たわ言、泣き言、独り言 時々新刊案内

青春するから応援よろしくお願いします!!

「青春するから応援よろしくお願いします!!」(メロウ+, 2021/07, カクヨム)
https://kakuyomu.jp/works/16816410413906732747

読了しました。
歯止めのかからない少子高齢化に悩んだ国の打ち出した計画、通称「大人計画」の対象に選ばれた主人公、久我滝夜。彼の怒涛の1年が始まる……
今回は「#RTした人の小説を読みに行く」企画による読書です。

今回の「#RTした人の小説を読みに行く」企画では「10万字程度以下で完結済みの小説」を募集しました。
この作品の文字数は31万字強で、しかも未完です。
ですが今回はこの企画の対象としました。

主人公の久我滝夜はどこにでもいる中学生だ。
その彼は、日本全国の14歳が、市役所や区役所、または公民館などに集められ、そこで人生について学ぶ通称「大人計画」に参加することになった。
送られてきた案内に従い、4月1日、蔵野市役所に足を運ぶ滝夜。
そこには一筋縄ではいかない中学2年生たちが勢ぞろいしていた。
そして彼の怒涛の1年が始まる。

面白かったです。
主人公の感情が瑞々しく表現されています。
好感を持てて、感情移入もしやすかったです。
ただ、(話者としては)いつもテンション高めかな?
なので読破して少々疲れました。
現時点でも31万字強と、長いですし。

主人公以外のキャラクターもそれぞれに特徴があって、よく描き込まれています。
いろいろなことが細部にわたって調べられていて、それが物語にいかされていました。
それが物語の説得力や厚みになっています。
とくに主人公たちをサポートするAI、ケアウグイスはよくできていました。

一部を除いて、この物語は主人公の一人称で書かれています。
そして部分的に、他の登場人物の一人称や三人称で書かれています。
その、他の登場人物の一人称や三人称で書かれている部分のうち、数か所で、話者(視点)のゆらぎがありました。
それを指摘するために、主人公の一人称以外で書かれている部分を以下にリストアップしてみます。

第49話 無期限の刑
話者(視点)のゆらぎがみられる(前半は柳真下の三人称、後半は主人公の一人称?)。

第50話 AIは学びでできている
話者(視点)のゆらぎがみられる(柳真下の三人称と榎戸の三人称が混在している?)。

第51話 GATEからの出向者
話者(視点)がわかりにくい(柳真下の三人称)。

第52話 ハジメ少年の動画
話者(視点)がわかりにくい(榎戸の三人称)。

第53話 中学生、見守るくらいがちょうどいい
話者(視点)がわかりにくい(榎戸の三人称)。

第55話 不審者
主人公の一人称なのに主人公のいない場面の描写がある(中ほど)。

第96話 所詮ゴシップ記者だと侮った
話者(視点)がわかりにくい(柳真下の三人称と榎戸の三人称が混在している?)。

第98話 情報は漏れてしまった
話者(視点)がわかりにくい(柳真下の三人称と榎戸の三人称が混在している?)。

第99話 中学生の人権なんてない
話者(視点)がわかりにくい(柳真下の三人称)。

第100話 すべてのアナログに死を!
話者(視点)がわかりにくい(柳真下の三人称)。

第176話 守らねばならないもの
話者(視点)がわかりにくい(柳真下の三人称)。

第177話 無敵であれ
話者(視点)がわかりにくい(柳真下の一人称)。

第178話 同僚
話者(視点)のゆらぎがみられる(柳真下の一人称と三人称が混在している?)。

第179話 放送室にて
話者(視点)のゆらぎがみられる(柳真下の一人称と三人称が混在している?)。

第182話 第一試合
話者(視点)がハジメの一人称。

第183話 館内放送
話者(視点)がハジメの一人称。

第184話 強い人
話者(視点)がハジメの一人称。

第185話 真下さんと交代
話者(視点)が柳真下の三人称。

第186話 咲良帰宅
話者(視点)が咲良の三人称。

第187話 落ちる
話者(視点)が咲良の三人称。

第188話 キーン
話者(視点)が柳真下の三人称。

以上に上げた部分が、主人公の一人称以外で書かれているパートです。
主人公が剣道の試合に臨むパートは、主人公以外の人物の一人称で書かれていました。
それがとても効果的でした。
あの部分を、主人公の一人称で書くことは難しいと思いました。

話者(視点)が、主人公の一人称から、他の登場人物の一人称に切り替わり、また元に戻ることには、わたしはそれほど抵抗を感じません。
しかし、話者(視点)が、主人公の一人称から、他の登場人物の三人称に切り替わり、また元に戻ることには少々抵抗を感じます。
それほど商業小説作品を読んだわけではありませんが、そういう切り替わりは特殊ではないでしょうか?

話者(視点)のゆらぎについて以外は、誤字脱字や文法の誤りもそれほど気になりませんでした。
もちろんそれは、商業小説作品に比べれば、web 投稿小説は誤りが多くても許容できると言う事なのですけども。

とは言え、楽しめました。
この作品を読んで、久しぶりに中学生時代の自分に想いをはせました。

コメント一覧

yutaka_218375_tsujii
メロウ+ 様
コメントありがとうございました。
読書感想文でブログに直接ご返事を頂いたのは初めてです。
少々厳しめの感想になってしまったかも知れません。
創作の参考にして頂ければ有り難いです。
メロウ+
視点が変わったことを分かりやすくするために、該当の人物の名前を入れたら、自然とそういう文章になっていたよ。珍しいのか。
というよりも、分かりにくいところがポイントなので、手直しが必要ですね。
一つ一つ挙げて下さってありがとう、参考になります。

テンション高めかな? そのあたりは気にしたことがなかったけれど、言われてみればそうかも。
色々勉強になるなあ。
誰かに読んで頂けることは、自分以外の光を当てることだと思ってるのですが、今回もまた新しい視点を頂くことができました。
本当にありがとうございました。
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