盲

社の友人と講義後にランチ。

愛しきそのひとが他のひとともセックスするという考え方は
あたしにはあまりに苦しくて受け入れがたく
けれどもそのひとの誠実さを信じることさえ無意味であるこの状況では

あたしもそのひと以外のひととセックスすることで
そのひとの考え方を理解しようするのが一番楽だと思っていると
あたしが述べたことを受けて彼女は

彼女の講義の中で出てきた、
大阪府知事が女だから土俵に上がれないのは性差別だと主張したことに対し

内館牧子が
土俵に上がれないことを性差別だと言う気持ちはわかるが

まずその前に男女の賃金の格差の是正や
女性が結婚や出産、育児をしやすい環境を作ることが
大阪府知事がまず先にやるべきことではないのか、というよな批判をしたことを例に挙げ

あなたにとっては不本意かもしれないけど
理詰めなところがあなたと私は似てる、と彼女は前置きをしてから

そのひとの考えを理解できないのに
無理して理解しようとする姿は痛々しく、そしてまた窮屈に見える

理解できないものは結論を急がずにとりあえず宙に浮かべて
その間に経験を積み
結論が向こうからやってくるのを待つのもいいのではないか

恋愛に悩むより
あなたにはほかにしなくてはいけないことがまだまだたくさんあるのでは

とあたしに問うた。

さらに
あなたは自分の作った価値観というルールに凝り固まりすぎていて
それではいつか病気になるだろう、
それよりもっと自分を解放すれば楽になるのに

と付け加えた。

なるほど10歳年上で聡明な彼女には
あたしの知識も経験も感覚論も通用しない。

つまりあたしは恋の盲目にとり憑かれてるのだと思う。

今でも充分恋愛以外のことには注力していて
生きることは大変でとても楽しいけれど

彼女の言う通り
もっと力を抜けば楽になれるのかもしれない。

そしてこの燃え過ぎな恋の炎が鎮火するのを大人しく待とうか。