日本語教師ブラジル奮闘記

ブラジル生活裏話

読書こそ最高の娯楽

2010年02月28日 07時23分48秒 | 日本事情
 
 昨今はブロードバンドの普及で、地球の裏側にいても日本のテレビ番組をほぼリアルタイムで視聴することができる。つくづく便利な時代となったものだと感心するが、それでもまだ書籍に関してはこちらで入手できない。

 もちろん、AMAZONどを通じて購入すればいいのだろうが、時間もお金もかかる。まあ、キンドルなどという電子書籍も登場してきたから、近い将来日本の書籍も手軽に読めてしまうのかもしれないが、映像と違ってコンピューター上で読む書籍というのは何か味気ない気がする。

 ともかく、僕が子供の時代から、若者の活字離れ・本離れが声高に叫ばれてきた。そして、その状況はあれから四半世紀経った21世紀の現在も何ら変わっていない。その原因は毎度のごとく、テレビ・映画・ゲームなどとマスメディアが多様化に求められる。

 でも、この年齢になって改めて気づくことだが、やっぱり最高の娯楽は読書だなと思う。もちろんテレビ・映画を否定するわけではないが、基本的には物語中心で、何かについて知識を深めていくことはできない。

 また、ゲームではその物語の世界観の中で自分が主人公になってプレーするのは楽しいが、結局の所、ゲームクリエーターが作った箱庭の中で遊ぶだけで、それ以上の発展がない。

 一方、書籍が扱うジャンルは無限大で、自分が何かについて深く知りたければ、興味対象の本を見つけて、どんどん読んでいけばいいのである。物語に限らず、実用本、教養本など、自分が好きなジャンルを選べばいい。また、初級者から上級者まで、自分の知識のレベルに従って一番適した本を選ぶこともできる。

 日本は学校も地方自治体も図書館が本当に充実している。その蔵書量もジャンルも膨大で、身分証明書を提示して、図書カードを作成すれば、かなり多くの本を無料で借りることができる。借りられる本は古い本に限らず、ベストセラーでも数ヶ月も待てば、誰かが図書館に寄贈するために読める。

 こんな公共サービスを利用しない手はない。お金をかけずに楽しめる最高の娯楽、それが読書である。日本人はあまりにも環境に恵まれすぎていて、それを上手に利用できていないのではないかと思う。

 ブラジルにも図書館は一応あるのだが、本を期限どおりに返さない人が多いほか、そのまま返却せずに盗んでしまう人もいるため、本を貸し借りする状況にない。また、ブラジル人は読書好きでもない。本自体の出版数も少なければ、書籍の値段も高い。

 こんなブラジルの図書館事情・書籍事情と比較すれば、日本は夢のような状況にあるのである。

 僕は周囲に新刊の日本の書籍がない。だから、活字に飢えており、日本語の本を見つけると、特に興味が持てない本でも、取り敢えず読んでしまう。また、気に入った本なら、1度ならず2度・3度と読み返す。なぜなら、新しい本が周囲にないからである。

 でも、この同じ本を何度も読み返すという作業は、非常に有用な行動である事に最近気づいた。なぜなら、著者が伝えたい事をより深く吸収できるからである。また、1度サッと読んで理解したつもりでも、しばらく経つとその内容をすっかり忘れてしまっている。人間の記憶力なんてそんなものである。
 
 しかし、いい本はやはりいいのである。そういう本は何度読んでも構わない。もう暗記するくらいまで読み倒すというのもいいと思う。

 よく昔の人は娯楽がなかったから、同じ本を擦り切れるまで何度も読んだなんていう話を聞かされたが、今ではその気持ちが理解できる。僕も書籍環境に関しては、大正時代の人と同じような状況だ。でも、それが逆にいい方向に効果を発揮していると思う。

 今度日本に帰国したら、大量に書籍を買い込みたいなと思う。あとは、ユニクロの服…。そして、いつものようにメガネも買い替えたい。
 
   

最新の画像もっと見る

コメントを投稿