国立西洋美術館②

オールドマスターの絵画
オールドマスターとは、西欧の中世後期から18世紀末頃までに活躍した作家を指す言葉です。マリオッ
ト・ディ・ナルド、ヴェロネーゼ、ルーベンス、リべーラなど、所蔵しています。聖書をもとにした作品が多
く見られるのが特徴で、オールドマスターの作品収集としては、日本でも有数のコレクションの一つです

聖家族トピアヌと大天使


ヘラクレスとオンファレ　　ベルナルド・カヴァッリーノ　　1616～1656

画業半ばで生涯を終えたベルナルドの作品の中でも極めて珍しい世俗主題を扱った名作で、12の難行を終えた

英雄ヘラクレスがリュディアの女王オンファレのもとで糸紬ぎの労働をさせられ難儀をして、その不器用さを笑い

の種にしている。ヘラクレスとオンファレはこれを切っ掛けとして恋に落ちるが、陰から見ているアモールの不安

げな表情はその恋の行く末を暗示している


居酒屋でチェスに興じる統士たち


ソドムを去るロトとその家族　　ヤーコブ・ヨルダーンス　　1593～1678

イスラエルの族長アブラハムの甥ロトが二人の天使に促されて、家族と共に罪深き町ソンドムから逃れる場面。

ロトは町を立ち去り難い様子。背後で悲しみの表情を見せるのはロトの老妻、右端で財貨を運び出そうとしている

二人の若い女はロトの娘たち.娘達の暗い表情には、父親との近親相姦という.このあとに生じる背徳行為への

暗示がこめられているのかもしれない、中央の円柱も、うしろを振り返るなという神の命令にそむいて塩の柱に

変えられる.ロトの妻の運命を予言しているかのようである


十字架のキリスト　　エル・グレコ　　1541～1614

キリストの身体は長く引き伸ばされ、優雅な逆S字型曲線は、顔の表情と相まって苦悩よりはむしろ

法悦の様を表わしている。背景の丘の上に遠望されるのはフェリーペ二世が建てたサン・ロレンソ修道院である