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初めに

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「万物をお創りになる者の手を離れるとき、全てはよいものであるが、人間の手にうつるとすべてが悪くなる」 JJ ルソー(1712-78)

      「ハムレットの吹かす風」へようこそ。

 このブログを『考えるヒント』あるいは『思考の道具』としてお使いください。左の目次をクリックすると記事を読むことが出来ます。なお本文中にアンダーラインが引いてある場合クリックすると関連記事が出てきます。旧ブログではアクセス数が異常に多く困っておりましたがやっとくどいようにブログ停止にするなどして功を奏したようで適正アクセスの300程度に落ち着きほっとしております。まるで灯に群がる蛾のように何か面白いネタをさがすネットサーフィンの人たちが減ったせいでしょうか。ここに見に来ても面白いことは何もありませんからね。


       遠い地平線が消えて
          ふかぶかとした 夜の闇が心を休める時
          はるか雲海の上を 音もなく流れ去る気流は
           たゆみない宇宙の営みを告げています

          満天の星をいただく果てしない光の海を
           ゆたかに流れ行く風に心を開けば
           きらめく星座の物語も聞こえてくる
           夜の静寂の何と饒舌なことでしょうか
           光と影の境に消えていったはるかな
          地平線もまぶたに浮かんでまいります

<ジェットストリーム>より      

大河の源流は驚くほど小さな湧き水である。生きてゆく理由があるかぎりその一滴にも多くの価値がある。深い哀しみや孤独感は,単に呻き声をあげるだけでは癒されることはない。本当の意味での孤独を知らなければいくら現象面から中心部を覗いてみても,あるのはただ澱んだ空気のみである。人はそれを世間と呼ぶ。世の中には個を貫こうとして真理を求める激しさのあまり,目的を達することがかえってその拠って立つ世界を,その根底から覆してしまうような結果になることがある。当人にとっての悲劇は他人にとって喜劇にしか写らない。怖いものを覗いて見るとそこには自信のない泣きそうな顔をした自分が写っているでしょう。

 もし管理人の内面的な生活,矛盾を興味本位で覗き見する目的でこれを開く人がいたら,きっと失望するでしょう。日本では実証的な学問は進歩しないで,へーゲルはこういった,それをある人がこういったというふうに,特定の個人に対し権威ずけが行われ,それが自己形成の<完了>を阻害してきました。自己形成を<完了>するということは終わるという意味ではありません。

<自己形成>の完了とは,僕が1976年9月作家で仏文学者の故辻邦夫先生からお聞きしたことはこういうことです。

ポリネシアの海でも僕は何度かそうした瞬間を味わった。旅が終わろうとしていた頃,ランギロア環礁の小さな入り江で,一羽の鳥が波打ち際に立っているのを見かけた。その時も夕暮れどきで,赤く染まった雲が,金色の輪をはめたように輝きながら,椰子の葉の上に流れていた。

 波打ち際に立つ鳥は,何か餌でも待っているのか,片足を立て,身じろぎもせず,そこに立っていた。僕がそれを見ているとき,まるで置物のようにそこから動かなかった。波が打ち寄せ,風が椰子の葉をそよがせても,鳥は,身動き一つしなかった。

 そのとき,僕は自分がいつまでもそこに坐って,鳥を見ていられるような気がした。僕は鳥をただ見ているだけで,十分満たされているのを感じた。あたかも自分が鳥にでもなったかのように,僕は,その甘い柔らかな南太平洋の海の風に吹かれていた。

「僕は歩く事だけで,見ることだけで,喋ることだけで,自分が過不足なく<完了>したと感じた。不足もなければ,余剰もなかった。必要なだけがそこにあり,必要なだけ使った。~~そんな感じがした」時の終わりへの旅より。

辻邦生
ツジ・クニオ
1925(大正14)年、東京生。東京大学仏文科卒。1957(昭和32)年から1961年までフランスに留学。1963年、長篇『廻廊にて』を上梓し、近代文学賞を受賞。この後、芸術選奨新人賞を得た1968年の『安土往還記』や1972年に毎日芸術賞を受けた『背教者ユリアヌス』等、独自の歴史小説を次々と発表。1995年には『西行花伝』により谷崎潤一郎賞受賞。他の作品に『嵯峨野明月記』『春の戴冠』等。森有正に師事。森氏の「砂漠に向かって」に出てくるO君(中澤紀雄)は同じ東大仏文科の同期生。こともあろうに管理人は中澤紀雄氏がエールフランス極東地区支配人時代5年ほど部下であった。当時は何とも思いませんでしたが今にして思えば幸せな瞬間だったんでしょうね。僕の人生は今回顧すると何者かに導かれていたということがはっきりします。幼児洗礼を受けたこともあると思います。超二流の人生もまた悪くないと思っています(笑)。

フランス我がたび

 ここに書かれている内容は過去ログを含め理解するには時折,嘔吐や苦痛をともないます。でも努力してみてください。蝋燭の焔が消えてしまう前に,このはかない生を自分で確かめて下さい。

 そして本当の意味での自分の立脚地をおくことの出来る世界を,自分の中に築き上げ確立していくこと,それがすべてです。以下は老荘のことばから。


1)利益というものを,人間の生き方の中心に置いた社会というものは必ず破滅する。

2)便利な生活というものを,最高の価値として,それだけをひたすら追いかけると冷酷非常な世の中になる。

3)世の中が乱れることの根本は,賢くなれといって頭のいいことを人間たることの第一の価値として強調することだ


 窓の外はイスラエル市内

おお,ありとあらゆる治世の,ありとあらゆる国家の殺戮者よ,投獄者よ,馬鹿者よ。いつになったら君達は,人間を閉じ込め,死なせる技術よりも人間を知る技術を尊重するようになるのであろうか。マルキ・ド・サド「悪徳の栄え」より


            原生林の奥の奥
            倒れた大樹のその上に
            こけときのこが絵を画いた

            ちいさなちいさなきのこたち
            白とピンクの服着てた

            秋の光を背にうけて
            水の流れの音楽に
            小人の国の舞踏会



上の詩はどろ亀先生によるものです


森本哲郎「僕の旅の手帳から」の表紙(角川文庫)。はじめにヘミングウエイの「移動祝祭日」からの短い文章がのっている。

巴里で客死した哲学者の森有正氏は「生きることと考えること」の中で恋愛についてこう語っています。

 『日本人の経験というものは,分析が本当の個人意識まで絶対に下がっていかないのです。最後のところに「親子」の関係とか,「夫婦」の関係とか,「家族」の関係とか,[友人」の付き合いとか,義理とか,そういうようなものが網の目のようにその中に張りめぐらされてある。

 だから少なくとも二人の人間で一つの個性というと具合がわるいが,一つの単位を構成しているというところが出てくる。その場合に,自分の個を貫くために,その結びつきを破るかというと,日本人は破らない。それが日本人の根本的な長所であり,また欠点だと思うのです。

 個人意識が大事だということは,最後のところになると親子,夫婦,師弟というふうな結びつきが破れて,それが個々に分離していくところにある。ヨーロッパのばあいは,あるばあいには,ほんとうに親も離れ,先生も離れ,国も離れ,社会も離れ,なにもかも離れて,自分一人になってしまうという経験が,事実そこまで行ってしまうのです。

 夫婦でも日本みたいに融合しない。親子でももちろん融合しないし,師弟も融合しない。親は自分の責任を尽くして生きてきたのだから,あとから来た子供は,その子供自身の生活なのだから,その生活を自分で営んで,またその次に出てくる子供から離れて一人で死んでいくわけです。そうであるからこそ,ヨーロッパには本当の恋愛が可能なのです。

 日本人には本当の恋愛が非常に少ないということです。すぐに親がでてくる。すぐに先生がでてくる。ことに,すぐ友人がでてくる。そのために本当の恋愛は日本では成立しない。恋愛は男の個と女の個との関係です。ですから,孤独ということがなかったら恋愛なぞ,絶対にありえないのです。孤独において成立したもの以外は,多かれ少なかれ,みんな仲人口です。究極において個を貫けないという要素によるものです。

 またフランスの試験制度については,学士になるとか,国家試験などでも,一年前に、試験の範囲が報告されます。例えば,フランス文学史の17世紀なら17世紀を勉強してこいとか,どういう著者を勉強してこいとかの指示があります。そういうやり方を通して,単に知識をコントロールするのではなく,試験を準備させることによってその人に勉強させるというやり方をとっている。

 中学校などでも哲学が必須で徹底している。デカルト,パスカル,カント,ハイデッカーなど学校用のテキストを正確に読んでおかなくてはいけないわけです』


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