AMOCとは大西洋において、北に上がってきたメキシコ湾暖流が冷やされて、グリンランド沖で海中を縦に沈んでいく現象で、沈んだ海流は大西洋の底を南に帰っていきます。この現象は、海水がただ冷やされるだけで起きているのではなく、大西洋の海水の塩分濃度が高く、海水が重たいことにも起因しています。この循環により、緯度の高いヨーロッパにも穏やかな気候が実現しています。
しかし、最近のヨーロッパに気象を見ると、明らかにこの循環が弱まっていると推察されます。海底に沈みこめなかったメキシコ湾流は海面の広い範囲にあふれ、北極の氷の融解、ヨーロッパ周辺の海水温の上昇(2.5度上がっている。)、さらにフロリダでも海水温が38.5度を記録しています。そして、海水の高温化によって、地上でも猛暑、山火事、豪雨など今まで経験したことのない災害に見舞われています。
今から25,000年前、地球の最後の氷河期が終わり、温暖化し始めた時にこのAMOCは約500年間止まってしまいました。その原因は温暖化によって北米大陸を覆っていた大量の氷が解け、それが堰を切って大西洋に流れ込み大量の真水と混じった海水は軽くなって沈み込むとこが出来なくなったからだと推察されています。メキシコ湾流が止まると、ヨーロッパは急速に氷河期のような寒さになり、氷河期を乗り越え温暖な気候になった北の大地に進出していたマンモスが大量に死にました。(今でもアラスカで発掘される。)このマンモスを狩って生活していた人類は、寒さを避けて南下するマンモスを追って南に移動していきました。(縄文人の祖先の一部と推定されています。)その時まだ生存していたネアンデルタール人は人類が手に入れたマンモスハンティングのための集団行動と武器に後れを取って滅びてしまいました。
今回は、人類が起こした温暖化によって北極とグリンランドの氷が解けてメキシコ湾流の沈み込みを弱め、あふれた暖流がさらに多くの氷を溶かしています。これがAMOCを完全に止めてしまうのかはわかりませんが、止まってしまうのであれば、ヨーロッパは猛暑が続いた後突然ものすごい寒波に襲われ事になり、それはヨーロッパだけではなく、とくに北半球では大きな災いとなります。