Sugarmint

あまくてにがい

冷静

2009-09-25 21:51:51 | ふらふら短歌
正妻のことは知ってるくちびるの色がきれいなよく笑うひと

この部屋は照明までがわたしのことばかにしているようなんだよね

電話する代わりにコンビニへ出かけた 夜風で少し現実に戻る

いまわたしこのまま冷静をつかめばあなたのことをきらいになれる

朝起きて顔洗ってもおんなじで毎日毎日絶望してる

主役では絶対なくて脇役である気もしない怒る気もしない

こんにちはさようならですませればよかったんだねよかったんだね



+++



なぜだかわからないけれど、
好きな人に彼女やら奥さんやらがいるような歌ならいくらでも出てくる気がします。
きっとあの恋のインパクトは相当だったんだな。

壊れても何度もむりやり直して抱きしめてきた4年間。
決して戻らない4年間。

おすそわけ 第1回「黄色」

2009-09-23 17:12:40 | おすそわけ
黄色いカーディガン

黄色のもの、と考えてすぐに思い浮かんだのはカーディガンでした。
というか、それくらいしか思い浮かばないほどに黄色いものを持ってませんでした。
黄色はすきです。明るくて、さわやかそうで。
でも身につけるものの色としては敬遠しがちなのかなあ、と思います。

そのカーディガンはたぶん予備校生のときによく使っていた駅ビルで買いました。
だからとてもじゃないけれど高いものとかではなく、どこにでもあるような薄手の、
だけどゆるやかなフォルムがなんとなく気になって灰色と色違いで2着買いました。
ほんとに鮮やかな黄色で、着るととても目立ちます。

普段着るものといえば灰色とかベージュとか黒がどうしても多いので、
着て出かけた日はとてもどきどきしました。

この間タンスから出して久しぶりに袖を通しました。
こんな風にときどき思い出したようにひっぱりだして、そのたびに少しどきどきしながら着ています。
行く先はただの夕飯の買出しでも、散歩でも、
いつもと違う色を着ているだけでちょっとうれしくなります。

普段着ないから色だからこそ、特別なものになるんだなあ、と思います。
気に入ってはいるけれど、ときどきしか着ない。
どきどきするから、ときどきしか着られない。
だけどきっとまた着たいと思う日がくるだろうから、そのときの自分のためにちゃんと大事にしなきゃですね。



いつもより自分をどきどきさせたくて黄色い服を選んでいる朝(藤野唯)


***


ゆびおり短歌のイマイさんと「おすそわけ」という企画を始めました

相手の出したお題にそって日々のことや思い出+短歌を交換日記していきます。
第1回のお題は「黄色」でした

だんだんと素敵な形にしていけたらいいなあ、ということと、
さりげないことや小さなことを見逃さないように書いていきたいです。

次回の更新は約2週間後、イマイさんのブログで、
お題は「鞄」です。

2009鑑賞 005

2009-09-23 14:57:37 | 題詠2009 鑑賞
005*調

調子など狂ってしまえ 咲きたてのパンジーたちとひそひそ笑う (日向奈央)
悪意のある上句ですが、パンジーたちと、という可愛らしさに和んでしまいました。

雨が降る調べてわかることなどに真理はないと嘯く君に (遥遥)
「君」の台詞がすきです。

わたしより愛しいものがあるひとの鼓動の調べ おかえりなさい (田丸まひる)
静かな哀しさ。

「カンパニュラ」名など調べて植えてをり 風と暮らさな 影と遊ばな (迦里迦)
下の句が好きです。リズムも内容も。

甘くて白い幸福な砂糖

2009-09-16 23:30:11 | ふらふら短歌
一度しか来ない夏の終わりだしあなたに嘘をつくことにする

しあわせになろう 手に入らないから好きだったということを忘れず

悲しくはないけど今日もたべている甘くて白い幸福な砂糖

さよならを言っても信じてくれないね だってどうせまた会うものね

長袖と長い夜がうれしくて片思いしててよかったと思う

おきよめのつもりで歯みがきをしている第3者とキスした翌朝に

ほんとうは仲良くしていてほしいんだ 角のドーナツ屋はきょうも素敵

あの細いうでにも温度はあるのだろう だれかに熱をうつされるのだろう

もし100回うまれかわったとしたって何回あなたとしゃべれるだろう

ぺたんこの靴なら似合うと思ってる ちっぽけなことによりかかりたい

連休がきたってわたしはわたしだしあなたはあの子を愛しているし

1秒でいいから何か思ってよ 今夜はあったかくして眠ろう

あのひとじゃなければこんなに簡単にさわれてしまうことに驚く

心臓はわたしにだってあるのだとちゃんとわかってしまった夜だ


こんなにきらい

2009-09-02 22:52:03 | ふらふら短歌
今日もまたわたしは誰かを見下して屋上で夕日を眺めたい

似たような男ばっかで似たような女とばっかり抱き合っている

自画自賛する人が嫌いその声を録音でもして聞いててほしい

きみはまたおんなじ理由を押し付けて次の男もそれで別れる

あなたとはちがってヒールもはけないし可愛くないので返してください

ももいろの花びらを全部ちぎりたい わたしあの子がこんなにきらい

最高に調子に乗ってたあの夜のきみに不当な扱いを受けた

コブクロを偶然聞いてしんみりとしたくて夜更かししていたんじゃない

2009鑑賞 004

2009-09-02 22:41:20 | 題詠2009 鑑賞
004*ひだまり

すこしだけ苦い風邪薬を春のひだまりで溶かす君のはなうた(さかいたつろう)
読んだときさすがだなあ、と思いました。

おだまりよひらひらひらさらさらさらのわたしさかまつげちょっとひだまり (久哲)
これ好きです。「おだまり」と「ひだまり」にちょっとくすっと笑ってしまう。

ひだまりを駆ける子どもの声遠く冷えた布団できみと抱き合う(denkoo)
そのギャップというか、明暗がよくわかる気がして。

美術準備室にひだまり閉じこめて肺に満ちてく石膏のしろ(加藤サイ)
004で一番好きかなあと思いました。