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安倍自民党政権がトランプ米大統領と軍事的に共謀する背景にある戦後の東アジア情勢:日本は米国本土を守る「捨て石」

2024-04-16 08:46:53 | 米国の世界戦略

 ※2015年7月16日に投稿したものを加筆修正し再投稿しました。

 憲法違反であるとの批判を受けながらも、安倍政権ワールドが、あきらめる事をせず、さまざまな「屁理屈」(支離滅裂)を並べ立てて、「集団的自衛権の行使」を含む「安全保障法制」を衆院特別委で強行採決した。安倍政権の体質からみて、強行採決する可能性は十分ありうると予想していたが、その際に、メディアがどのような反応をするかという事に関心を持っていた。それによってメディアの意識を知れるからだ。しかし、予想に反し残念ながら、新聞の夕刊の記事やニュースなどのテレビ番組の取り上げ方では、今回の件で特段将来に対する危機感や安倍政権に対する憤懣を感じさせるわけでもないし、主権者国民としての当事者意識を持っているようにも感じられない、ありきたりの常套用語を使用した型どおりの無味乾燥な記事や取り上げ方に終始していた。そこには多分、メディアに対する政権による外圧(沖縄紙やマスコミ全体への報道威圧)のせいもあるし、企業本来の自主規制(思考停止状態)もあるのだろう。分析力や理解力判断力洞察力さえも失ってしまったとは思いたくないが。残念な気持ちになった。日本の歴史の分岐点といわれる時点で、ジャーナリズムの責任を放棄し、主体性を持たず、結果的に政権を利する側に立ち、敗戦前と同じ過ちを犯すのであろうか?もっと多方面からの情報も主権者国民に提供すべきだ。

 安全保障関連法案の「集団的自衛権の行使」を成立させた場合、日本の今後にどのような事態が起こってくるのであろうか。

 安倍政権ワールドが、米国政府の世界戦略に共謀する生き方を日本国民に要求する事になるという事である。この事は、安倍政権が、日本経済の構造を米国と同様の「戦争経済の構造」に変質させるという事を意味し、国民生活も国の政治体制もそれに対応する形に変質させるという事を意味している。それは自民党が「憲法改正草案」に示しているように。そして、これからの日本国が、これまで米国がたどってきたのと同じような道をたどる事を意味している。とりあえずは「国際警察」の役割である。

 安倍政権は米国政府が展開する「国際警察」の片棒を担ぐわけだが、米国政府の世界戦略に積極的自主的に参加するわけである。その在日米軍の基地や人数は世界戦略上どのような状況にあるか。 

 アジア太平洋戦争後、米国政府は、米国本土を防衛するために、防衛ラインは本土から遠いところに設けた。西は太平洋の端、日本列島から沖縄、フィリピンにかけて。東は大西洋の東側。つまり海外の米軍基地を敵からの攻撃目標(戦場)にして、本土を守るという戦略である。米国本土の近くでは戦わない、敵を遠ざけ、敵の近くで戦う戦略である。米国政府は自国(本土)を守るために日本を捨て石にしているのである。日本に米軍基地がある事は日本国民にとって安全でなく危険なのである。ヨーロッパの米軍基地も同じ発想で置いている。

 米軍基地の世界的展開の現状。米国防総省資料では、米兵駐留の地域は、148カ国・地域で、20万人余りが駐留する。実質的には37カ国・地域611か所に国防総省の基地・施設がある。基地面積が最も広いのはドイツで、日本は2番目に広く、3番目の韓国は日本の20%程度である。4番目のイタリアは日本の5%以下である。米軍人数で最多はドイツで約5万4千人、日本は2番目で約4万5千人。韓国は3番目で約2万5千人。その他の国々は1万人以下となっている。1万人以上駐留しているのはドイツ、日本、韓国だけである。

 米軍基地の資産価値(重要度)でみると、米軍基地は資産価値により上中下の3段階に分けられており、に属する約17億ドル以上の資産価値がある基地は20か所ある。その内の8か所が日本である。1位嘉手納、2位横須賀、3位三沢、4位横田8位沖縄県瑞慶覧、12位岩国、17位沖縄県牧港、18位厚木、となっている。日本には巨大な米軍基地が集中しており、また4位までを日本が占めている。国ごとの米軍基地の資産価値を集計比較すると、日本が他を圧倒してトップである。日本は世界で一番米軍基地が集中している国である。

 海兵隊基地施設がある国は、ドイツ、日本、ケニア、韓国、アラブ首長国連邦の5カ国だけである。日本以外の国の場合、基地と呼べるものではなく施設程度のものであるが、日本には21か所の海兵隊基地があり、約2万人の海兵隊が駐留している。外国では基地を受け入れていても海兵隊基地は置かせないのが常識のようだ。

 沖縄県は、1947年、昭和天皇(天皇の地位を維持する)がマッカーサー(天皇を利用して占領統治)と密約を結び、安保条約という形で、長期間の占領支配下(米軍基地の島化)に置かれたが。日米安保条約(軍事同盟)は世界の米軍基地に見られない「全土基地方式」である。細かい協定がなく、日本政府が了承すればどこにでも基地を置く事ができるのである

 米国政府は、日本政府の戦争責任を曖昧にしておき、再軍備をさせていった。それに対する周辺諸国の日本に対する不信感の高まりを利用して、米国政府は日本の周辺諸国との間に軍事同盟を締結し軍事基地を確保していった。1951年米比相互防衛条約と基地協定は、フィリピンが日本の軍国主義が復活する事をおそれて、米国政府に基地を提供した。1951年アンザス条約(太平洋安全保障条約)は、オーストラリア、ニュージーランドと米国との軍事同盟で、日本の軍国主義の復活をおそれて米国政府と締結したもので対日軍事同盟である。

 日米安保条約の締結は、米国政府は、周辺国に対して「米国政府が日本に軍隊をおいて抑止するから軍国主義復活はさせない」という理由をつけている。1970年代に、キッシンジャー国務長官周恩来首相が会った時、日米安保条約を批判していた周恩来に「安保条約というのは、実は日本が独り立ちすると何をするか分からないから、米軍が日本に居て抑止しているのだ、だから安保条約を認めてほしい」と説明している。

 日本が戦争責任をきちんと取らないため、周辺諸国に不信感が生まれ、東アジアがまとまれなかった。米国政府はその状態を利用して、相手によって色々な理由を使い分け、各軍事同盟を組織し、米軍基地を置いていき、東アジアを分断したのである。そして、アジアがまとまらない状況の中で、米国政府が東アジアを仕切るという体制を作っているのである。これが日本敗戦後の、米国政府の東アジア戦略なのである。東アジアの米軍基地ネットワークなのである。

 竹島や尖閣の所属についても、サンフランシスコ講和条約では書いていない。米国政府が意図的にそうしたのである。竹島は、朝鮮戦争で、共和国が朝鮮半島を統一した場合にそなえて、日本との間のもめ事(対立)の種として米国政府が故意に残したものだ。現在は韓国との間で問題となっているが。尖閣も大陸中国が台湾を領土に包含した場合に、日本との懸案事項として残したものだ。

 米国政府は、日本政府と周辺諸国とのもめ事の種を故意に残したのである。そして日本政府を孤立させていった。ダレス国務長官の言葉では「日本政府が周辺諸国との信頼関係をつくれないと、日本政府は米国政府に頼るしかなくなる。そうすれば米国政府としては日本政府に色々な要求を突きつける事ができる。日本政府はそれを拒否できないのである」と。

 つまり、東アジアの国家関係は米国政府によって仕組まれ利用されてきたのである日本が米国政府に対して自立するためには、周辺国との関係改善こそが重要な政策なのである。

 

 

 

 


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