1月24日、2013年度の与党税制改正大綱がまとまった。自宅の新築や建て替えを考えている人にとって、今回の税制改正大網には見逃せない点がいくつもある。
まずはその際のポイントから検討してみよう。
カギは二つ。一つは、14年4月から段階的に上がる消費税だ。消費税は建物に課税され、土地には課税されない。注意しておきたいのは、課税されるのが契約成立時ではなく、引き渡しの時であることだ。
もう一つのカギは住宅ローン減税だ。年末のローン残高の1%の額を、所得税額や住民税額から差し引くことができる。減税の対象となるローンの限度額は、現在は2千万円で、14年4月から4千万円に拡大する(一般住宅の場合)ので、残高が4千万円なら、年間で40万円の控除が受けられる計算になる。ただし、所得税額が少なければ控除を活用しきれないこともある。
では、いつ買えばお得なのか。
家を買うのは人生の大きな選択だ。消費増税が決まった今が、住宅購入すべき時なのか。“伝説の営業マン”元積水ハウス山口綜建営業所所長の田中敏則氏が語った。
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住宅業界にとって、いい年になるのではないでしょうか。政権交代などによる好材料が大きく三つあるからです。
一つ目は、安倍政権の積極的な金融緩和政策です。2%程度の物価上昇を目指し、日本銀行にお札をどんどん刷ってもらおうとしています。現状も長期金利は低下傾向にありますが、それがさらに継続、促進されることが期待できます。住宅を購入する場合、多くの人が30年以上にわたる長期のローンを組むので、金利は住宅の売れ行きを左右する大きなポイントです。
二つ目は「住宅ローン減税」の延長です。住宅ローンなどを利用して住宅を購入した場合、一定の要件を満たせば入居した年から10年間にわたって、支払った所得税の還付を受けることができる制度です。若い世代にとっては朗報です。
三つ目は、消費増税前にやってくる「駆け込み需要」です。1997年に3%から5%に増税したときも起きました。同様の現象は既に始まっており、先日も私の会社に「消費増税前に家を購入したい」というお客様がいらっしゃいました。
景気がどんなに悪くても、いい住宅は売れる。日本経済は大丈夫だと思います。
「家は消費増税の前に買うべし」という説の根拠
「いつ来るのかなあ、イヤだなあ」と恐れていたことが、ついに現実となる。消費税の税率が2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げられるのだ。住宅の「買い時」はいつなのだろうか。
増税後を推す経済ジャーナリストがいる一方で、住宅ジャーナリストの櫻井幸雄氏は、増税前の購入を勧める。
自公政権の復活によって、民主党が掲げていた課税強化の方針はどうなるのか。税理士法人レガシィ代表社員税理士の天野隆さんは、「所得の少ない人、資産の少ない人には消費増税の負担が重くのしかかるので、その人たちの理解を得るために、安倍政権になっても3党合意に沿って、相続税など資産課税は強化されると思います。そうなれば、資産家に対する特別な税金だった相続税は、大衆税化することになります」と話す。