NPO法人体験型安全教育支援機構 (旧ステップ総合研究所子どもの安全教育グループACE ニュース

犯罪・災害から自分で自分を守る力をつける体験型安全教育プログラム・実践の記録等の情報をお伝えします

なぜ、加害者になるのか。一側面から。

2015-02-10 12:37:28 | 日記
今では「難しい」といわれ、少年犯罪の追跡調査および成育歴をしっかりとデータ化しているところはすくないようですが、以前は国立の研究所などで非行少年がなぜ非行少年となったのか、データ分析していました。(もちろん、いまでも、虐待をうけていたか(とくに少女の非行性と虐待や性被害との関連性が高い))などデータはとっていますし成育歴との関連性の研究は行っています。)

古いデータを基にしたものになりますが、なぜ人が加害者になるか、非常に簡単に以下の4つのことがいえると思います(詳しくは「少年非行の世界」有斐閣 をご参照ください)

1.人間は動物として生まれる。そしてそれが人間として十分に育てられなかった場合、そのまま動物として犯罪者になっていく者が1000人に一人はいる。

2.5歳までの家庭教育、とくに父親がどうかかわったか。どうかかわってきちんと育てたか(特に社会的ルールをしっかりと教えたか)が影響する。

3.5歳までの親子の信頼関係、愛着関係が成立しているかしていないかも影響する。(しっかり抱きしめられたことがあるか、お母さんの背中から抱き着いたことがあるかなどはわかりやすい例。)。また、5歳までに、大事な時、必要な時に「待つ」「聞く」「じっとしている」などができるかどうかも作用してくる。

3.小学校に入り、学校での適応度が影響する。小学4年、5年の学校の勉強(特に社会と算数)についていけないくなり、そのまま家庭でのフォローなどもない場合、その者たちでグループをつくり万引きや自転車盗など初発型非行に走るものも出てくる。そのまま中学に上がるが、不本意な学校生活を送りつつ、不本意な高校に進学者が多い。中学の時に親がしっかりと対応していれば何とかなるが、ほとんどはそうならない。そこにたとえば経済格差などが効いてくると、半ぐれの道をたどるかまたは、本格的な犯罪者への道をたどる、または社会的不適応をおこし仕事にもつけずひきこもるなどの状況に陥る。

4.一つの学年に100人の子どもがいたとすると、その中から非行行為を犯す者が8%、さらに20才を過ぎて本格的な犯罪者になる者がその中から3%いる。(男子。昭和54年しらべ。この数字は現在ではもちろん前後があると思う)。3回までの非行経験では更生するが、それ以上、とくに5回を過ぎると犯罪者への道を一気にたどる者が多くなる。

 どこかで誰かが助けになり、立派な大人になった子どももたくさんいる。人間とは間違うものだ。失敗をしながら大きくなり、やがて痛みを知った人として社会のために生きている人は非常に多い。

しかし、だれの助けもなく、家族も誰にも相談できず、または医学的な治療が必要な場合があったとしてもそこに至らず、不幸な結果になる場合もある。そういう者は残念ながら、自分の動機を中和させ、偏執的にターゲットを追い詰め執拗につきまとい襲い掛かる。社会に復讐心を持つものも多い。

 いくつになっても見捨てない。誰かが見てる、見守っているというのは本当に大事だと、少年非行の現場で働く方たちのまなざしを見るといつもそう思う。更生に関してはもっと詳しくご存じの方がいらっしゃるのでここでは書かないが、更生させる過程でもういちど子ども時代をやり直す、子どもにかえって母親との愛着をつくりなおすという作業をしているのをみるにつけ、いかに何気なくすごす子ども時代(幼児)が大切か、改めて思う。

 今日のクローズアップ現代は、そういう意味で参考になるかもしれません。

 明日は、杉並区の学童で、安全教室。じつはいつも、学童での授業はエネルギー3倍増しで行かねばできません。がんばらねば。(清永)

 写真は、福島で、少年補導員の方々といっしょにおこなった、体験型安全教育の研修の様子です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿