懺悔

​ごめんない、ゆうかちゃん
お弁当おにぎりの海苔を入れ忘れました


ごめんなさい、ダーリン
お弁当のお箸を1本入れ忘れました




いや、そんなことじゃない
もっと謝らなきゃならないことがあるんだ

バス停で一緒になったおばあさん
本当にごめんなさい


バスがなかなか来なくって

日がカンカンに照って暑くって

少し離れた木陰に入りたかったけど
運転手さんに姿が見えなくて行き過ぎられちゃったら困るから
暑いの我慢して待ってたところに現れたおばあさん

時刻表を確認して、もうすぐとばかりに待ち始めた
でもね、手元スマホの接近情報ではまだしばらくこない模様なんです

あー、暑い

絶対日にやける

やけたらますますシミが増える


おばあさんが立っててくれてるし
さらに別の人も並びだしたし
私がいなくてもバスは停まるよね

ちょっと失礼して木陰に避難

ああ、涼しい ホッとした！

涼みながらスマホを確認
そろそろバス来る頃だわね

目をあげると
おばあさんがニコニコしながらこっちを見て
優しい声で

「バス来ましたよ」

って教えてくれた

いや、イヤフォンしてたから
優しい声かどうかはわからなかったけど
間違いなくバス到着を笑顔で私に教えてくれた


ああ、おばあさん
そして神様 ごめんなさい


自分の身だけ案じたを私を
どうか、どうか許してください