アマデウス即ちモーツァルトは江守徹、主役のサリエリは松本幸四郎(いまの松本白鴎)が演じました。「凡庸なすべての人」の守護神をもって任じたサリエリは実は凡庸ではなかったというパラドックス、悲劇が胸に突き刺さりました。なぜならば、同時代人でモーツァルトの価値がわかったのはサリエリただひとりにすぎず、だからこそ懊悩も深かったというほかないからです。