ジャズ界の帝王、マイルス・デイヴィスの実像に迫る初の映画「MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間」を観賞。
マイルス・デイヴィスのこの世を去って25年。初めてマイルスを取り上げた映画が出来ました。僕は、若い頃ジャズ喫茶らライブハウスに足を運ぶ時期がありましたが、評論家ブリジャズ通を気取る大人たちに嫌気がさして40歳になるまでジャズという音楽を封印した時期がありました。そんな中でも、マイルだけは、どこか本来のジャズの意味を感じる自由さがありました。今から思えば、その音楽が今回の空白の5年間後の音楽だったのです。
監督は、ルワンダホテルやアベンジャーズなど数々の映画やドラマで活躍するドン・チードルがマイルス役を務め自らが監督をしてます。この作品は、彼のマイルスへの強い憧れと尊敬により作り上げられたと思います。
今回の作品は、マイルスが音楽活動から離れ引きこもり、再びカムバックを果たす空白の5年間を描いてます。レコード会社との確執や麻薬による幻覚、そして最愛の妻とのフランシスとの出会いから別れなど、空白の5年間以前のジャズ界の帝王から天才マイルスの船出をその狂気に満ちながらも、セクシーで情熱的なマイルスの姿がドン・チードルに乗り移ったかのような作品に仕上がっていました。また、ドンが特訓の後にトランペットを習得し、人気の若手演奏家にマイルスにより導かれたウエインショーターやハービーハンコックが共演。夢のようなライブで締めくくられています。
ジャズにより成功と富を得たマイルスが、ファンや評論家の中傷非難の中で、常に新しい音楽を作り出していく、空白の5年間は、留まることないマイルスの原点と言えるのではと感じました。