~「にほんごひろばQ&A」の回答作成時、参考にしているハンドブック・各種辞典など~
’14.10.26(日)
S城市国際交流協会で毎週水曜日の午後7時半から9時まで開いている日本語教室の名は「Sしろにほんごひろば」。
このひろばで学習者やボランティアから出てくる疑問、質問、難問については「にほんごひろばQ&A」としてまとめておき、
回答を添えフィードバックするよう試みている。その初期のものを見てみよう。
回答は、他の資料を見なくてもその場で読めば理解できるように編集してある。
回答源はネットであったり手持ちの参考書、辞書、辞典、過去資料、日本語テキストであったりするが、
この「にほんごひろばQ&A」を教室「にほんごひろば」外で使用する意図はなく、専ら本教室のグループ内での
日本語理解と学習支援に役立てるために作成しているものであることを宣言しておきたい。
ただ、
この「にほんごひろばQ&A」綴りがひろばグループ内で有効活用されているかどうか、
それは今のところ不明であるが---。
~~「にほんごひろばQ&A」~~
Q1:ずうっと、と いつも、の違いは?
Answer:(参考資料より)
●「ずっと、ずうっと」の使用例と説明(cf.L31 all the time )
「ずうっと」は「ずっと」の強調形で日常会話中心に用いられる。
(1)
①前作よりも今度の絵のほうがずっと出来がよい。
被害は予想よりもずっとひどかった。
②彼とはずうっと以前に別れたきり会っていない。
真犯人はずっと後になってから名乗り出てきた。
③風船はずうっと向うの空の彼方へ飛んでいった。
母はあなたのことをずっと遠くで見守っている。
(2)
①三日前からから雨がずうっと降り続いている。
彼はこのところずうっと家にいない。
豊橋から新城までずうっと立ちっぱなしでくたびれた。
②坂の上から下まで桜並木がずうっと続いている。
この道をずうっと行くとお寺です。
(3)
①さあさあ、こっちへずうっと入って、入って。
②会場をずうっと見渡してみたが、目当ての女性はいなかった。
【説明】
(1)ある状態の程度が高まる様子を表す。プラスマイナスのイメージはない。
① は状態を表す語にかかる修飾語。他のものや過去の状態などに比較して程度がはなはだしい様子を表し、
比較の暗示がある。 (もっと、さらに、に似ているが若干暗示の内容が異なる。説明省略)
② は時を表す名詞に係る修飾語。
③ は距離や方向を表す語にかかる修飾語。
②③は単に程度がはなはだしいことを表し、必ずしも比較して述べているとは限らない。
(2)時間的、空間的に継続している様子を表す。プラスマイナスのイメージはない。
かなり客観的な表現で同じ状態が継続することについて特定の感情は暗示されていない。
① は時間的に同じ状態が継続しているという意味。
② は空間的に同じ様子が継続しているという意味。
(3)ためらわずに最後まで行動する様子を表す。プラスマイナスのイメージはない。
動作にかかる修飾語。
② は行為に際しての遠慮なさが暗示されるが、失礼の暗示はない。
●「いつも」の使用例と説明(cf.L6 always、usually )
(1)
①部長はいつも怒ってばかりいる。
そういつもうまくいくとは限らない。
②ママはいっつもボクばかり責めるんだから。
(2)
①日曜日はいつも(の日)より遅く起きる。
②いつもはうまくいくのに、今日だけ間違えた。
③今日の彼女はいつもの彼女と違うみたいだね。
④(食堂で)オレ、いつものでいいや。
⑤(デートの約束)じゃあ、6時にいつもの所で。
⑥いつもの通りにやれば失敗しないよ。
【説明】
(1)時と場合によらない、という様子を表す。
原則プラスマイナスのイメージはない。述語にかかる修飾語として用いられる。
ある行動や状態が常に同じようで例外がないというニュアンス。
日常会話で強調して用いる場合にはしばしば②のように「いっつも」と「つ」だけが高い中高型のアクセントで
発音され、やや誇張的ニュアンスがこもり、マイナスイメージに傾く。習慣性と一般性の暗示があり例外のない
ことを強調する。 (いつでも、つねに、たえず、などに似ているが暗示内容などが異なる。説明略)
(2)通常や普段の状態を表す。プラスマイナスのイメージはない。
① は名詞に、②は述語にかかる修飾語、③~⑤は名詞にかかる修飾語、⑥は名詞の前に直接つく用法である。
通常の習慣的な状態や物事を表し、一般性の暗示がある。④の 「いつもの」は、普段注文している料理、
⑤の「いつもの所」は普段デートしている場所の意である。
(ふだん、に似ているが若干ニュアンスに違いがある。説明省略)
結論:「ずっと」の(2)項と「いつも」の(1)項の違いについて比較すること。
(該当項目以外の例文比較は提示しないこと。思考を錯綜させることになる。)
参考:(ネットより)
『机に花がずうっと置いてある』:同じ花が、ある時点から現在まで継続的に同じ状態であることを示しているように
読み取れます。
『机に花がいつも置いてある』:その机を見る機会があるときには必ず置いてある(例えば友人の家を訪ねると、
必ず花が飾ってある)ように読み取れます。その花は前回見たものとは違う花でも良いでしょう。
即ち、
『ずっと』には継続的な意味合いが含まれ、『いつも』は、その机を見るときはいつでも、つねにのように、ある条件
を満たす時の様子、を表しているのではないでしょうか。
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Q2:将来、と 未来、の違いは?
Answer:(ネットより)
(cf.将来:L28 future 未来:ナシ)
「使い方の分かる類語例解辞典:小学館辞典編集部」の語釈は以下の通り。
未来:過去、現在と対立する客観的な時間の概念である
将来:具体的な人や組織などがこれから持つであろう具体的な時間
(参考:三省堂・大辞林より)
未来:
① 時の経過を三つに区分した一つで,これから来る時。将来。
② 〘仏〙 三世の一。死後の世界。あの世。後世。来世。未来世。
③ 主として西欧語の文法で,動詞の時制の一。過去・現在に対して,動作・作用・状態などがこれから行われる
ものとして表す表現形式。
将来:
これからやってくる,時。これから先。普通,未来より現在に近い時をいう。副詞的にも用いる。
「 -が楽しみだ」 「 -に備える」 「 -きっと後悔するだろう」
1.副詞的に用いる場合
(ア)将来、あなたはどんな仕事をしようと思っていますか。(○)
(イ)未来、あなたはどんな仕事をしようと思っていますか。(×)
「将来」は副詞的用法があるが、「未来」にはない。
2.具体的な個人や組織がこれから持つであろう時間にプラス評価を与える言い方
(ア)君には将来が約束されている。
(イ)君には将来があるんだから、ここで短気を起こさないほうがいいよ。
この場合の「将来」は出世、昇進、地位の向上、と同義である。
これを「未来」に置き換えた場合、(ア)は少々不自然だが非文とは言えない。
「すばらしい未来」と限定されると、「将来」または、「将来性」に近い意味になるようだ。
(イ)は「将来性」があるから、短気をおこすなということを述べている。また、「未来」としても、非文とは言い難い。
3.名詞「将来」はその主体のもつ具体的な時間を表す
(ア)将来に備えて、食糧を蓄えておかなければならない。(国の将来、個人の将来)
(イ)今回の事件は世界の将来に暗い影を落とすだろう。
(ウ)今晩は大学の将来を考えるというテーマで議論します。
これは「未来」に置き換えると、国、個人、世界、大学のもつ具体的な時間という印象が弱くなるようだ。
現在と時間がつながっていないような印象があり、「非現実的」「他人事」のよう に聞こえる。
4.名詞「未来」は単純に過去,現在に続く時間という意味。
(ア)豊かな未来を切り開く新製品。
(イ)このアイディアは未来を先取りするものだ。
この「未来」は現在と比較した時間である。
(ウ)その少年には未来があるという点でこの老人とは違っていた。
この「未来」は老人に比べ、その少年が現在から数えてたくさんの時間を持っているという意味である。
これを「将来」に置き換えると、ニュアンスが変わってくる。
単純に多くの時間という意味だけでなく、それに何か特別なものがあるような印象を与える。
例えば、どんどん成長する可能性とか、ほかの少年やその老人にはない彼だけの可能性など。
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Q3:行ってくる(行ってきます)、と 行く、の違いは?
Answer:(参考資料より)
(cf.L43)
前提:「~ていく」・「~てくる」という組み合わせパターンで説明するのが普通である。
語形としては「Vて形+いく」・「Vて形+くる」であり、ていく・てくる、をひらがなで書いて補助動詞として扱う。
空間的用法(主体の移動、対象の移動)と時間的用法がある。参考までに前半はそれらの例文だけを載せ
詳細説明は省略、後半それらの中の、「行ってくる」に特化して取り上げることにする。
参考1:「~ていく」「~てくる」の空間的用法(主体の移動):
話し手の発話時の位置から離れていく遠心的方向性(「(~て)いく」と、
その位置へ向かってくる求心的方向性(「~て」くる)を持つ動作や出来事に対して。
① その飛行機は西から飛んできて、東へ消えていった。
② 演奏会にこの前買ったドレスを着ていった。
③ (電話で)A:途中でお酒買ってきて。B:じゃあ、買っていきます。
参考2:「~てくる」の空間的用法2(対象の移動)(~ていく、にこの用法はない)
① 実家からみかんを(私に)送ってきた。(×送った)
② 大学生の時、友人が手紙を(私に)書いてきた。(×書いた)
③ 昨日玉井さんが私に電話をかけてきた。(×かけた)
参考3:「~ていく」「~てくる」の時間的用法
(基準時以前から基準時への推移や変化は「~てくる」、基準時から基準時以降への推移や変化は「~ていく」。
① 日本で学ぶ留学生の数が増えてきた。これからも増えていくだろう。
② 国に帰ってからも日本語の学習を続けていくつもりです。
③ 太陽が出たので、だんだん雪が解けてきた。(?解けた)
④ 太陽が出たので、だんだん雪が解けていく。(?解ける)
⑤ 積もった雪も昨日一日ですっかり解けた。(?解けてきた)
(変化動詞の「~てくる、~ていく」は段階的なニュアンスが出てくる。③④⑤)
●~へ『行ってくる(行ってきます)』について。
語形:V「行く(行きます)」のて形「行って」+くる(きます)
1.ある所へ行き→元の所へ帰る、という意味が含まれる。
①郵便局へ行ってきます。
・行く場所で何をするかは限定されない
・I am going to the post office(and coming back).
②ちょっと行ってきます。(ちょっと出かけてきます。)
・行く場所もそこで何をするのかも限定されない。
・I am going out(and coming back soon).
2.参考:(ネットより)
「行く」が一方向の移動を表しているのに対して、「行ってくる」は文字通り往復の移動を表しています。
従って「行ってくる」は元の場所へ戻ることを含意しています。
とはいえ、
必ずしも「すぐに帰ってくること」を想定してはいないでしょう。
外出するときに「行ってきます」と言いますが、これは確かに「すぐに帰ってくること」を想定していると言える
かもしれません。しかし、
例えば2年間の留学のために家を離れるときにも、同じように「行ってきます」と言うことが可能です。
つまり、戻ってくることが想定されている場面では、元の場所を離れている期間が短かろうと長かろうと「
行ってくる」が用いられるわけです。また、
「行ってくる」は上述のごとく挨拶ことばとして会話で用いられ、「行く」にはそのような用法が見られません。
しかし、
「行ってくる」が会話以外に用いられないかというと、そうとは言えません。
「行ってくる」のままの形では確かに用いられにくいかとは思いますが、
「○○へ行ってきました」
「先日行って参りました○○は……」
などという形であれば、普通に目にするように思います。
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Q4:置いておく(置いておきます、置いとく(日常用語))、と 置く、の違いは?
Answer:(参考資料より)
●~ておく(おきます)について (cf.L30)
語形は「Vて形+おく(おきます)」。
意味は、ある目的のためにあらかじめある行為を行う、ということ。
(1)或る目的に必要な事前準備
(2)行動が終わった後で次回のためにしておくべき事後処置
(3)現状の放置
の意味がある。以下に
1.準備(~のまえに・~までに)、~ておく(ておきます)
①パーティーが始まるまでに、ここへ花瓶を置いておくように。
②国へ帰る前に、お土産を買っておきます。
2.事後処置(~たら)、~ておく
①パーティーが終わったら、ビールやワインの瓶は台所に置いておきます。
②ハサミを使ったら、元の所に戻しておいてください。
3.放置(そのまま)、~ておく
①この教室を使いますから、パソコンは(そのまま)置いておいてください。
②暑いから、窓はそのまま開けておいて。
4.注意;「ておく」は自動詞とは使える(①)が、無意志動詞とは使えない。(③)
① 会議が始まる前に、出ておく。(○自動詞)
② ○料理を作っておく。(○意志動詞)
③ ×料理ができておく。(×無意志動詞)
5.参考:(ネットより抜粋)
「~ておく」は通常ひらがなで表されます。「~ておく」の意味用法は、普通次の2つに表されます。
1)「前もってする」
「行為者+が」+意志動詞(自動詞・他動詞)+ておく
(8)行く前に相手先に電話しておく。
(9)今晩人が来るので、ビールを買っておこう。
(10)若いうちに、苦労をしておいたほうがいい。
2)「そのままにする」
「行為者+が」+「目的語+を」+意志動詞+ておく
(11)A:窓を閉めましょうか。
B:いえ、(そのまま)開けておいてください。
(12)子供のやりたいようにやらせておく。
「~ておく」の基本的な意味は、「あとに起こる事柄を予想して、前もって何かをする」というものです。
1)はもちろんのこと、2)の「そのままにする」もある目的・予定・予想のためにそのまま放置しておくのですから、
このような意味になります。
あとで部屋を使うので、そのまま「窓を開けておく」のであり、
また、子供が成長するためにとか子供が自分でわかるまでは「やりたいようにやらせておく」のです。
1)の「前もって何かをする」はしばしば「準備」という言い方をされますが、
(10)のような例が「準備」に当てはまるかどうか疑問が残ります。
したがって、
1)は「準備」というより「前もって何かをする」と考えたほうが適切だと考えられます。
「~ておく」は通常、(13)のように話し手自身の行為・動作に用いられます。
第3者が主語である(14)は不自然に感じられます。
(13) 私がやっておきます。
(14)?田中さんがやっておきます。(→田中さんがやっておくそうです。)
「~ておく」は話しことばではしばしば次のような縮約の形をとります。
置いておく → 置いとく 食べておく → 食べとく 来ておく→ 来とく
話しておく → 話しとく 見ておく → 見とく しておく → しとく
飲んでおく → 飲んどく 言っておく → 言っとく
●「~ておく」と「~てある」の違い
「~てある」「~ておく」とも、「前もって」という意味を持つために、どちらを使っても同じ意味になることがあります。
(15)a.必要なときいつでも着られるように、洗濯しておいた。
b.必要なときいつでも着られるように、洗濯してある。
(16)a.今晩人が来るので、ビールを買っておきました。
b.今晩人が来るので、ビールが買ってあります。
a,bの違いは、
a「~ておく」が(前もって行う)動作のほうに焦点が置かれるのに対して、
b「~てある」は動作が行われた結果の状態に焦点が置かれる点です。
また、
「動詞+ておく」がとる助詞は動詞が本来とる助詞のまま(切符を買う→切符を買っておく、
トイレへ行く→トイレへ行っておく)です。
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Q5:行く余裕、というところを、行くことの余裕、と言ってもよいのでは?
Answer: (cf.V辞書形+こと:L18、V辞書形予定、Nの予定:L38)
この質問は「V行く(普通体)+(こと の)+N余裕」というように動詞の普通体(行く)に「こと」(名詞化)と
「の」(格助詞)を連続させた(ことの)をつけて前後の名詞を結びつける表現例であるが、
まず一般的に「こと」と「の」を付加して名詞節をつくる「埋め込み表現」ついて調べてみよう。
(結論から言えば、「~ことの(こと+の)」表現は初期段階では使わせない方がいい。)
●「埋め込み表現」について(参考資料より)
形式名詞「こと」と「の」をつけて様々な表現を名詞化し、できた句を名詞節にする表現を「埋め込み表現」と言う。
① 彼女はおししいケーキを食べる{こと/の}が趣味です。
② あの店のケーキがおいしい{こと/の}は有名です。
③ 昨日新しいケーキ屋がオープンした{こと/の}を知っていますか。
〈接続〉
1)動詞・い形容詞 普通体+{こと/の}⇒☆注1
2)な形容詞 Adな+{こと/の}
3)名詞 Nな+{の}または、Nである+{こと/の}⇒☆注2
☆ 注1:丁寧体を使う間違いをする学生がいるので注意すること(普通体に直させる)。
④ ×昨日新しいケーキ屋がオープンしましたことを知っていますか。(○したことを)
☆ 注2:名詞に接続する形は「こと」と「の」で違うことに注意すること。
⑤ 山田さんのお母さんが先生な{×こと/○の}は知っています。
⑥ 山田さんのお母さんが先生である{○こと/○の}は知っています。
※埋め込み表現の節の中では主題を表す「は」は使えない。
(名詞修飾節の中では主題を表す「は」は使われないため。ただし対比や「~ということ」の場合は別。説明略)
⑦ 新しいケーキ屋{×は/○が}駅前にできたのを知っていますか。
※「こと」と「の」は多くの場合置き換え可能だが、一方しか使えない場合もある。
《「こと」しか使えない場合》
(1)後ろに「話す、伝える、約束する、命じる、祈る、希望する、聞く」など
発話に関係する動詞が来る場合
⑧ 今夜のにほんごひろばに出られない{○こと/×の}を玉井さんに伝えてね。
(2)後ろに「です、だ、である」が来る場合
⑨ 私の趣味は音楽をきく{○こと/×の}です。
(3)「ことができる、ことがある、ことにする、ことになる」などの複合表現の場合。
⑩ 私は日本で暮らした{○こと/×の}があります。
⑪ あそこでは一日中遊ぶ{○こと/×の}ができます。
《「の」しか使えない場合》
(1)後ろに「見る、見える、聞く、聞こえる」など知覚を表す動詞が来る場合
⑫ 窓から雨が降っている{×こと/○の}が見えます。
(2)後ろに来る述語が「待つ、手伝う、邪魔する、写す」などある事態にあわせて行う動作の場合。
⑬ このかばん、運ぶ{×こと/○の}、手伝ってよ。
⑭ 雨がやむ{×こと/○の}を待って、家に帰った。
(3)後ろにくる述語が「やめる、とめる」の場合
⑮ 彼が出ていこうとする{×こと/○の}を止めました。
※埋め込み表現が長くなるときなどは、「こと」だけではまとまりがわかりにくくなるため、
「ということ」で、くくる方が自然。
⑯ 明日もし雨が降ったらハイキングが中止になるということを仲間に伝えた。
参考1:「準体助詞」について(詳細略)
前に出た名詞をそのまま繰り返さず「の」で置き換える場合の「の」を準体助詞という。
① この本はダヴィッドのです。
② 野菜は新鮮なのがいい。
参考2:「の」は、名詞と名詞を結びつけ前後の名詞の関係に様々な意味を持たせる助詞としての用法が主である。
(詳細略)
① 先生の本(所有)、玉井さんの兄(人物関係)、冷蔵庫のドア(全体と部分)など。
② 歴史の本(内容説明)、野菜のスープ(材料)など。
③ 銀行の隣に花屋がある。(位置基準)(前後、左右、上下、東西南北)方向性など。
④ 展覧会でゴッホの絵を見た。(作成者)、玉井さんの壺(作成者or所有)など。
⑤ 私が上司の玉井です。(同格)(例:首都の東京、であるで置き換え可能)
【結論】:「行くことの余裕」という表現について(「埋め込み表現」+「参考2の②」)
初心者には「行く余裕」と直して言わせた方がいいが、「余裕」という高度で抽象的な名詞を使う学習者の
レベルは最早初心者とは思われず、示された文全体から言える説明をすればよいと思われる。
(例文提示しながら)(論文調が多い)
(例)
従来から言及されてきたことの先に見えてくるのは、並々ならぬ人道支援の必要性ではなかろうか。