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学力低下

2008年02月17日 | Weblog

「ゆとり教育」の先に…自信も失った若者たち
2月17日16時4分配信 産経新聞


「未来像…学力低下はさらに進む!!」。
昨年12月下旬、福島県相馬市から県立相馬高校の2年生14人が、元文部大臣の
有馬朗人氏(77)を東京に訪ねてやってきた。

生徒たちは研究発表の資料を携えていた。
「学力低下の要因の1つは『ゆとり教育』」「授業で習うことが社会で役に
立たないから、学習意欲・関心が低下している」「教員の質も問題だ」…。
資料には有馬氏を詰問するかのような学力低下の“分析結果”が並んでいた。

物理学者で東大総長も務めた有馬氏は、平成8年に「ゆとり」「生きる力」を
打ち出した中央教育審議会の当時の会長だ。

生徒たちは、理数教育を推進する「スーパーサイエンスハイスクール」活動の
一環として教育の科学的考察に取り組んだ。きっかけは、昨年12月上旬に
発表された「生徒の国際学習到達度調査(PISA)」の結果で
「日本の順位がまた落ちた」という報道だ。

「学力は下がっていない」。
きっぱりと反論する有馬氏に、生徒は目を丸くした。
熱弁は2時間近くに及んだ。

有馬氏は内心ではこう嘆いたという。
「自分たちが悪い教育を受けてきたと思っている。
過度の『学力低下』批判が、子供たちの自信を失わせた。
学力の問題より、こちらの方が大変なことではないのか」

                ◇

「お前、ゆとりだろ」。
ネットの掲示板などで相手をおとしめるため使われる言葉だ。
昨年12月、巨大掲示板「2ちゃんねる」のユーザーが中心となって投票した
「ネット流行語大賞」では、銅賞に選ばれている。

中教審委員として前回と今回双方の指導要領改定に携わり、私立有名進学校を
経営する「渋谷教育学園」の田村哲夫理事長(71)は、ゆとり教育の
目指したものについて「教育の目的は不測の事態への適応力をつけるための訓練。
高めるには知識などの学力が3割、意欲や思考力などが7割-が心理学の定説だ。
前回の改定は、学力訓練に注力しすぎた教育をただすためだった」と位置づける。

だが、「時間を減らしたら、教える側が何もしなくなってしまったのが実情。
できた余裕が現場でまったく生かされず、マイナスだけが出てきた」と
今回、30年ぶりに授業時間増に転じる理由を説明する。

「『ゆとり』には、地域社会と大人が土日は時間のゆとりを持って子供たちと過ごし
子供を鍛えてほしいという意味も込めていた」と有馬氏は言う。

「答申後、文部省(当時)の役人とともに全国を回ればよかった。
ゆとりの意味はこうだ、とていねいに説明すべきだった。後悔している」

                ◇

今年1月16日、東工大のシンポジウムで有馬氏は、ここでも「学力が下がっている
と言われるが、全く下がっていないことを証明する」と言い切り、「理工系学生の
学力・学習意欲の低下が問題化している」と“弱気”なあいさつをした
主催学生を勇気付けた。

有馬氏は、昨年10月に文部科学省が発表した全国学力調査の結果などを引用し
小学校6年生の漢字で「(魚を)焼く」と正しく書けたのは70・9%で
昭和39年調査の33・8%を大幅に上回ることなどから、「義務教育段階での
知識型学力は落ちていない」とする。

一方で中学で学ぶ2次方程式を解ける大学生が3割しかいない例をあげ
「大学はガタ落ちだ」とも認める。

学力が身についていない。 応用型の国際学力調査などで成績が伸びていない
現状は否定できない。

冒頭の生徒たちは有馬氏の説明を受け、氏家由希子さん(17)は
「ゆとりが目指したものを知らなかった」とし、「有馬先生の考えが、親や地域の
人にどれだけ浸透していたのか。納得いかないところもあった」とも。

「学習指導要領が改定されるなら、本当の狙いがちゃんと分かるようにしてほしい。でなければ誤解が二重になっていく気がする」。
佐藤恵里香さん(17)はそう話した。


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