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痴漢なまはげ事件で「明るみになった」もの

2008年01月18日 | 時事
「なまはげ」女性風呂侵入、さらに苦情7件(読売新聞) - goo ニュース

 水木しげるの初期の短編に「なまはげ」つうのがある。東京の大学に行っている若い男が東北の田舎に帰省する。都会的な雰囲気を身に付けて帰郷した自分は村の娘たちにさぞかしモテるであろうと期待していた彼は,意中のハナコさんに振られてショックを受け,傷心のまま散歩して訪れた村の神社でなまはげのお面を見つける。

 田舎のヤツらはいまだにこのような迷妄かつ非科学的な因習を続けているからオレの偉さが解らないのだ,と身勝手な理屈をひねくりだした彼は,このお面をかぶって参拝にやってきた村人を脅かし,そんなことをしたらタタリがあると諌めるその言を無視してハナコさんを脅かしに行く。そして悲鳴を上げつつ逃げるハナコさんの後ろ姿を眺めながら「女性を脅かすってのは性的快感を覚えるな」などと独り言を言うのである。

 さてこのマンガのオチは,最初に脅かされた村人の証言とハナコさんの訴えを受けた地元町内会が協議会を設け,再発防止のための行動指針を作ることに……なんて甘いもんでは済まない。彼が家に帰って飯を食おうとなまはげのお面を取ってみたら,顔がなまはげになっているのである。天網恢々疎にして漏らさず,因果応報ってのはこういうもんですよね,女湯で触られたみなさん。

 が,おれは別にこの置換なまはげ……置き換えて何になる? 痴漢なまはげ男(怪奇コウモリ男みたいである)の処分はいったいどうなってるのだ,ワイドショーはいつものようにこいつの正体を暴き,近所のおばさんの悪口を集め小学校時代の文集を買い漁ってカナキリ声を挙げんかい,と言いたいわけではない。全然違う。

 実はこの件を報道したテレビ朝日のなんとかというニュース番組で,このニュースを読み上げたアナウンサーは3度も「(他の施設の利用客からも苦情が出ていたということが)明るみになりました」と言ったのである。……あのなぁ「明るみ」はなるもんぢゃなくて,何らかの事実がそこに出るもんだってば。それを言うなら「明るみに出ました」か,あるいは「明らかになりました」でしょ?

 というわけで,痴漢なまはげ事件のあおりを食らい,テレ朝でニュース・スクリプトを書いてるやつはとんでもないスットコドッコイであるという事実が「明るみになってしまった(笑)」わけなのである。どっとはらい。




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2 コメント

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申し訳ございませんッ! (すーちん)
2008-01-18 10:23:19
ご指摘ありがとうございます。以後、このような間違いのないよう、精進を重ね、「汚名挽回」に努めます・・・スクリプト担当者(笑)

しかし、臨時ニュースでもあるまいしアナウンサーも原稿の事前読み合わせぐらいしてないのでしょうかねぇ
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テレビ朝日のアナウンサー (たまどん)
2008-01-18 11:41:09
女性だけじゃないのよ。男性もなのよねぇ。
漢字を誤変換したまま気付かぬことはあるけど、例えば「雪辱を果たす」と「屈辱を晴らす」が混在して「雪辱を晴らす」などという日本語まで出る世界だからなぁ。「赤銅色」も読めない人がニュース原稿を読んでいる会社だから。
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