「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック・発達支援教室 Elephas(エレファース)
たまたま俳句の学習をしていて感じたことです。俳句に限らず、文から、つまり言葉から情景を思い描くことは楽しいことですが、難しいことでもあります。教室には、そこを苦手とする生徒さんが少なくありません。
でも少し学年も上がって、学習に取り組む姿勢に自らの意志が生じてきた生徒さんからは、その難しさがどこにあるのかがつかみやすくもなってきます。ただ「わからない」「むずかしい」ではなく、懸命に言葉にしようとするので、つまずきの箇所をこちらも把握しやすいのです。
「夏河を 越すうれしさよ 手に草履」(蕪村)
夏の暑いときに歩いていると目のまえに川がありました。
川の向こうがわへ行きたいのですが、近くに橋もありません。
そこで足にはいていたぞうりをぬいで手に持ち、流れの中に
じゃぶじゃぶと入っていきました。
水にふれる足の冷たさはとても気持ちよく、こうしていると、
子どもの頃に裸足で楽しく川遊びをしたことなどを思い出して、
なんだかうれしい気持ちになってきます…
(俳句の意味;引用「江山文庫公式ホームページ」)
ところが今日の生徒さん、
川を無事に渡りきることができて、神様に草履をお供えして感謝している、と解釈。
季語は「夏河」、季節は「夏」、というのは得意で意気揚々と答えられるのですが、解釈の中には「夏」がないのです。「夏」のイメージや感覚がすっぽり抜け落ちてしまいました。
「夏」がないから、「暑さ」がない。「暑さ」がないから、水の「冷たさ」がない、だから、なにがうれしいのかが伝わらない。
「越すうれしさ」が、「越せたうれしさ」から「感謝」へとなってしまったのです。でも真摯な一生懸命な解釈です。
情景の説明を口頭でしましたが、「なんとなく」わかったとのこと。今度は上記引用の説明文を読ませてあげましょう。そして、情景を思い描けたところで、この有季定型の俳句をもう一度読んで味わわせてあげましょう。
たった一文字の「夏」を見落としたことによって、また「越す」を「越せた」と解したことによって、意味がずれてしまいました。今度はもっと、夏を感じてみましょう。
教科書の本章のテーマは、「俳句は散文と違って、言葉での説明が少ない分読者が自由に解釈して味わうことができる、」とありました。解釈が「自由」過ぎてもいけません。
一字一句ていねいに読んで、感じて、情景を細部まで描いてみましょう。
「河を越せたうれしさや 手に草履」なら、かれの解釈でもいいでしょうか?
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造形リトミック研究所
>>発達障害 知的障害 Elephas/エレファース
公式サイト http://www.zoukei-rythmique.jp/
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