テレビのゴルフ解説者で設計家でもある大西久光氏は、
プロゴルファーで大成するには、心技体、それに頭と運が必要、
そういっていますが。
昨日の石川遼が勝った全英への道、ミズノよみうりオープンは、
そんな頭と運、それを感じた試合でした。
多くのゴルフファンは、ご存知のように、
大会最終日、11番ホールを終った時点では、石川遼が15アンダーで、
2位の金亨成に5打差をつけて首位独走、
コースに足を運んだ誰もが、遼くんの勝利を信じて試合を楽しんでいたはずです。
でも、プロに聞くと勝ったと思った瞬間から、プレッシャーを体に感じると言うのです。
プレッシャーを感じるとフットワークが鈍くなります。
腕の振りは、そのままですからボールが予定より多くフックがかかります。
もしかすると、遼くんも、楽観的なギャラリーの雰囲気に飲まれ、一瞬勝った、
そう思ったのかもしれません。
しかし、次の12番ホールに悪夢が待っていたのです。
そのパー4で遼くんは、ドライバーで二発のOB、次のショットもフックして左のラフ、
上がってみれば、7オン2パットの9ストローク、せっかくの5打のリードを
すべて使い果たし、10アンダーで金と並んでしまったのです。
前のホールで二発のOB、次の13番のティーショットが不安になるのが、
ゴルファーの当然の心理、
しかし、そこは201ヤード、パー3のショートホール。
ドライバーショットは必要ありませんでした。
神が、ドライバーショットの不安を忘れさせる、しばしの時間を与えた、
そんな感じがしたのです。
そのパー3を金のボギーに対し、パーで切り抜けると。
これまで誰よりも多い練習量が、自信を復活させる裏づけとなりました。
「これまでの練習は、こんな窮地を乗り切るため」
そう、思って次の14番ではドライバーを振り切ったと思います。
その後は、立て続けにナイスショットを連発、
圧巻は、16番パー5のイーグルです。
セカンドショットをグリーン横まで運びましたが、ピンまでは約35ヤード。
これを寄せに行くと、強めに入ったインパクトでしたが、
ボールはピンに当たってカップに入ったのです。
勝負運がない選手ですと、ピンに当たっても横に3メートルも弾かれたかも
知れません。
18番ホールも、2打差のリードがありながら果敢にツーオンを狙ってバーディ。
ジャンボや青木が言うように、
「2打差あったら、安全にパーで逃げ切り。そう思うんじゃなく、
そこでバーディを取って3打差で勝つ」
そう思う選手じゃないと、大成はしないよ。
心技体、それに頭と運、大西久光氏の言う、スター選手の要素を全て
持っているのが石川遼、そう感じるですが、願わくば、その対抗馬が欲しい、
日本のプロゴルフ界です。
大西さんは、尊敬、信頼している方ですから、宜しくお伝えください。
それにしても、名コース、サイプレスで
プレーとはうらやましい限りです。