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山崎さんは「生産に資本を提供する「投資のリスク」はいいが、ゼロサムゲームの「投機のリスク」を取るのは「遊び」だし「不利」」と仰っておいでですが、私は高校時代から、既発行株式の売買は「生産に資本を提供する行為」なのかが判りませんでした。新規発行や増資なら判りますが、それ以外の売買はやはり博打であり、単に資金の流通や新規発行等を可能ならしめるなどを保証する為だけの投機市場（＝ゼロサムゲーム）のように思えます。その辺の所の山崎さんの整理を教えてください。
新規発行が資金提供なのは分かるけれども、既発の株式についてはどうなのだ、というの疑問は、多くの人が考え、その中のかなりの割合の人が曖昧なまま諦める問題であるように思います。
この問題は、資本（＝商売のもとで）を、誰が、いつ、提供しているかと考えると分かりやすいのではないでしょうか。
仮に、のらひこさんが、三菱商事の新株を一年前に一億円購入したとします。ここで三菱商事に一億円提供したことは実感としても間違いありません。
次に、株式購入から一年後の今日、その株を私に一億一千万円で売る、とします。のらひこさんが提供した一億円は、三菱商事で現在一億一千万円で評価される資本として存在し続けていて、今度はその持ち主が私に変わり、私が、三菱商事に対する次の期間の資本提供者となります。我々の売買に市場が介在していても、本質は変わりません。
私は、リスクを取って資本を提供する「次の人」になりました。
私は、その後の三菱商事が大いに利益を稼いでくれることを願えばいい。分散投資をして、リスクを取ってしまえば、運用者に出来ることは、あとは祈ることくらいです。
例えるなら投機と言っているのは、雀荘で賭け麻雀をやることで、投資というのはプロ雀士を集めて興行をやることだと考えたら如何でしょうか。
賭け麻雀だと4人の損得を足し合わせると、プラスマイナスゼロで場代の分だけマイナスサムゲームです。
プロ雀士を集めて興行をやると出資した４人ともプラスになる可能性があります。
そして１回目の興行で１０万円出資したところ１万円もうかったところで、この出資者の内の一人がこの権利を１１万円で次の人に譲るということです。
次の人は１１万円でこの権利を買いますが、１万円儲かる期待がありますが、次はお客さんが集まらず損をする可能性もあります。
この状態を期待リターンがプラスと言っているいる訳です。
要は、リスク資金を出す人が変わっても誰かが出しているから、興行（ｏｒ会社）が続くということじゃないでしょうか。
要は
１）ゼロサムだと手数料を考えるとマイナスサムでリスクに見合わない。
２）期待リターンがプラスでなるべくそのプラスに比べてリスクが低いこと
の２つが重要ってことですよね。
一年前に1億円相当だった三菱商事に提供した資本の価値が1億1千万円に増えたのは、三菱商事がその資本金の割合に対して1千万円相当に評価される利益を稼いだからです。
株式は分割された会社の所有権なので、1億1千万円を会社にとどめておくことは、株主からみて、新たな期間について、1億1千万円資金を提供し続けているのと同じです。
先の説明では、三菱商事が大いに稼いだケースで説明しましたが、利益を全部配当して一年前の1億円が今でも1億円という想定でもいいし、あるいは、会社が損をして、資本金の価値が9千万円になっていても、「次の期間」にそれを「誰かが」提供し続ける関係は同じです。
単なるゼロサムゲームで市場参加者同士が何かに賭ける取引とは、経済的な性質が大きく異なります。
尚、投資と投機に倫理的な区別は一切ありません。フェアにやる限りどちらも少なくとも同等に悪くないというのが、私の考えです。
両者の違いは、理屈上、投資が時間と共にプラスの収益を期待しやすいこと、リスクに見合うプラスの収益をこれまた「期待しやすい」ことにあります。要は、一派論として投資の方が有利だよ、というだけのことであって、「当たる」投機が出来ると信じるなら、投機でリスクを取るのも人の勝手です（だれかが損してくれなければなりませんが）。
早速ですが、上梓されていらっしゃる「超簡単 お金の運用術」でも具体的な銘柄を開示してくださって、お奨めのＴＯＰＩＸに関するＥＴＦについてですが、
①東証と大証の合併が計画どおり実施された場合、ＴＯＰＩＸ指数が廃止され、強制償還となるのではないでしょうか。
長期保有のつもりで持っていても、そのタイミングで株安になっていた場合は、強制的に不利益を被るのではないでしょうか。
②ＴＯＰＩＸ（統合後ＪＡＰＩＸ？）が存続し、大証銘柄が組み入れられることになったと仮定してですが、統合が発表されてから大証上場の株で株価が上がった銘柄がいくつかあるやに聞きますが、新しいＴＯＰＩＸ（ＪＡＰＩＸ？）に組み入れられた後、それらが売り抜けられて値下がりし、指数が下がり、やはりマイナスの影響を被る…という可能性もあると思うのですが…
個別の話ですし、可能性（確率？）の話でもありますので、回答しづらい質問だと思いますし、あるいは立場上できないという御事情もあるかも知れませんが、何か教えていただけることでもあれば、お願いいたします。
さらに言うと、「自分の家計で取ってもいいリスクのレベルを決めて資産配分（アセットアロケーション）を作り、それぞれのアセットクラスに、実質的な手数料（＝市場の条件からの「中抜き」）が最勝で十分分散投資された商品を選ぶといい。」という部分も、さらりと書いているけど難しい。
これを別の言葉で自分で説明できる人間がどれだけいるか？
「落ち着いて打席に立って、投手が投げる球をじっくり見て逆らわずにバットを出せばいい。それでヒットは打てる」って素人にアドバイスするようなものだ。
「投資信託って言葉は聞いたことある」程度の人間だと、「取ってもいいリスク」というのは、「今持ってる1000万円のうちの、いくらまで（たとえば100万）使えばいいってこと？」という程度までの理解が関の山で、これを仮に商品先物やFXでやられると、全く想定していない結末を迎えることになる。
このレベルの人間にボラティリティや倍率の要素まで理解しろというのは一朝一夕には行かない。
この「壁」をどうやって取り払っていくかが山崎さんの更なる仕事かもしれませんね。