隼人から見た空

飛行機のこと
Pilotの資格取得と資格維持
様々な乗務に関係することを書いています

ウクライナ情勢

2022-02-21 | 航路、空港

以前、良く飛んでいたウクライナ上空ですが、

2014 年 7 月 17 日に起きたマレーシア航空機撃墜事件以来、

緊迫した情勢になっています。

最近の Flight Radar 24 を見たら東側のウクライナは航空機が回避して飛んでいることが分かります。

大雑把に赤ラインがウクライナ領です。

昔、戦闘機に乗っていた私の経歴と、

エアラインの乗務員として飛んでいる今の自分、

国防は国民の生命と財産を守るためにあると信じています。

戦争を求めているのは一部の好戦的政治家など、

冬季オリンピックが終了し、今後の中國の野心も大変気になるところです。

世界が戦争に巻き込まれること無く、平穏に過ごせることを祈るのみです。

戦闘に駆り出されている現場の将兵も好んで戦いを求めているわけではない!

のはどこの国の将兵でも一緒だと信じています。


台風と飛行機の安全

2018-09-09 | 航路、空港

 ニュースから

「台風21号は関西空港では開港以来最大の58・1メートルを記録」

この風速は km/h に換算すると 210 km/毎時になり新幹線並みの速度の風が吹いたことになります。

台風付近の飛行ですが、台風ほど予測できない天気は無いと言い切れます。台風の移動を予測してその経路を避けることが原則ですが、今回のような台風を避けると言っても完全に避けることができないほど広範囲に渡ります。また予想経路も外れたりします。

今回偶然にもこの台風 21 号近傍の上空をフライトしました。濃い雲も少なくてあまり揺れることはなかったですが、それも揺れそうな所を外しながら飛んでいるからとも言えます。なお台風から離れていても安心できません。台風の巻雲(螺旋状降雨帯)の範囲はとても広く、台風の中心から離れていても濃い雲を避けることは必須です。

いずれにしても大切なのは、

1 最新の気象予報と現況を頻繁にチェックして離着陸の決心は早めに判断する。

2 台風は経路を大きく回避する計画を立て、更に予想外に回避する燃料を確保する。

3 天気予報に頼らず、目的空港に着陸できないことを想定して目的空港から十分遠い空港まで飛べる燃料を確保する。


お月様とフライトの関係!

2018-07-10 | 航路、空港

夜間のフライトでお月様はとても大切です。

夜間飛行では雲を避ける時にお月様の明かりで雲を避けます。

機上搭載の気象レーダーも使いますが、目視に勝るものはありません。

気象レーダーの長所もあって、雲の高さを測ったり、濃さを調べたり、既に雲の中を飛行している時、揺れの程度を予測するにはレーダーは有効です。

しかし、気象レーダーに映らないような薄い雲もあり、機上のレーダーは万能ではありません。

レーダーで監視しながら、目で見て判断することがとても大切です。

そのためにフライト前の準備として、当日の日出、日没はもちろんですが、お月様の月齢、月出、月没の情報は絶対に欠かせません。

夜間飛行でお月様が出ていないか、新月だと操縦席を真っ暗にして星の灯り、地上の灯りを頼りに目を凝らすことになり、このときの疲労は半端ではありません。お月様さまさまです!


成都国際空港

2017-12-11 | 航路、空港

中国大陸の西、チベットに近い所に成都空港があります。

最初にその空港へ乗務する時、空港のレイアウトをみて、「これだ!」と思いました。

上の衛星写真ではちょっと分かりにくいですが、中央にターミナルがあり、それを起点に滑走路が延びています。

着陸したらターミナルに近く、離陸するときもターミナルから短時間で離陸できます。

こんな理想的な空港レイアウトはあまりないような気がします。

効率的な構造の空港といえば、米国のシカゴ・オヘア、オランダのアムステルダム・スキポール空港もそうです。

空港は広大な土地を必要とし、都市との距離が近いことも大切で、しがらみ (騒音問題とか) も無いことが理想なので、難しいのでしょう。

※  この空港の管制官、突然、中国語で管制指示してきてちょっとビックリしたことがあります。私は中国語は理解できないのですが、隣に座っている Pilot が中国語を理解する人だったので事なきを得ました。


Christchurch, New Zealand

2017-12-06 | 航路、空港

ニュージーランドのクライストチャーチ (Christchurch, New Zealand) へのフライトで南アルプス山脈 (日本と同じ名前?) は実に美しいです。世界中に美しい地形はたくさんあるでしょうけど、この国の自然の美しさは格別です。

ヨーロッパやオセアニアの都市は意外と人口が少なくクライストチャーチも34万人だそうですが、その町の美しさにも惚れます。

街の中には細い小川が流れていますが、鱒が泳いでいます。

さすがにニュージーランドは数々の美しい映画の舞台になるだけあります。

英国連邦加盟国ではあまり食事に期待はできませんので、ニュージーランドでの食事は質素に済ませます。いえ、私個人の食の好みですのであしからず。それよりも美しい国土を満喫しましょう。


強風下での着陸!

2017-12-04 | 航路、空港

海外の空港から国際線運航で羽田空港に強烈な強風の中で着陸しました。

低気圧前線の通過で強風が吹き荒れていました。

METAR (飛行場実況気象通報式) によると、

Wind 210°/36knots Max 56knots Min 26knots

( 風が 210° 方向から秒速 18m, 最大 28m, 最小 13m )

前線が通過中でした。この風速は台風以上の強風です。

私の Pilot 人生で一番の強風でした。

出発前に天気予報を見て準備するポイントは燃料の搭載量の決定です。通常よりも多く燃料を搭載する訳ですが、風が荒れて強風が吹くのになぜ燃料を多く搭載するかといいますと、

第1の理由は目的地の羽田空港の風が会社の規定の風の強さを上回って回復が見込めない場合に代替空港に行くための燃料を確保するということがその理由ですが、敢えて言うなら中部セントレア空港、関西空港です。この燃料は気象状態に関わらず必要ですけど、代替空港へ行く可能性は非常に高いです。そして近隣の成田空港では気象状態が目的地と似通っているのでなるべく遠くの気象的に安定した代替飛行場を指定します。

第2の理由として、羽田空港で Holding (空中で待機) して前線が通過して風が治まるのを待つための燃料でもあります。予報を超えた強風が吹いて制限値を超える時、制限値を超えた強風が治まるのが予想を超えて長引く場合に備えての燃料となります。

さて Pilot の操縦技量の影響はどうなのか?といいますと、非常に大切な要素ではありますが、飛行機には風の強さと変化を検知して

"Windshear Windshear Windshear" (風の強さと変化量が制限を超えている!)

警告音を鳴らして Pilot に対して着陸を止めさせる機能が付いています。

機上のコンピューターがこれを感知して警告を発っすると Pilot は着陸をやり直すことになりますので、そのための燃料を確保しておかならないのが第3の理由です。

こういう運航環境でささやかれそうなのが、

「某社の○○便は着陸したのに、どこどこの会社の△△便は着陸をやり直した、きっと Pilot の技量が低いんだね。」

という評価を受けがちですが、先ほど書いたように機体のコンピュータの警告には必ず従わなければなりません。風も刻一刻変化しますし、そして機種によって制限は違いますし、仮に同じ機種であっても運航する会社によって規定する風速制限も異なっています。

それで結局どうだったかと言いますと、無事に羽田空港に着陸できました。

着陸して駐機場に着いたら全身の力が抜けました。


濃霧の中で着陸

2017-12-03 | 航路、空港

運航を阻害する気象状況は色々あります。

濃霧もその一つです。

大きく分けて霧には6種類あるのですが、

 移流霧 ; 暖かく湿った空気が冷たい海面へ移流して起きる。

 放射霧 ; 早朝に熱が放射されて地表が冷えて起きる。

 蒸気霧 ; 暖かい水面が冷たい空気に冷やされて起きる。

 滑昇霧 ; 山の斜面に沿って湿った空気が上昇して冷えて起きる。

 前線霧 ; 温暖前線面の下の冷たい空気に冷やされて起きる。

 混合霧 ; 暖かい湿った空気と冷たい湿った空気が接触して起きる。

どれも厄介ですが、日本では北海道南岸から東北東海岸に発生する移流霧の「海霧」が有名です。

サンフランシスコやロサンゼルスでも初夏から夏にかけて移流霧は悩ましい気象障害現象です。

この霧は海で発生して飛行場にジワジワと流れ込んできます。

最近、何回も大雪に大当たりしたのですが、今回は濃霧に大当たりしました。

飛行機には視界ゼロでも着陸できる装置が装備されていて、

空港の施設がこれに対応していれば濃霧で滑走路が見えなくても自動着陸が可能です。

これにはもう一つ大切な条件があって、

「Pilotが所定の訓練を受けて、航空局の審査に合格していること。」

という条件があります。

霧に包まれた空港に進入着陸、

空港に着いてからホテルへ移動してホテルの窓から空港方面の写真を撮ってみました。

どんなに時代が変わっても、どんなに飛行機の性能が向上しても、所詮は操縦するのは空を飛べない人間です。鳥みたいにはなれません。

悪天候には勝てません!


雪男

2017-12-02 | 航路、空港

雪男ってモンスターのことではございません。

雨男、晴れ女の並びで

「雪を呼ぶ男」ってことで。

今年の冬は寒いところへ飛ぶと大雪に降られることが多く、それも半端ない雪雪雪 ...

およそ、ニュースで「ここ 30 年来の大雪」とか「季節外れの大雪」とか、これらに大当たりすることが多くて運の悪さに、ちょっと落ち込んでおります。

大雪で視程が下がり進入・着陸がやっとのことが多く、また雪で視程が下がると管制官は離着陸の間隔を長く取るために飛行場は上空も地上も大混雑状態になります。

今年は行く空港、行く空港で上空で待機 (Holding) が一時間以上は何回となく経験しました。

そして何とか吹雪の中、着陸しても、駐機場が空いていないために一時間以上誘導路上で待たされるとも何回となくありました。今冬、私の着陸後、駐機場へ着くまでの地上待機は最長 2 時間 6 分でした。

お客様に対しては、本当に申し訳なく思いますが、着陸して外の大雪を見て頂くと少しは理解して頂けると思っています。

そういえば私が小さい頃に母が言っていました。

「あなたが生まれた日は大雪で大変だったよ。」

↓ 私が生まれた当日の讀賣新聞のコピー&天気図

 ← クリックで拡大します。


旭川空港の苦い思い出(CRMの続き)

2017-11-27 | 航路、空港

北海道の旭川空港、この空港では苦い思い出があります。

海外から国際線で旭川空港へ飛んでいる便は結構あります。海外の航空会社で海外から旭川空港へのフライトの事例です。

旭川空港の滑走路の長さは 2,500m です。この長さを長いと感じるか、短いと感じるかは飛行機の大きさと重量、性能によってイメージは変わります。

私はその時はまだ副操縦士、ある冬の日、会社に早めに出頭して旭川空港行きの Flight Plan (飛行計画書) を見ていました。その日の旭川の天気予報は雪だったのでそれが気がかりだったからです。

そしたらベテラン女性 Dispatcher (運航管理者) がニコニコしながらテーブルに近づいてきて、

「今日の旭川行きの便は旭川の天気予報が雪だからたっぷり燃料搭載を計画してあるからね。」

といつもの愛想を振りまきながら話してくれました。彼女はいつも信頼に足る優秀な人です。

旭川空港が一時的に除雪作業などで着陸ができない場合を想定して空中で Holding (待機) する燃料が沢山搭載が予定されています。加えてそこで天候が回復しないことを想定して出発飛行場まで引き返す分まで燃料搭載を計画してくれています。

燃料は多ければよいというものではありません。燃料を積みすぎると重量のために着陸の滑走距離が延びます。

旭川空港は天候が悪くなると滑走路34を使います。実はこの滑走路34は下り坂になってます。滑走路が雪に覆われて滑りやすく、しかも下り坂、ひょっとしたら背風 (風が後方から吹く状態) だと機体重量が重いと滑走路上では停止できないかもしれません。

その状態で滑走路で停止できるかは事前に Dispatcher が計算してくれています。しかしその計算根拠が大切です。滑走路状態がどのような状態で計算したのか彼女に確認したら滑走路が Wet (湿潤) だと返事が返ってきました。それでは現状に即していないから Poor/Ice (一番滑りやすい滑走路状態) と背風の両方を想定して再計算してくれるようにお願いしました。

結果、彼女は苦笑いしながら,

「それでは滑走路上では止まれないわね、もっと搭載燃料を減らす?」

と回答してくれました。

そこで私は「機長が出頭してから話してみます。」といったん会話は中断、

その内に機長が出頭してきました。彼は最近、機長に昇格したばかりで旭川へ飛ぶのは初めてだと自己申告してくれました。機長にそれまでの状況を説明して搭載燃料を減らすこととを進言しました。彼は私の意見を受け入れてくれて搭載燃料を減らしました。

その日の旭川空港は断続的に雪が降っていたみたいで滑走路が見えた時は真っ白の銀世界でした。接地後に Full Reverse (最大逆噴射) で滑走路端で何とか止まりました。冷汗...

あの時もし搭載燃料を減らしていなければ、滑走路を逸脱していたかもしれなかった。もし滑走路上で止まれなかったら滑走路端を過ぎると稲荷川へ向けて断崖になっています。

これも CRM が有効に効いた一例です。決して Dispatcher を責めません。誰でも間違い勘違いはあるのです。大切なのは、

「お互いに思ったこと意見を口に出そう!」

「人は信用しても、その行為は信用するな!」

という教訓です。

また Pilot はチキン(臆病者)であることが大切です。


インドネシアの活火山帯を飛ぶ。

2017-11-25 | 航路、空港

インドネシアのスラバヤ国際空港、スラバヤはインドネシア第二の大都市でありながら日本人にはあまりなじみがないような気がします。 この空港で日本の航空会社の飛行機を見たことが無いです。

さてスラバヤ・ジュアンダ国際空港への航空路、空港で気になるのがインドネシアのジャワ島に連なる火山帯です。

2014年2月13日のケルート山の大噴火でスラバヤ国際空港は一時期閉鎖されました。

私は丁度その数日前にスラバヤ・ジュアンダ国際空港へ飛んだばかりでした。

上の赤いはインドネシアの活火山!

火山は気象と違って予測が難しく、また地震も含めて突然に起こるので、Pilotとして対応が非常に難しいと言えます。

過去には1982年英国航空9便はインドネシアのジャワ島上空で火山灰の影響でジャンボの4基のエンジン全てが停止したことがあります。

1989年アラスカではKLM航空867便のジャンボの4基のエンジン全てが火山灰を吸い込んで停止しました。

いずれもエンジンの再始動に成功したものの火山灰は怖いものです。 

さてインドネシアやアラスカは他人事ではありません。

日本は火山列島です。活火山は至る所にあります。

備えあれば憂いなし、いつもいつも最悪の事態を考えて運航しています。

上の地図(画像)はクリックで拡大されます。


南米アマゾン原生林の上空を飛ぶ。

2017-11-24 | 航路、空港

北米から南米アマゾン流域を通過してブラジルのサンパウロへ。この路線のほとんどの航空会社は深夜の徹夜フライトになります。

上の地球の赤い航跡が通常の飛行ルートです。

Newyork JFK 国際空港を深夜に離陸します。この時間帯 Newyork JFK 国際空港はヨーロッパ方面行きの飛行機で出発はかなり混雑します。この時間帯は20機以上離陸の順番を待つなんて普通です。離陸の順番が来てやっと離陸、南下すると有名なバミューダ・トライアングルの空域も飛びます。深夜だしほんの少しだけバミューダ・トライアングルの語感を気にしながら。その内に VHF(*1) 圏を離れて HF(*2) 圏になります。ADS(*3) の装備もありますけど、ここからは HF が頼り。

Flight Plan (飛行計画) は米国と国交のない Cuba の防空識別圏を避けて飛びますが、更にハリケーンがあると結構迂回することになります。

この後カリブ海の島々の上空を通るのですが時間は深夜、島々の街の灯りしか見えません。

その内にベネズエラを通過していよいよアマゾンへ、ここでは基本は VHF 無線で管制と交信しながら飛びますが、レーダーで管制していないので Position Report (位置通報) による管制になります。この Position Report のミスでアマゾン上空で、その昔に空中衝突があったのを思い出します。

しかもアマゾンは積乱雲が多く発生します。北米から南米路線は赤道を越えて貿易風帯を通過するので積乱雲はいっぱいあります。もちろん避けて飛ぶわけですが、ブラジルの中でもアマゾンの空域管制はなかなか応答しないことがありキモを冷やすことも多いです。過去にエア・フランスがブラジル沖の大西洋上で強烈な積乱雲に突っ込み墜落した記憶がよぎります。

北半球の大西洋には船が多く航行していて船舶の灯りが見えますが、南米アマゾンのジャングルは真っ暗です。

少し空が白み始める頃にブラジルのガルーリョス・サンパウロ国際空港へ向けて降下を始めます。実はこの朝の時間はガルーリョス・サンパウロ国際空港は霧が発生して視程を落とすのです。空港に近付くにつれてどんどん視程が下がります。頻繁に ATIS (空港が発信する気象情報) を取得しながらの降下です。急激に視程が下がると緊張します。空中で待機 (Holding) して天候の回復を待つのはこの空港の気象特性から普通のことです。一時間以上空中で待機したこともあります。

大事なのは燃料です。霧の発生を予測して空中で待機する EXTRA FUEL (予備燃料) を積んで Newyork を出発しています。

もしも天候の回復が遅れたら?はい、カンピーナスという空港がサンパウロの北西にあるんですが、ここはいつも天気がいいんです。降下中にこの空港は、いつもしっかりと視認できます。遠くのサンパウロは霧で地表は真っ白です。天候が予想以上に長い時間回復しない場合はこのカンピーナスに一旦着陸して燃料を積んで、ガルーリョス・サンパウロ国際空港の天候の回復を待って再度サンパウロへ向けて離陸となります。これが時々あります。

*1 VHF : 見通し圏内のVHF無線、超短波通信

*2 HF : 見通し圏外の通信、短波通信

*3 ADS : 衛星航法と衛星通信を駆使した自動追随監視機能


アフガニスタンの上空を飛ぶ!

2017-11-22 | 航路、空港

ヨーロッパから東南アジアを結ぶ路線ではほどんどの航空会社はアフガニスタン上空を通過します。

「南回りヨーロッパ航路」なんていえばロマンチック?な響きがありますが、現実はとても厳しいものがあります。

上の赤い航跡はヨーロッパのウィーンからバンコックへ飛ぶ航路です。

↑ 途中アフガニスタン上空を通過します。アフガニスタンと言えば、政治的軍事的に混乱してることはご承知の通りです。

管制はレーダーも無く、位置通報により管制されてます。しかもアフガニスタン上空では基本的に高度の変更はできません。アフガニスタン上空に限らずアフガニスタンの南東にはパキスタンがあります。またヨーロッパ寄りにはマレーシア航空機が撃墜されたウクライナがあります。ニュースでよく聞くチェチェン上空も飛びます。緊張感は半端ではないです。別の航路も考えられますが、東はヒマラヤ連峰、西に行くと中東、なかなか安心して飛べる航路はありません。

ここアフガニスタン上空を飛ぶ時に Pilot として政治的軍事的不安とは別に考えておかなければならない大切なことがあります。それは急減圧(機内与圧が故障した)時の対応です。機体の故障で急減圧になったら十分な酸素が得られる高度まで急降下します。しかしアフガニスタン上空は十分な酸素濃度が得られる高度まで降下できない高い山々が多く存在します。旅客機のお客様用の緊急酸素は22分、機材によっては15分の量しかありません。この付近を航行する時、会社の規定で高い山岳地を避けて飛ぶべき緊急の飛行方法 (Escape Route) が定められています。

この付近を飛ぶときは、

「今、急減圧になったら航空路を離脱して高度は xx,000 フィートまで降下して、その後ああしてこうして...うんぬん。」

と Escape Route と睨めっこしながら飛びます。

日本でも山岳地があり安全高度まで降下できない山岳地が一部ありますが、富士山、北アルプス、南アルプスの地域を回避できればほとんど問題にはなりません。

しかし世界を見渡すと半端ではない高地があちらこちらに存在します。これら高地上空を飛ぶときは常に緊張感があります。