手を使わずに、瞬時にして幾度もマスクを変えてゆくまるでマジックのような芸能。
中国四川省の伝統芸能であるが、見るからに難易度の高い芸で、一連の技を身に着けるためにはわざわざ四川省まで赴かなければならない。
私の長年の友人であり尊敬してやまないスーパー主婦、J氏は変面の魅力に取り憑かれ、四川省へ飛んだ。そして、辛い修行を乗り越え、日本で変面師を名乗る数少ない一人となって戻ってきた。
だって、衣装といい、曲といい、立ち居振る舞いといい、派手でダイナミック。それに、どんなに目をこらしてみても、あのマスクが変わる瞬間のしかけを暴くことなどできないのだから、何度見ても飽きないのだ。
しかもJ氏のすごいところは、変面にとどまらず中国のお正月文化に特化した劇団を作り上げてしまったこと。村の人々を次々に巻き込んで、獅子舞や、皿回し、龍舞などを取り入れた舞台を立ち上げたのだ。
中国の獅子はカラフルで長いまつげなんかあったりしてなかなか可愛らしい。大獅子のほかにも可愛らしい子獅子があと3匹もいる。演じているのは、J氏のお孫さんたち。熱心に曲を覚えて動きを合わせようと練習している様子がひたすら愛らしかった。
中国芸能をここまで身近に感じるようになると、もっといろいろ見てみたいという欲求が湧いてくる。そんなわけで、私も微力ながら劇団のお手伝いに加えていただくことになった。J氏の作る舞台を見ながら、中国芸能についてあれこれ研究する毎日である。
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