休憩

室に行くと
パソコンの前に座って
チョコレートアイスを食べてるひとがいた。

あまりにおいしそうなので

「おいしそうですね」というと

「ひとつしかないので、ごめんなさい」と返された。

そして彼は冷蔵庫のほうまで歩いていき、

「豆腐ならありますけど」と言って

フランの微糖をひと袋くれた。

「あれ、今『豆腐なら』って言いましたよね？」と聞くと

「はい、言いましたけど、豆腐ほしいですか？」と切り返し。

フランの微糖はほどほどの甘さと奥深い苦さ。
わけのわからない余韻が残る舌。

ちなみに彼は沖縄の事業所からよく東京に出張してくるひととのことだった。

週明けに会社に行くと
彼はやはり休憩室で仕事をしてた。

金曜日の絶妙な間合いが気になっていたあたしは試しに

「飲みいきましょうよー」と言ってみた。

火曜日に神田の「暖暮」というラーメン屋に営業さんと行くというので
営業さんに顔を覚えてもらうのも兼ねて混ぜてもらうことにする。

「ラーメン好きアキ男。さん」という書き出しでメールが来たので

「ラーメンは好きというか、
　ふつうです。

　とんこつが好きです。

　でもラーメンよりもカレーのほうが好きです。」と返信すると

「ラーメンはみんなが大好きなんです。国民食です。
　なので、ふつうということはありえません。

　そして暖暮はとんこつです。






















　カレー？ それも悪くないです。」

その、その22行の間が堪らない。

ラーメンはふつうだった。
いつもは残すスープを全部飲み干しちゃう程度に。

今日沖縄に帰ると聞いていたので
今朝NZのおみやげのチョコレートを気まぐれに

「これ、余ったのでどうぞ」と休憩室まで渡しに行った。

３分ほどして彼があたしの席までやってきて

「余ったといえば、これ、どうぞ」と

沖縄限定のチェルシーパインアップル味をくれた。
賞味期限が今年７月だということを明示して。

彼に興味があるわけではないのに

会社のひとに「あのひと、独身なんですかね」と聞いてしまった自分が

罪深い。

それで、それが、独身らしい。