音が通り抜ける

川の音 沢蟹のあぶく

ビッグ・サンデー

2009-08-09 | Weblog
村上さんの新作がダブルミリオンということですが、ちょっと読む気分でもない。
かなり昔の、さし絵の入っていたりするゆるめエッセイのほうが好きなんですよね。
近年はすっかり文学界の重鎮になってしまった感があって、あんまりそういうの
ないようですが。


Pain is inevitable, Suffering is optional.

「痛みは避けがたいが、苦しみはオプショナル(こちら次第)」

これは村上さんが紹介していた、マラソンの時に唱えるマントラのひとつ。

なんだか今時のご時世に染みる、いい言葉だなと思います。

禅僧のことばかなんかを英訳したものみたいな感じでもあるし、
論理療法の実践をワンフレーズにしたものとも言えそうでもある。

さて、この言葉はマラソンをする個人だけでなくて、社会にもあてはめる
ことはできるでしょうか?

「不況とか環境問題とか諸々の痛みは避けがたいが、苦しみは国民の選択しだい。」

どうも option を考えるより suffering が多すぎて、painをさらに増幅させている
ように思えます。悪いときというのはそういうものですよね、個人も社会も。

その国民の選択というのがもうすぐあるわけなんですが・・・

1986年に出た本にある「政治の季節」という一文によると、村上さんは投票というものを
したことがないという。
しかし、大恐慌に匹敵するようなクラッシュがやってきたら、否応なしに自分の立場を
決定しなければならない「政治の季節」がやってくるだろう。
その時は、自分も『ビッグ・ウェンズデイ』のラストシーンみたいに投票所に向かうかもしれない、
と。

村上さんはこの文章を書いたのはおそらく1Q84年あたり。
ここでは、クラッシュを今世紀中と予想していたが、200Q年の今年、
村上さんの夏に「ビッグ・サンデー」はやってくるのでしょうか・・・・。




夏の図書館

2009-08-09 | Weblog
夏休みの図書館では、閉館間際になると貸出しに子供たちの行列ができてしまいます。
カウンターは大忙し。それにしてもやや険悪な雰囲気。遠巻きに聞いていると、
「登録?してねぇす。証明書?そんなのないよ。」

どこの窓口でもそうでしょうが、混んでいるときに限って手間のかかる客が
お出ましになるようで。そもそも図書館なんていう所に来たこともないお父さん
が子供のおかげで図書館デビューするわけですね。

最近はやりの「おこもり消費」のひとつなのかな。

ダブルミリオンという村上さんの新作には100件以上の予約がはいっているし。
借りられる頃にはまた新作が出ちゃうんじゃないか?という・・・。

気負わずに再開

2009-08-02 | Weblog
久しぶりだけど、さらっと再開。
考えすぎずに、メモっぽく行きましょうかね。

先日、帯津先生と五木寛之氏の対談本を読んだ。帯津先生も毎月1,2冊くらい
本が出ているようです、すごいですね。

内容は一言で言っちゃうと、「メメント・モリ」っていうことなのかな。

本当にねぇ・・。これほど当たり前なのに、これほどわかってないことってない
ですよね。これさえわかってれば人生OKなんじゃないかっていうくらい。
私もほんとに全然わかっちゃいません。わかろうとさえしたくないのかも
しれません。そんな状態にある、ということはわかってはいるつもりですが。


それでも、時折思い起こさざるを得ないのが、誰かが亡くなったときであります。
それじゃしょうがないんでしょうけど、しょうがないですね。

と、思っていたら、本日のN響アワーが -若杉弘さんをしのぶ-

合掌。

指揮者って長生きの人が多いし、しかも映像が沢山残っているから、なんだか
死なないような気がします。

というか、マイケル・ジャクソンとか忌野清志郎とかもそうですけど、
音楽家という個人は亡くなっても、その音楽を聴くとこっちの方が過去へ
飛んじゃうんですね。

音楽に国境はない、というセリフがありますが、時間の壁も越えちゃうようです。








静かにお花見

2009-04-13 | Weblog
私は花見大好きで、毎年、前年とは違った場所に花見に行かないと
気がすまないのだが、今年はどうも乗り気になれない。

社会的にも個人的にも「今年ばかりは墨染めに咲け」と言いたくなる状況では
あるが、それは逆にとるべきなんだろうと思う。マーヤーであるところの
人間社会なんぞがどうなろうとも、桜は毎年ちゃんと美しく咲くのである。
ここにこそ希望を見出さねばならないと思う。

墨染めなのは自分の目なんであって、それは洗い流したいところである。
そういう花見は上野や千鳥ヶ淵みたいに、花より鼻が多いようなところでは
できそうもない。

というわけで、今年の花見は近所のお寺の本堂の横に1本だけ咲いた桜の下で
コーヒー一杯飲んでおしまいであった。ケータイも持っていかなかったから
写真もなし。


かわりに、映画を観てきた。映画も実はずいぶん久しぶりだ。

「禅 ZEN」 
「ベンジャミン・バトン」

という2作品。どちらも主人公の生涯を描いた伝記もの。

最近は、単純なアクションヒーロー的なものってなくなってきましたね。
最後はヒーローと悪役が殴りあって決着がつくような映画。
昔はそういうのが各シーズンの目玉作品だったような気がするけど。
アメリカ映画も、やはり911以降は人生とか家族とかについて考える作品が
増えてきていると思う。私も、前回有楽町で観たのは「最高の人生の見つけ方」
だった。半年以上も前だ。

どちらも終映まぢかだったが、映画館で見ておいてよかったと思える名作で
あった。

パソコンがこわれた

2009-02-11 | Weblog
パソコンが突然壊れました。

ハードディスクならわかるんですが、基盤そのものらしい。
ゆえに、データは取り出せるかも・・。

今日は早めに終わって、帰りに安物中古を買ってきました。
なんとかつながって、今書いているわけです。

あー、ソフトの組み込みなどが結構大変だな。


ところで・・・
あのスウェーデンが原発を再開することになりそうだというニュースが。

「地球温暖化対策と言いたがるのは、実は原発を再開したいからだ。」
という槌田氏の言っていたとおり、ということになるんでしょうかねぇ。

あるいはラヴロック路線とでも言うんですかね。

それについて、北沢方邦さんが
「ラヴロックも最近耄碌したのか・・?」
なんて書いていたのをどこかで読んだような気がする。

すごいですな。ガイアもバッサリ。さすがヨーギ。


しかし、まだまだ先の長い話みたいなので、経過を追いつつ
スウェーデン的考え方を観察する題材にはなりそうです。

長く考えるほど、そして広く考えるほど
エントロピー派&ヨーガ派でしょう、と私は思うんですが。









長い道のり

2009-01-20 | Weblog
オバマ大統領がもうすぐ就任演説を行いますね。

当選以来、個人的には結構感慨深いというか、それなりの高揚感もあったり
したんですが、日本では思ったほど盛り上がらないので、
「そうか、まだ何をしたというわけじゃないし。日本にとっていいこと
ばかりでもないだろうし。」と自己セーブしてたりして。

しかし、現地はすごいみたいじゃないですか。
やっぱり日本も、も少し盛り上がっても良さそうな気がする。
別に浮かれ騒ごうというわけじゃなくて、オバマ氏を大統領にまで
した力について、も少し話題になってもいいんじゃないかなと思う。

などと思いつつTVを観ていたら、となりで母がぽろっと言う。
「これで、そのうちインディアンも大統領になるもんかねぇ・・・。」

時より意表をつくようなことを言いますな母上は。

確かに、ネイティヴアメリカンの大統領が実現したとしたら、その時は
アメリカの根本的なトラウマが解消されたときかもしれない。
きっとその時は、むやみに戦争したり、過剰な消費などもしなくなっている
だろう。

そこで思い出した、ネイティヴアメリカンのお言葉、(出所忘れた)

「人生で歩まねばならぬ一番の長い道のりは、頭から心までの道のりだ
長老になるのは、その道を戻って来てからだ。」

アフリカで生まれた人類のなかで、とても長い道のりを旅した部族
の言葉だけに、深いですな。

オバマ大統領の誕生が、人類の長い道のりの一歩になるのなら、やがては
ネイティヴアメリカンの大統領も生まれるのでしょう。

ところで、日本の長老は今どのあたりを歩いているのだろう・・・。

書き初め

2009-01-02 | Weblog
「人間は、他者や他の生命、あるいは自分自身の生命さえ、苦しめ、
傷つけるような生き方を、完全に克服することができるだろうか?

できる、と仏教はいう。
人間であるということは、ある意味ですでに仏であり、
ある意味でやがてかならず仏になりうるといことだ、
と大乗仏教は語ってきた。

人間はすべて、智慧と慈悲の溢れる<ブッダ=目覚めたもの>
になりうるというのだ。

もしそれがほんとうだとすれば、仏教は、現代の私たちの危機的な
状況に対して、きわめて希望に満ちたメッセージである。

つまり、この地球がそのままで、きらめく星座のように諸仏、諸菩薩
が集まるパラダイスになりうるということなのだからである。」

岡野守也『唯識の心理学』より


あけましておめでとうございます。

たとえ月イチ以下とは言え、ゼロではないこの楽書き。

今年からは目指せ週イチということで、習字のように
優れた言葉を書くことで、薫習効果を期待したいと思います。

本年最初のお言葉は、新時代の到来にふさわしく、かつ
とても古く、そして永遠でありますね。

最古にして史上最大、最高レベルの ”YES,WE CAN”であります。

人間にとって大事な言葉は、すべて古典で言い尽くされていて、あとは
その再発見かバリエーションなのだ、とはよく言われることですが、

WE=どこか一国の国民
CAN=経済再生

というようなことならば、小さくなったバリエーション
ということでありましょう。

新時代の年頭らしく、最も大きなヴィジョンを描くことが、
実は最も深いところでのこころの安泰につながるのではないかと思います。

というわけで、書き初めにふさわしいお言葉でした。


湿気と仲良く

2008-06-22 | Weblog
マエキタミヤコ 『エコシフト』 より
筆者が環境先進国スウェーデンを視察したときの一節。

”お互いの意見を尊重しあって、トコトン話し合って決めようとする
民主主義の姿勢がすばらしい。そう現地の人に言ったら、

「私たちは仲良くしていないと寒さで死んでしまうから。
 仲良くしない遺伝子は生き残らないんだ。」
と言われました。”


今の季節、スウェーデンはとても日が長くて、きっとカラッとしていて、
あの国旗のような青空の日が多いんだろうな。

日本とはまさに正反対ですね。

日本人だって仲良くする遺伝子はかなり持っていると思うけど、
この湿気というものは、実に恐ろしい面があって、人間のマナ識やら、アーラヤ識
にある制御不能なエネルギーをどっと開放させてしまうことがあるらしい。

そんなことには関係ないと思ってしまうような、理性的な人さえ、アジアの湿気には
対処できない。そのあたりを描いた、モームの『雨』という短編がありますね。

もともとこのアジア的湿気の中で育った人はそうでもないけど、いわゆる西洋的な
世界観を持っている人、もしくは、そういう世界観に根本的にはなじめずに苦悩している
半西洋人、大雑把に言えば現代日本人のほとんどがあてはまってしまうのかもしれないけど、
そんな人が、この湿気の中でキレてしまうのかもしれない。

さらに、毎日土も踏まない都会に住んでいると雨はやっかい者としか感じられないし。
金さえあれば、巨大な排水路も作れるし、水がなくても輸入すればいいやというわけですからね。

日本人の仲良し遺伝子は・・さてどうなっているんでしょうかね最近。

本を落とした

2008-04-13 | Weblog
約10日のロスタイムを経て、ようやく年度末というものが終わった。
なんで年度末にロスタイムがあるんだかよくわからないが。

家に帰るとまったく何もする気になれないので、この場もほったらかしでした。
正月テンプレートのままとはひどいので、もう散ったけど花見モード。

そういう時期の、お楽しみは、電車での読書くらいしかないのだけど、
先日、帰りに本を読もうとバッグの中を探したら、本がない。

確かに今朝も読んだはずなのに、あれは昨日のことなのか?
今日はもってこなかったの?
しかし、どこにも置いたはずはないし・・・落とした?

ほとんどダメもとで駅事務所で調べてもらったら・・・ありました。
すでに他の駅の落し物保管庫に移送されておりましたが、引き取ってきました。

自分の本ならあきらめちゃうけど、図書館の本だったので、見つかってよかった。
届けてくれた方に感謝!

文庫や新書ならともかく、単行本を落としても気づかないとは・・・。
忙しいという字は、心を亡くすと書くとはよくいいますが、モノもなくすようです。

ここらで、万事を休息したい、ということもあって、都内某坐禅会にて、
ひさしぶりにたっぷりと坐禅。といっても30分+αくらいだけど。

指導していただく先生は、なぜかたいてい海外からの帰りのことが多い。
今回も旅行の話を聞かせていただいた。ここでは書けないようなビックリな
体験記であった。

坐禅で日常の垢を落としておいて、新鮮な話を聞く。
実によいデトックス&リフレッシュですね。

次は身体のほうのデトックス&リフレッシュに向かうべく、いろいろ検討中。

暗黒からの温風

2008-01-20 | Weblog
この頃あまり車に乗らないので、給油の間隔も長くなっている。
久々にスタンドに行くと、ガソリンの価格にびっくり。

また、スタンドごとの値上げ幅の差にもかなりの違いがある。
安いスタンドが給油のたびに変わる。

灯油のコーナーも列ができていた。明日からの天候のせいかな。

今もファンヒーターをつけながら書いていますが
原油価格もこういう時代になると、改めて考える。
石油って、エネルギーってなんなんだろう?

世界のドキュメンタリー「石油 1億6千万年の旅」
によると、石油のもとはジュラ紀の有機物ということである。
とすると、そのもとは植物の光合成だから、太陽エネルギーである。

太陽エネルギーのもとは、核融合。
核融合ができるのは超高圧だから。
超高圧なのは重力があるから。

というわけで、地球上のエネルギーのもとは、重力ということになる。
ここまでは、正しいのかな?

では重力はどこからくるのか?
サイエンスゼロでみたところによると、現在観測できる物質だけで、
ビッグバン後の宇宙をシュミレーションしてみると、いつまでたっても
ガスのままで、銀河が形成されないという。つまり、観測はできないけれど
重力だけはある物質=暗黒物質がなければ、普通の物質が集まって、
太陽が生まれるだけの重力が足りないということになるらしい。

では暗黒物質とは何か?

見えない。
質量がある。
私たちの周りに飛んでいるが、すりぬける。
濃い薄いの差はあるが、宇宙にあまねく存在する。
宇宙の初期から安定して存在する。

ううむ。なんだか神の定義といってもいいような話になってきた。

もともとは暗黒物質から生まれたエネルギーで暖まる私たち人間。
その人間も宇宙の進化のなかから生まれた宇宙製である。

自らが宇宙製であることに気づくことができた人間が、自らの
生きる場をなくそうとしているという・・・。


宇宙というのはいったい何をしたいんですかね。


というような話に興味がある向きにはおもしろそうな
お話。
コスモスフォーラム
http://www.kosmos-forum.org/next/next14.html

昨日、入場券が届きました。楽しみです。