過去1年平均は150円、5年平均は126円=米ドル/円

購買力平価から考える

最後に購買力平価との関係を見てみよう。日米の消費者物価で計算した購買力平価は足下でも107円程度なので、141円という水準はそれを3割なお大幅に上回っている(図表5、6参照)。1973年の変動相場制度移行後、これほど消費者物価基準の購買力平価より大きく米ドル高・円安になったことはなかった。その意味では、141円は購買力平価との関係からするとまだまだ大幅な円安と言える。

【図表5】米ドル/円と購買力平価(1973年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券作成
【図表6】米ドル/円の日米消費者物価購買力平価からのかい離率(1973年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券作成

それにしても、ほんの10年前までは、日米の生産者物価で計算した購買力平価より米ドル高・円安になることすら少なかった。その生産者物価の購買力平価は足下で90円台前半。今回、生産者物価基準の購買力平価まで米ドル安・円高にもはや戻れないなら、それは長期的な日本経済の衰退化を示しているということではないか。