狼のブルース

作詞　松本隆     作曲　吉田拓郎

奴のマシンは闇を切り裂く
夜目にも白い狼の影
キーをまわせば 大地も揺らぐ
そう町中が お祭さわぎさ
奴は狼 よるなさわるな
今夜は 娘をかくしておけよ
太陽のない町で生まれて
ため息を食って食って育った
欲望という名の車に乗れば
奴の人生を邪魔するものはない

下町にあるバーガー　インは
はみだしものの吹きだまりだよ
粋なあの娘が 色目を使う
瞳の中に 哀しみがある
奴は狼 よるなさわるな
マシンが奴の 恋人なのさ
機械は人を裏切らないさ
涙で心をさびつかせない
欲望という名の車に乗れば
奴のハイウェイは夜の中に続く

深夜の町のドラッグ　レース
港へ続くヘアピン　カーブ
熱い血だけを ゆさぶる者が
命を賭けて 明日を投げ出す
奴は狼 よるなさわるな
自分の命が 可愛いいならば
奴が生まれたよくある暮らし
金持ちでもなく飢え死にもせず
欲望という名の車に乗れば
地球を両手で抱きしめた気がする