中野系

この銀河系の中心、中野で考えること

バタフライ・エフェクト

2005年05月22日 | 映画
それなりに前評判の高い映画のようなのだが、東京都内でも上映館は少なく、キャパシティも小さめのところが中心。そのひとつ、歌舞伎町新宿シネマミラノの客席もほぼ満員であった。

最初に「バタフライエフェクト」とは「蝶がはばたくと地球の反対側で竜巻が起こる」との例えが有名なカオス理論の一つ。行為のわずかな違いがその最終的な結果に多大な影響を起こさせることを指す。

とにかくストーリーとアイディアに価値のある映画。いたずらに内容紹介をしてしまうと楽しみも半減してしまうのだが簡単に言うと、このバタフライエフェクトにひたすら翻弄されていく青年、エヴァンの物語。

エヴァンは子供の頃のふとしたいたずらで「取り返しのつかない」事故を起こしてしまう。このことは彼へ深い心の傷を残し、同時に仲間の人生をも大きく変えてしまう。成長し大学生になったエヴァンは、あるきっかけで自分が日記に記された過去へ「意識と記憶」はそのままに戻れる能力があることを発見する。そこで彼は過去へ戻り、よき未来を「取り返そう」と行動を起こすのだが、それによりかわっていく未来は…

とにかく脚本がしっかりしていて、話に無駄がない。物語前半で提示されるいくつかの不可解な出来事も伏線として、きっちり最後に意味の解決が図られており、この辺は見ていてそうか、と思わずうなってしまう。114分の上映時間が短く感じられるのは決して見た私の記憶が途切れたからではないはず。

映画館を出て街を歩きながらも、しばらく映画の余韻に浸ることが可能な傑作。せっかくお金をだして何か映画を見ようと考えているのであれば、この映画はその候補として強くお勧め。個人的には今年見た映画中、現時点ではベストの作品と断言します。
(ちなみにワーストは「鉄人28号」…)

★★★★
(5つが満点)

※ここから少しネタバレ。映画未見の人は注意!
映画自体には大満足。よって製作スタッフ、というよりは映画会社に対しての不満なのだけれど、この映画の予告編(今も公式サイトで視聴可能)はもう少し工夫してほしかった。あのラストシーンを使った予告編というのはいかがなものだろうか。物語を見たあとでは、凛として歩くケイリーの姿が必ずしも完全なハッピーエンドを意味しないことはわかるし、それが物語の良いところではあるのだけれど…