辞典を繙いて、語意を調べると、用例が載っている場合がある。
「下名」には、「わたくし」という意味もある。
その用例として、「大辞泉」は、
「下名は右証書を保管中左の条件を遵守することを誓う」を掲載している。
これは、谷崎潤一郎の「卍」という小説から拾い上げたものだ。
いやはや、商売とは言え、よく調べたものだ。
恐れ入る。
ところで、
まったく無関係な話に移るが、
万葉集に、
「秋風に今か今かと紐解きてうら待ちをるに月傾きぬ」という歌がある。
言葉や歌の世界に一度踏み迷いこんだら、
私は、右往左往しながらも、なかなか抜け出せなくなってしまう。
自分は、最後は、迷いながら死んでいくしかない運命なんだな、と思う。