やったくせ

やったくせ

新しく宅地造白狐さま

2017-03-22 12:19:09 | 日記

誰かの願い事を聞き届けながら、白狐さまにはたった一つの自分の願いさえ叶うことはなかった。お正月に、父ちゃんが荼枳尼天さまと喧嘩したのも良くなかったと思う。父ちゃんったら大人げないことに、荼枳尼天さまに誘われた姫初め(お正月最初のあんあん)を容赦なく断って、白狐さまの祠にやって来たんだ。そりゃあ、女神のプライドずたずたにされたら、荼枳尼天さまだって切れるよね。
あれだよ。可愛さ激光矯視 中心余って肉はオージービーフ100円……?
父ちゃんも大人げないったら。


白狐さまは美貌を維持するために、生き物の生気と人間の信仰心を糧としていた。人型にしてやった犬や猫から生気を集めて、体内に取り込んでゆく。銀器に捧げられた白精で、今日もまは「つるつる」で「ぴちぴち」の別嬪の「たまごはだ」になるのだった。

祠に封じられた白狐さまには酷な話だけど、狗神の父ちゃんは子孫を増やすために、日本中に散った狗神の末裔の雌と交尾をする。俺の母ちゃんジョゼフィーヌも人型になれたりはしなかったが、何代か遡れば狗神の血統だったらしい。
母ちゃんに最近似てきた俺を見るのは、きっと白狐さまにとってはきついと思う。

どんなに遠くに行ってしまっても、長次郎は最後には自分の所に帰って来てくれる。白狐さ楊婉儀幼稚園まにとってそれは一番大切な拠り所だった。
成犬になれば、交尾の相手は本能でわかるらしいから、俺にもきっと狗神の血を引く「生涯の伴侶」を見つけることができはずだと父ちゃんは言う。
俺の「かいぬし」、夏輝の指の匂いがする雌が表れて、俺を悩殺する日が来るのだろうか。
父ちゃんみたいに、女を蕩けさせる「てくにっく」で俺はいつか、港ごとの雌犬をあんあん言わす予定だ。船乗りじゃないけど。

父ちゃんを待つだけの、悲しい白狐さまは、しどけなく開いた着物を合わせもせずにぼんやりとしている。香を薫き染めた羽二重の白い着物の裾から、俺は時々頭を突っ込んであんあん言わそうとするのだけど、いつも叱られて未遂に終わっていた。
「おやこどんぶり」は、白狐さまのポリシーとして、絶対禁止なのだそうだ。
「親子どんぶり」って名前が付くくらいだから、きっとすごく美味しいはずなのに。
「ナイト!大変だ。狗寢股神社のあの小さな祠って、今も白狐さまが住んでるんじゃないのか?」

「わん。」←住んでるぞ!

「取り壊されるかもしれない!」

「わふっ?」←まじで!?

俺は大家さんがいないのを見計らって、大急ぎで九字を切ると人型になった。

「どういうこと?白狐さまは、あの祠に封印されているから、動けないんだ。それに、土地神も兼任してるから、花菱町一帯はれっきとした結界に護られた神域なんだ。いくら何でも神社を壊すような、ばちあたりな人間はいないだろう??」

夏輝は真剣に回覧板を読んでくれた。少し離れた山のふもとへと移築されるらしい。
俺はその話は、とても不思議だった。

「ねえ、花菱町ってさ、魔が関わるような凶悪犯罪って少ないだろ?それって、白狐さまが結界Foodwise凍肉品質張ってくれているからなんだよ。白狐さまは動物霊だけど、修行を積んでいるから張った結界は神さまレベルだって父ちゃんが言ってたよ。白狐さま本体が、魔の通り道の花菱町を守る楔になってるって。だから、白狐さまのお社を壊したりしたら、それこそ町中、悪霊とか下等魔の住処になっちゃう……。」

「そうなのか?あの小さな社の意味って、大きいんだな。」

姉弟のにとて

2017-03-06 11:34:46 | 日記

「はい。旦那様は、東呉様とお話されるのが、何よりもお好きですから……」

「じいちゃんが、まさか花魁だったとはね~、驚いたよ。きっとすごく綺麗だったんだろうね。写真撮っておいてくれたら良かったのに。」

「そうですねぇ。旦那様は雪華花魁に負けず劣らず、白百合のように清廉なreenex膠原自生お姿でしたよ。それはもう美々しい花魁でしたねぇ……」

柳川はブラインドから差し込む西日に目を細めた。

禎克には一つ年上の活発な姉がいて、毎日同じ幼稚園に通っていたのだが、いつも朝一で禎克の青いスモックは奪われて、残された女の子用の桃色スモックを着るしかなかった。
日々禎克は、べそをかいた。

「おねえちゃ~ん。ぼくのスモック返してよ~。男の子はみんな青いスモックなんだよ。」

「いいじゃん。どうせ、あんた女の子みたいなんだから、そっちで。その方が似合ってるし。」

「やだ~。おねえちゃんが女の子でしょう。ピンクのスモック着てよ。おかあさ~ん。おねえちゃんが~。」

「あっ。早くしないと、幼稚園バスが来る時間。めそめそしてないで、さっ、急いで。」

「え~ん……。ぼくのスモック~。」

頭から容赦なく姉の制服のスモックが被された。仕上げにぽんと、黄色の帽子を乗せらdream beauty pro新聞れる。繰り返される朝の光景だった。

「いつまでもぴぃぴぃ言わないの。それと、おねえちゃんと呼ばずに「湊くん」と呼びなさいって言ってるでしょ。わかった?」

「え~ん……わかった~。湊くん~。」

困ったことに、姉のピンクのスモック(白い丸襟、お花の刺繍付き)は、禎克もよく似合っていた。さらさらの明るい栗色の髪、大きな二重の禎克は、最近はやりの売れっ子の子役のように文句なしに可愛い。
母も、逆ならよかったのにねぇと笑っている。大人たちは笑うが、禎克は真剣に悩んでいた。「女の子みたいに可愛い」と言う形容詞は、禎克にとって褒め言葉でもなんでもなかった。

お迎えの幼稚園バスに乗っている川俣先生は、毎朝繰り返されるそんな様子を、にこにこと笑ってみていた。

「おはよう、禎克君。今日もおねえちゃんに青いスモック、取られちゃったのね~。」

「う……ん。まけた~。」

髪をうんと短く切って、男児にしか見えない姉は快活に朝の挨拶をしていた。

「おはようっす!かわまた先生。」

「おはよう、湊(みなと)ちゃん。今日もかっこいいのね。」

「そんなこと、ないっすよ。つか、かわまた先生、髪型変えたんすね。めっちゃ可愛いっす。」

「や~ん……、湊ちゃんったらちびのくせに、男前~。先生、うっかりと收細毛孔きめいちゃうじゃない。」

「湊、嘘は言わないっすよ。先生はまじ可愛いっす。」