龍一京/瓜生章の活動日記

作家龍一京/瓜生章の日々のあれやこれやを綴っています

キツツキと魔法の首飾り―最終回

2015年12月27日 | 一京さんのわらべ話
ケロケロケロ、ケロケロケロ。大きな口のヒキガエル。
コツコツコツコツ、コツコツコツコツ、キツツキくんが木をたたく。

ピーヒョロピーヒョロ、ピーヒョロロ。高い木の上をとんびくんが回ってる。
カーカーからだの黒いカラスさん。飛び込み上手なかわせみさん。きれいな羽を広げてる。

ウォー、ウォー、クマのおじさん低い声。コンコンキツネが口尖らせる。
ワンワン犬のゴンタ君。ニャーニャーネコのミケちゃんも。身体をくねらせミミズくん。ヘビの姉さん二ョーロニョロニョ。

赤いサワガニはさみを立てて、右に左にステップ踏んで、楽しそうに踊ってる。スイスイスイ、みんなで泳ぐめだかさん。
ひげを揺らしてナマズくん。フナやコイまでパクパクと、口をあけて歌ってる。気持ちよさそうに飛んでいるトンボさん。

里山の住人たちはみんな笑顔です。すると今度は里山で仕事をしている爺ちゃんと婆ちゃんの姿が、映りました。
ヤギさんもむしゃむしゃと雑草を食べて、里山作りのお手伝いをしています。土堀名人のイノシシくんや、穴掘り名人のモグラくんたちも、みんなせっせと手伝っていました。

映像は、村人と里山のお友達を映し出して、終わりました。
「みんなに会えて、よかった、よかった。なあ婆さん」爺ちゃんが言いながらふと横を向くと、もう婆ちゃんはいませんでした。

「婆さん、どこへ行ったんじゃ」爺ちゃんは、キョロキョロ周りを見回しました。すると、周りにいたはずの村人も、森の友達もみんないなくなっていました。
ただ、爺ちゃんの肩にのっているキツツキくんだけが、残っていました。

「お爺さん、きょうはどうもありがとう。これからも里山をお願いしますね」どこからともなくばあちゃんの声が聞こえてきました。
懐かしい映画館も消えてしまいました。そう、ドングリの首飾りは、キツツキくんが拾ってきたどんぐりの実を、婆ちゃんが爺ちゃんのために作った、首飾りだったのです。

キツツキくんと婆ちゃんの贈り物。不思議な不思議な魔法の首飾りだったのです。(おしまい)
では、皆さん、よいお年を。    一京。






















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