映画少年

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ハドソン川の奇跡

2016-10-09 09:36:04 | 日記
「ハドソン川の奇跡」(原題:SULLY 2016年 アメリカ)



 実話に基づく感動作である。
 今回は「IMAX」(高精細度の映像システム)で観た。

 監督:クリント・イーストウッド
 主演:トム・ハンクス

(実際の事故の概要)
 2009年1月15日午後3時30分頃、ニューヨーク発シャーロット経由シアトル行きのUSエアウェイズ1549便が、ニューヨーク市マンハッタン区付近のハドソン川に不時着水した。乗員・乗客全員が無事に生還したことから、ニューヨーク州知事のデビッド・パターソンは、この件を「ハドソン川の奇跡」(Miracle on the Hudson) と呼び称賛した。

 機長の「決断」は正しかったのか。
 乗客乗員155人を救い「英雄」となった機長(トム・ハンクス)だったが、国家運輸安全委員会によって事故原因の調査が行われた結果、機長の「決断」に疑惑の目が向けられる。機長は動揺し自らの「決断」が正しかったのかどうか迷うようになる。そして、検証の最終段階である公聴会を迎える。機長の「決断」はどう裁かれるのか。

 不測の事態が起これば誰かが「決断」をしなければならない。危機的状況に置かれた航空機内であればその「決断」は機長に委ねられる。もしこれが、会社であれば社長であり、学校であれば校長ということになる。
 東日本大震災。津波を避けるためにマニュアルどおり校舎屋上に避難していた児童を前に、地震の規模から「ここでは大切な命を守れない」と考えた校長先生が、近くの高台に移動する「決断」を下した話を聞いたことがある。もし移動中に津波が来たらアウトである。しかし、幸いにも移動中に津波が来ることもなく無事全員が高台に避難した直後、沖から押し寄せる大津波を目撃することになる。そして、その津波は3階建ての校舎を瞬く間に飲み込んでいく・・・。

 話を映画に戻そう。
 離陸からハドソン川着水までの約3分間という短い時間の中で繰り広げられる危機回避行動は緊迫感があり、無事着水したときは結果が分かっていながら内心ほっとした。
 しかし、マスコミや市民による「英雄」扱いとは裏腹に国家運輸安全委員会の冷たい視線と容赦ない追求が始まる。「着水」だと主張する機長・副機長に対し、国家運輸安全委員会の調査官は「墜落」だと断言する。「なぜ、そこまで悪者にしたいのか」と思ってしまう。この時点では、こうした対立が、映画の最終場面を引き立てる伏線になっていることには気付かずに観ていた。
 真冬のハドソン川に浮かぶ飛行機から避難する乗客を「ニューヨーク」が一体になって救助する映像に心が熱くなる。驚くことに当時救助に当たった人たちがその役で出演しているという。テレビのリポーターまでも。クリント・イーストウッド監督のこだわりに驚愕する。
 無駄を省いた明快なストーリー展開であり、エンドロールの間、誰も席を立たなかったことがこの映画が紛れもなく名作であることを証明した。本年度のアメリカアカデミー賞の有力候補であることは間違いない。

「映画.com」(http://eiga.com/official/hudson-kiseki/)を映画を観た後に閲覧すると余韻に浸れる。映画を観る予定のない人はこのサイトだけでも楽しめるが、予定の変更を余儀なくされることだろう。


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