時々新聞社

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経団連が移民の受け入れを提言

2008年10月18日 | 経済問題
日本経団連が、少子高齢化に伴う人口減少対策として、定住移民の受け入れを提言する。労働力不足や内需の縮小などが、日本の経済社会を不安定にする恐れがあると判断して「期間を限定した外国人労働者の受け入れ」という従来の方針を転換する。
国立社会保障・人口問題研究所によると、2055年の総人口は現在より約30%減の8993万人で、15歳以上65歳未満の生産年齢人口はほぼ半減の4595万人になると推計される。その場合、高齢者1人を働き手1.3人で支える計算となり、若い世代の負担増で社会保障制度は破綻し、医療や介護、教育、治安などの経済社会システムが脆弱化する。また、個人消費の長期低迷も懸念されると報じられている。
経団連は「人口減対策に早急に取り組まなければ、若い世代の将来不安は解消しない」として、移民による人口の維持が必要と判断したという。
ちなみに、自民党も「移民1000万人受け入れ」を提唱している。経団連の今回の提案は、これに呼応したものである。
しかし、現在、国内に非正規雇用や請負などの不安定雇用を大量に生み出しているもとで、なぜ性急に移民を受け入れられなくてはならないのだろうか?
財界、大企業の経営努力でこういう不安定雇用の労働者を根絶することの方が先決であろう。それによって、生活の不安が解消すれば、若い人たちも安心して結婚して、子供も作ることができ、少子化も解決の方向に向かうだろう。
若年雇用者のうち。3分の1が非正規雇用と言われているが、こういう状況を放置して、移民を受け入れればどういうことになるだろうか。
不安定雇用はますます広がり、賃金はますます低下するのは目に見えている。「俺は非正規雇用でなくて良かった」などと、くだらない優越感に浸っている間に、正規雇用者の賃金もどんどん切り縮められていくのは明らかではないか。
経団連は、いかにも将来の労働人口のことを心配しているような口調であるが、彼らの本音ははっきりしている。より安く、より従順な単純労働者を「移民」に求めているに過ぎない。現在も研修制度に名を借りた中国人労働者の使い捨てが社会問題になっているではないか。彼らは、日本の非正規雇用者の何分の1の賃金でこき使われているのが実態である。
国内で吸い尽くせる労働者がいなくなれば、海外にそれを求める。こういうやり方が日本のまともな発展に寄与するはずがない。
この本質を見抜いて、経団連のこの企てを中止させることが必要である。
ところで、外国人労働者や移民が増えると、治安が悪化するという議論がある。
確かに、言葉が通じない、生活や風習が異なることなどによる外国人のストレスは大きく、これが犯罪を誘発する可能性は否定できない。しかし、犯罪の増加は、何も外国人の増加のみによるものではない。若い世代が働き口もないような社会に犯罪の温床がある。治安悪化の原因を外国人の増加に結びつける議論は短絡に過ぎることも付け加えておこう。

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