両親の家の庭で 2007年09月30日 | 青、または赤の日々 両親の家の庭で カロッサ 噴水のある前庭、カスタニエンの林をぬけると、金色のこけ苔がついた門がひらく。 その背後にはまだ、九月の光のなかに スベリヒユの半ばしおれた花が照り映えている。 ぼくはよくこの花壇を前にすわっていた、 日の沈むころ、ひとりぼっちの子どものぼくは。 そうしてゆえ知らぬ胸のなやみを忘れた、 熟れたさやみ莢実がはじけて、黒い粒つぶが ぼくのてのひらにとび散り、 それが光にふれると恐ろしく早く色あせてゆくのを眺めながら。
九月の朝 2007年09月30日 | 花の日々 九月の朝 メーリケ 霧のなかではまだ世界が眠っている 森と牧場はまだ夢を見ている やがて夜のとばりがひらくと おまえは青い空がよそおいもせず くすんだ色の世界が秋らしい力で あたたかい金色となって流れるのを見る
麒麟草の咲く日に_2 2007年09月30日 | 花の日々 麒麟草の咲く日に モンゴメリ 遅咲きのこの花に 消え去りし夏は その光に喝采する世界を残し 九月の下旬には 如何なる美が過ぎ行く歳月に伴うものかを 私たちに思い出せと命じる いち早く過ぎる日々こそ最も美しい そして 生は神の御心に近づき 天の平和は地上にもたらされる 麒麟草の咲く素晴らしき時に
麒麟草の咲く日に_1 2007年09月30日 | 花の日々 麒麟草の咲く日に モンゴメリ 辺りを覆う日陰の草地を横切って 私は秋のうまざけ美酒を飲みに歩く―― 今日 しろがね銀色に輝く丘の上での 話の魅力 芸術家の栄光は私のものとなる 山の高みに 窪みに 私の行く所は何処でも 柔らかく肥えた山腹にも 枯れかけた芝生にも 軽やかな風を受けて その冠毛を持上げ 吹き流して 麒麟草のほのかな輝きが見える
九月 2007年09月30日 | 花の日々 九月 モンゴメリ 見よ! 一年が秋の収穫に拾い集めし 黄金の日々の実りの束 あちこちで 残り火の如く赤く染め 遅咲きの赤き芥子の花が その輝きの中で 夏の盛りと喜びの消滅を償う―― これが九月