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原発温存のムダ(上)

2016-10-22 15:48:33 | 記事
こちら特報部 

 新潟県知事選で、原発再稼働に慎重な候補が当選した。背景にあるのは、隠蔽(いんぺい)体質、ずさんな管理を続ける東京電力への強い「不信」だ。福島の事故処理費捻出、つまり、東電を救済するためという再稼働の目的がそもそもおかしい。もはや再稼働のめどは立たない。資金不足なら、まずは柏崎刈羽と福島第二原発を廃炉にし、無駄な維持管理費を削ってはどうか-。(沢田千秋、安藤恭子)

 福島第二 冷温停止 管理ミス相次ぐ

 第一の事故後も再稼働含み

 福島第二原発は1982~87年、最大出力110キロワットの1~4号機が営業運転を開始した。楢葉町と富岡町沿岸に立地し、福島第一原発からは南に約12キロ。

 2011年3月11日の東日本大震災発生時、福島第二原発は全4基が稼働していたが、大きな揺れで、全基が自動停止した。その約45分後、津波に襲われ、海抜15メートル以上にある1号機の原子炉建屋や海水熱交換器建屋が浸水し、1、2、4号機の原子炉冷却機能が失われた。

 復水貯蔵タンクによる代替注水をしたが、水を冷やせず、原子炉内の圧力が上昇した。翌12日、1号機の圧力抑制室の水温は100度を突破し、メルトダウンと爆発の危機にひんした。爆発を防ぐため放射性物質の放出を伴うベント(排気)が検討され、政府は付近の住民に避難指示を出した。

 混乱の中、外部電源4回線のうち1回線を使用できることが判明した。職員約200人が800メートル以上離れた場所から建屋まで巨大なケーブルを担ぎ、送電を再開し、最悪の事態が回避された。地震発生から4日後の15日、福島第二原発の全4基は冷温停止した。

 原子炉内の核燃料棒の燃料プール移転作業は、15年3月に全4基で完了。だが、燃料棒が発する崩壊熱が落ち着くには30~50年かかるため、事故から5年以上たった今でも冷却作業は欠かせない。東電は燃料プールの水温を30度以下に保つなど維持管理を続ける。

 東電は、福島県で原発の過酷事故を起こしたにもかかわらず、福島第二原発の再稼働の可能性を残している。一方、県や県議会は廃炉を求めている。世耕弘成経済産業相は8月、「福島県民の心情を察すると、他の原発と同列に扱うことは難しい」と述べたが、最終的な判断は東電に任せると曖昧な姿勢を取る。

 そんな福島第二原発では今年、東電の危機意識の欠如ともとれる保安規定違反が相次いでいる。ケーブルの敷設ミスや、侵入者の警報装置の解除、保全計画の未策定など、さほど大きな問題ではないかもしれないが、積み重なれば大きな事故を招く可能性もある。

 また、新規制基準への適合審査申請はしていないが、7月には新オフサイトセンターが完成した。福島第二原発の再稼働はあり得るのか。

 東電の広報担当者は「広く社会の意見と国のエネルギー政策の動向、福島第一原発の廃炉作業のバックアップ機能としての役割を総合的に勘案し、事業者として判断したい」と話す。オフサイトセンターは「問題が起きた際の対応拠点」と説明した。

 福島原発訴訟原告団の中島孝団長は「第一原発の爆発で、原発は物騒と誰しも分かった。東電は再稼働したいから、第二原発を維持しているのだろうが、ミスが相次ぎ、不信感は一層高まっている。安全神話などない。東電に限らず、取り返しのつかない地域崩壊を起こす原発依存から早く脱却してほしい」と訴える。

中日新聞社