:12:34 | Weblog
(今日の写真は、「陸奥新報」に「落石でリフト運休/岩木山」という見出しで掲載されていたものである。
 その前に、テレビのニュースで知ったので直ぐにでも現場に出かけて、調査をしたかったのだが、何せ歩くこともままならない「身体事情」を抱えていたので、じりじりと痛む患部に耐えながら、気持ちも「じりじり」と焦っていた。

 「陸奥新報」の記事には次のようにあった。
 …岩木山の8合目と9合目を結ぶリフトが30日、落石のため運転を中止した。管理する岩木スカイラインの梅原寛部長は「けが人がなかったのが不幸中の幸い。早期復旧に努めたい」としている。
 同社によると、29日は強風のためリフトを運転しておらず、落石は30日午前8時ごろ、確認された。リフトは全長約500メートルで、落石現場はその中間付近。石は高さ約1・8メートル、幅約1・5メートル、奥行き約1・2メートル。
 岩木山は木々が色付き始め、好天となった同日も8合目の駐車場は県外ナンバーの車が多く見られたが、東京から訪れたグループ客は「何でリフトが動かないの」と残念そうにしていた。
 梅原部長は「紅葉シーズンを迎えて運転できないのは痛手だが、安全を最優先した。岩は砕いて除去したい」などと話した。…

 この問題について、「現場検証をしないで何だ」という誹りは免れないかも知れないが、これまで、40数年に渡って、観察調査してきた「体験」をもとに、少し書いてみたいと思うのである。
 スカイラインターミナルよりも上部は、主にダケカンバ、次いでミヤマハンノキやチシマザサに覆われている。だが、リフト索道を建設し維持するために、それらの樹木や竹は、幅5m以上、長さ500mに渡って、ほぼ直状に剥ぎ取られている。これだと、「落石や転石」が顔を出すのは当たり前のことだろう。
 リフトはターミナルから鳥海山南端の岩稜突端に鉄塔を数十基敷設し、それを策条で連結して「客」を運ぶ構造になっている。
 上部が岩稜帯であるということは「岩の落下や転石」は自然界の習わしとして、常時あることである。それが、人目につかないのは「落下や転石」が「ダケカンバやミヤマハンノキ」の樹林帯の中を移動するからであり、その多くはこれら樹木に阻まれて、途中で停止するからである。

 写真を見る限りでは、この岩は、リフト索道左岸尾根から転がってきて、途中の樹木等に遮られながら、スピードを落として、索道内で停止したものと推測される。
 「運がよかった」としか言いようがない。ここで停止せずに、索道に沿って落下、転石していたらどうなったのだろう。鉄塔自体も無傷ではすまなかっただろう。下部ある「リフト」の発着所も壊されたかも知れない。
 さいわい、人的な被害はなかったが、「上部に岩稜帯」を持つリフト運営主体は、「いつでも落石と転石」は起こりうるものとして、「ターミナル」から「索道」左岸上部の点検を日常的にするべきだろう。安全基準に満たされている「都市」ではない。標高1300m以上の高地であり、「低くなろうとする山岳」の自然な営為が息づいている「大自然」の中なのである。「都市感覚」で対応していては、必ずや「大事故」に遭遇するだろう。

 「リフト索道」から少しの下部には「登山道」がある。「索道」に沿う形で直進し、程なくして右折するのだが、丁度その場所に、数年前から、「仁王」のような岩が立っているようになった。それまではなかったのである。
 これも、そこより高い場所から落石、転石してきたものである。私は密かに、自分勝手に「仁王岩」と名付けている。そして、毎年、「その岩が下方に向かって動いていること」を、スケールを使って測っている。岩の動きはその年の積雪によって違う。数㎝のこともあれば、全く動いていない年もある。今年がそうであった。このように、少しずつ動いて、バランスが崩れると、転石となって移動するのである。この岩は、今後、「ターミナル駐車場」に転げ落ちていくことは十分に考えられるのである。) 

◇◇「マツタケ(松茸)」の持つ生物文化多様性(2)◇◇

(承前)…

 「生物多様性」から「マツタケ」をとらえると、次のようなことを挙げることが出来るだろう。
 …発生時期には地域差があり、高緯度の冷涼な地域での発生は、8月末頃から始まり九州などの比較的温暖な地域では、11月末頃まで発生する。
「マツタケ」は、普通の「キノコ」のように地表に顔を出して傘が開ききってしまうと、香りも味も落ちる。地表からわ1、2cm程度、顔を出したところを根本から押し上げるようにして採取するのがいい。「生えている」場所を知らない人が、いくら探しても採ることが出来ないのはそのためである。なお、地衣類の多い場所では「傘」が見えないこともある。
 主に赤松の根に共生する菌根菌のため人工栽培が難しく、完全な人工栽培には成功していない。…  

最新の画像もっと見る