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≪注目意見≫タスキージーの梅毒研究ーオバマが背負う人種差別国米国の原罪 天木直人氏

2008年12月22日 12時11分42秒 | 政治・社会
■ タスキージーの梅毒研究ーオバマが背負う人種差別国米国の原罪 天木直人氏

   http://www.amakiblog.com/archives/2008/12/19/#001301

私のブログの目的は、つまらない私の意見の開陳や押し付けではない。ましてやそれをめぐって論議を戦わせることではない。

真実に迫ることだ。そして、そこにたどり着く一里塚として、一つでも多くの事実を知ることだ。

今日のブログもそれである。私が知らなかった事を読者と共有し、読者がそれについて考え、自分の意見を確立すればいい。そう思って書いている。

12月18日の朝日新聞に竹沢泰子(京大人文科学研究所教授 文化人類学)という学者が、オバマ次期米国大統領について書いていた。

その趣旨は、無名のオバマ氏を全米が一躍注目する候補に引き上げたスピーチ、つまり2年前に民主党大会で述べた「一つのアメリカ」のスピーチが、なぜ米国人の心を深くとらえたか、という問いに対する、一つの答えである。

まず、ここでその言葉を思い起こしてみる。

「・・・リベラルのアメリカも、保守のアメリカもない。黒人のアメリカも、白人のアメリカも、ラティーノ(中南米出身者)のアメリカも、アジア系のアメリカもない。あるのは一つのアメリカだけだ・・・」

選挙中、オバマ氏が師と仰ぐJ・ライト牧師が、エイズウイルス(HIV)は米政府が企てた黒人浄化計画である、などと発言し、オバマ氏は「人種対立をあおる」として批判した事件があった。

この風説は、黒人社会内部なら誰もが耳にする風説であるが、あくまでも風説にとどまっており、その一方では、何も知らない多くの白人には「ざれごと」と映る発言である。

しかし、竹沢教授は、これは歴史的な事実であり、それを知っている者の間に極めて深刻なトラウマとして残っている問題、つまり人種差別国アメリカが今日でも抱く原罪であるという。

竹沢教授は次のように教えてくれている。

「・・・1972年に新聞報道されるまで、米政府は40年間も『梅毒の治療』と偽って、399人の貧困層黒人に人体実験を行っていた。これは『タスキージーの梅毒研究』と呼ばれ、有効な治療法が存在していたにもかかわらず、梅毒を患う彼らに説明も治療も施さず、ただ経過を観察したのだ・・・」と。

そして竹沢教授は次のようにオバマ氏にエールを送る。

「・・・米国は経済危機やイラク戦争など山積する喫緊の課題を抱えている。そうした中、人種の超克を訴えるオバマ氏は、分断を紡ぎあわせ、(米国を)『一つのアメリカ』に導けるか。黒人社会にも白人社会にも、父のケニアにも自らの居場所を見出せず、ひとりアイデンティティーの葛藤と闘ってきた末に、たぐいまれな融和の術を見につけた人物は、それを『不可能な夢』に終わらせない、オバマ氏は、そう人々に思わせるのである・・・」

この一文を読んだとき、私はオバマで米国は立ち直れるのか、世界を平和にできるのか、と人事のように批評する事が、いかに間違っているかという思いに気づかされる。

この途方もない困難な責務を、米国人も世界の人々も、オバマ氏ひとりに押し付けて傍観することは許されない。

オバマは私であり、あなただ。あなたや私はオバマなのである。

そう思ってオバマ氏を応援していくしかない。


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