まいにちはなたば

キレイな花、枯れた花、トゲだらけの花。
毎日いろんなことがあるけど、遠くから見れば、やっぱりきれいな花束だと思うよ?

いわたくんちのおばあちゃん

2010-03-24 11:18:08 | 日記
来年度、高学年の読み聞かせに是非使いたいな、と思う本を、
先日、BOOk ●FF(←伏せてないし)で、300円で見つけました

前に『おはなしのくに』か、『テレビ絵本』で、見た本なのですが
すごく印象に残っていたので、
できれば手に入れたいな、と思っていました

題名は【いわたくんちのおばあちゃん】です。


いわたくんは、「ぼく」と同じ小学校。
年は二つ上だけど、いつも休み時間にはサッカーを教えてくれる。


いわたくんのおばあちゃんは、カメラを向けられると、
にっこり笑顔で「ピース」ではなく、
いつも「いやーよ」と言ってことわる。

それが、なぜか、ぼくは知っとるんよ。

この間の平和学習の日、いわたくんのお母さんとおばあちゃんは、
学校の体育館で、ぼくたちにお話をしてくれた。
といっても、おばあちゃんは
静かに車椅子にすわっとるだけだったけど。

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 このおばあさんは、ちづこさん、といいます。
 私の、お母さんです。
 
 この古い写真を見てください。
 お父さんとお母さんと、仲の良い4人の姉妹が写っています。
 右はじが、ちづこさん、このころは16歳の高校生でした。
 一番下のきみちゃんは、このとき、まだ3歳でした。

 このころ、日本は戦争をしていて、
 そろそろ広島の町にも、空襲が来るだろうといわれていたので、 
 ちづこさんの家族は、いなかの親戚の家に疎開しようと準備中でした。
  「いつか広島にもどってこよう、
  でも、そのときにこのおうちは焼けてしまっているかもしれない」
 そこで、荷物を運び出してがらんとなったおうちに、 
 写真館の人を呼んで、家族の写真を撮ったのです。
 8月の初めのことでした。

 8月6日の朝、
 いつものように、ちづこさんと、すぐ下の妹かよちゃんは、
 学徒動員の作業に出かけました。暑い朝でした。
 ちづこさんは、兵隊さんが食べるかんづめを作る工場へつくと、
 作業が始まるまで、いつものように、友だちとおしゃべりをしていました。

 そのときです。

 目がくらむような光。
 その瞬間、大きな音とともに工場がくずれ落ちました。
 ちづこさんは、がれきの下敷きになり、
 何が起こったのかわかりませんでした。

 ちづこさんは、がれきの下から這い出し、 
 家に帰ろうとしました。
 しかし、原爆が落とされたのは、ちづこさんの家の近く。

 「家には帰れん。どこに逃げたら、ええん?」
 やがてちづこさんは、何かあったらここに集まろう、と
 家族や親戚の間で決めていた、
 山の方にある親戚の家のことを思い出しました。 

 歩いて 歩いて 歩いて 歩いて
 倒れこむようにその家にたどり着きましたが、
 そこには、誰もいません。
 待っても 待っても、誰も来ません。
 日が暮れる頃、ようやくたった一人あらわれたおじさんも、
 「お父さんは?お母さんは?妹たちは?」との問いに
 「わからん」と首をふるだけでした。

 次の日、ちづこさんは家族を探しに、広島の町にもどりました。

 「‥わたしの家はどこ?」
 丸いドームの鉄わくを残し、くずれかけたコンクリートの建物、
 市内の流れる川を目印に、家があった場所を探します。

 「ここらへんかもしれん。」 
 すべてが真っ黒で、炭のようです。
 手でそこらじゅうを掘りました。
 やがて、あらわれたのは、こげた体が二体。
 「この大きいのは、お父さん?
  そばの小さいのは‥ひろちゃん?」

 見覚えのあるタイルが、わずかに焼け残っていました。
 「まちがいない。ここは、うちの台所。」
 そこに、うずくまるようにしてなくなっていたのは、
 お母さんと、末っ子のきみちゃんでした。

 あの瞬間、
 お母さんは、とっさに小さなわが子を
 その胸にかばったのでしょう。
 
 強く強く、抱きしめたのでしょう。

 二人の胸が合わさったところだけ、ほんの少しだけ、
 洋服の布が、焼け残っていたのです。

 「これは、お母さんが着ていたブラウス。
  これは、きみちゃんが着ていたワンピースの花もよう。」

 ちづこさんは二枚の布のきれはしをにぎりしめ、
 ずっとずっと、泣き続けました。

 あの朝、かよちゃんと一緒に作業をしていた女子中学生は
 七百人ほどいたと言われていますが、誰一人として、
 生き残ることができませんでした。



 家族みんなで写真を撮った、あの日。

 でも、写真を見ることができたのは、
 ちづこさん、ただ一人だったのです。
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新しく本を買ってきたら、いつも黙って本棚に入れておきます。
だいたいその日か次の日には、タが目ざとく見つけて読んでいます
読んでおいて欲しい本は『棚に入れとく』に限ります

「どやった?なんか、考えさせられる本やろ?
 ホンマにあったお話なんやで。」と、言うと、
「‥うん。」と言ってました。

それを聞いたユが、
「あたし、ホンマにあった話って大好き~!!」
と、手にとって読み始めたので。
読み終わった頃、
「どや?いつも『えぇ~っ!?』って文句ばかり言ってるのが
 恥ずかしくなるような本やろ?」と訊くと、
「‥恥ずかしなった。」
言うてましたよ


だからといって
ユちゃんの態度が一新するか!?といえば‥
そんなことがあるはずはなく
今日もいつもどおりのユちゃんですが

こういう本を読んで、こんな話をすることが、
彼女の心に、何かの種を蒔いていることになっているんだと??
‥信じたいです