「江戸滑稽化物尽くし」アダム・カバット著 講談社発行
妖怪や化物が多くの人びとの興味・関心をひいている。国際日本文化研究センターの怪異伝承データベースにはアクセスが殺到しているという。妖怪や化物について知りたい人は多いけれど、まだまだそれらの人の要望に対応する情報が不足しているようだ。アダム・カバット著『江戸滑稽化物尽くし』は、そうした妖怪・化物の情報不足を補う貴重な本だ。アダム・カバットは、江戸時代の絵入りの大衆文学である黄表紙に描かれた妖怪や化物の特色を、たいへん読みやすい文章で示している。アダム・カバットは、都市(江戸)に住む人びとの妖怪・化物のイメージを、ユーモアと笑いの分析を軸にして、あざやかに浮き上がらせている。「あとがき」の著者の母上の葬儀のエピソードは読者を笑わせてほろっとさせる。
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